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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
充実ライフ!
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イメージどおりの人?

アキラに心強い味方が現れます。

「浅井くん、退院おめでとう」

「浅井、やっと復帰だな」

 クラスメートの浅井タモツが久しぶりに登校してきた。タモツは病気療養のため、2年生になってからほとんど登校していなかった。それが手術やリハビリが無事に終わり、やっと学校に来ることができたのだ。1年生の間、成績はダントツのトップ。2年になってヒデキが学年トップをキープできたのはタモツが不在だったから。誰もが認める天才が登校してきたので、アキラとアヤメが会話したときとは別の意味でクラスはざわついていた。

「浅井くん、もう体は大丈夫なの?」

「うん。これからはふつうに登校できるって」

「よかったね」

「ありがとう」

 タモツの復帰を喜ぶ声が上がるなか、アキラは「浅井くんとは同じクラスになってから、ほとんど会えてなかったけど健康になったならよかったな。でもいまの僕が声をかけるわけにはいかないよね」と考えていた。

 タモツがクラスをなんとなく見渡していると、アキラの姿が目に映った。隣に座ったアヤメと会話を交わすその姿を見て「彼が上條くんか。イメージどおりの人だな」。そうタモツは考えていた。

そのタモツにアキラの噂を話すクラスメート。

「浅井くん、上條くんとは関わらないほうがいいよ。だって彼の家は〜」

 そう話すクラスメートに対して、タモツは大きな声を上げた。

「はぁ? バカじゃないの」

 クラスの視線がタモツに集中する。

「上條くんのお父さんが? そんなわけないだろう」

 自分の噂に対してタモツが言っていることがわかり、アキラもタモツに注目する。

「この学校は県内有数の進学校だから、賢い人が集まっていると思ったけど。こんなバカな噂を信じるくらいの愚か者しかいないのか」

 呆れた表情を浮かべながら、タモツはアキラのほうへやってくる。

「なぁ、上條くん。これ君のお父さんだよな?」

 そう言うと1冊の本をアキラに見せてきた。

「あ! 父さんだ。なぜ本に載っているんだろう?」

「君のお父さんは日本有数の製薬メーカー・タケオカ薬品の研究部門でトップだからね。こうした取材を受けることもあるさ。知らなかったのか?」

「そうかぁ。父さん、家では仕事の話をまったくしないから知らなかった」

 クラスメートのほうに向きなおりタモツは言う。

「あれだけの大企業で研究職のトップ。君たちも聞いたことはあるだろう? 鎮痛剤のイタイナオール。あれを開発したのが上條くんのお父さんだ。そのほかにも画期的な新薬をいくつも開発している。医学、薬学の分野を目指す人間にとっては超のつく有名人で憧れの存在。それが上條くんのお父さんなんだよ。その人がマルチ商法? ありえないね。常識で考えればわかるだろう? マルチなんてやっている時間があるわけない」

 その言葉にクラスメートの一人が反論する。

「でもいくら大企業の社員といっても、上條くんの家は会社員で買えるようなものじゃないんじゃない? あれだけの豪邸」

 それにはアキラが答える。

「豪邸かどうかは僕にはわからないけど、あれ社宅だよ。だから会社の持ち物」

 アキラの答えに「まぁそうだよね」とタモツが言う。そしてタモツに続いてアキラをフォローする者が現れた。女子の陰キャ代表とも言うべき春木チエリだ。

「私の言うことなんてみんな聞いてくれなかったけど、根も葉もない噂で上條くんを悪く言ったり無視するのは間違っていると思う。みんなどれだけ上條くんに助けられていると思ってるの?」

 チエリがさらに続ける。

「係が忘れたときに花壇に水をあげるのも上條くん。掃除道具がきちんと片付いていなかったときにそれをしまうのも上條くん。ゴミ箱がいっぱいになったらそれを捨ててくれるのも上條くん。誰かが困っているとき、最初に声をかけるのも上條くん。そんなにみんなと話はしていないかもしれないけど、上條くんはクラスにとても貢献している。そんな人を噂だけで疎外するなんて酷いよ」

 とても小さな声であったが、勇気を振り絞った訴えにクラスは静まり返った。

「結局、まともなのは上條くんと三橋さん、春木さんだけってことか。このクラスは」

 そうタモツは吐き捨てると、アキラに向かって話しかけた。

「きみは強い人だな。こんなバカみたいな噂をされても、春木さんが言うようにクラスのことをやってくれている。僕はきみを尊敬するよ」

 アキラは困ったように笑う。

「そんな大したことはやってないから」

 アキラの答えを聞いて、タモツは優しい笑顔を向けた。

「本当にイメージどおりの人だ。きみのお父さん取材で『僕が頑張れるのは息子のおかげです』って、きみのことをとても褒めていたんだよ。家のことをすごく頑張ってくれているって。だから僕は退院して学校に復帰できたら、きみと話してみたいってずっと思っていたんだ」

「父さんがそんなことを……。浅井くん、ありがとう。教えてくれて」

「どういたしまして」

 ニッコリ微笑むタモツ。この日からアキラはアヤメだけでなく、タモツやチエリとも昼食を共にすることになったのだった。

明日は更新できそうにありません。明後日は通常どおり更新する予定です。

ご意見、ご感想など頂戴できたら励みになります。よろしくお願いいたします。

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