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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
アキラ、ピンチ?
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そんなバカがいたのですか?

ヒデキ、魔界からの評価も散々です

 上條家に戻る途中、テシオンは魔界にいるアスモデに連絡を入れた。

「部長、お久で〜す」

「テシオンですか。相変わらず軽いノリですね」

 アスモデは変わらないテシオンに呆れながら、久々の連絡に応える。

「それで今日はどうしたのですか?」

「契約一件取れました〜」

「本当ですか!」

 アスモデは心底驚いた。テシオンが人間界に向かってから、まだそれほど月日が経っていない。なんなら10年くらいは契約までにかかるのではないか?と踏んでいただけに驚くのも無理はなかった。

「しかしテシオン。油断は禁物です。ちゃんと契約が完了して魂を持ち帰らないと失敗ですからね」

「その点も心配ないっす。B契約なんで」

「え!?」

 さらにアスモデは驚いた。悪魔の契約にはテシオンがヒデキに伝えたように、悪魔側から契約を持ちかけるA契約がある。これは悪魔に願いごとを叶える義務が発生する契約である。それに対してB契約は無条件で悪魔に魂を差し出す契約である。よほどの物好きかバカしか結ばない契約。歴史上、このB契約を結んだ人間は存在しなかった。自分にメリットがないのだから当たり前である。しかもB契約の場合、悪魔の気分次第でいつでも相手の魂を強制的に入手できる(つまり相手を殺すことができる)。人間からするとデメリットの塊のような契約なのだ。

「だからもう魂はいつでも入手できます」

「どこのバカですか。その人間は……」

 今回ばかりはその人間に呆れ果てているアスモデ。

「じゃああたしは引き続き人間界で新しい契約を探しますね〜」

「初契約おめでとうテシオン。とりあえず消滅の危機は脱しましたね。この調子で頑張ってください」

「アイアイサー。サタン様にもよろしく伝えておいてくださ〜い」

 そうして通信は切れた。

「え〜と、どれどれ。テシオンが契約した相手というのが……石井ヒデキ」。さっそくテシオンから送られてきた契約書に目を通すアスモデ。「これはまた使えそうにないくらい、真っ黒な魂ですね」。魂は純潔度が高く、高潔であるほど強い。しかし魔界には汚れた魂が来ることがほとんどである。ヒデキの魂はそのなかでも最低ランクの汚さだったのだ。

「どんな人生を送ったら、わずか16歳でここまで汚れた魂になるんだか」。あまりにも質が悪いため、アスモデは「これでは天使の足止めにも使えそうにありませんねぇ」とため息をついた。

 そのとき部屋にサタンが入ってきた。

「テシオンが初契約を結べたようですね。魂の回収はいつくらいになるでしょうか? 契約は良しとして魂が入手できないと、あの子は消滅してしまいますからね」

 吉報が届いたことに喜びながらも、まだ魂が入手できていないことを危惧するサタンだが、アスモデはその心配を否定するように言った。

「大丈夫です。B契約ですから」

「え! え〜と、その契約を結んだ人間は……その……バカなのですか?」

 自分とまったく同じ反応をするサタンを見てアスモデはクスッと笑ってしまう。

「サタン様もそう思いますよね。これを見てください」

 そう言ってヒデキの契約書をアスモデはサタンに渡す。

「これはまた……。ずいぶん汚い魂ですね。使い道がありませんよ」

「ええ。ですがまぁ契約は契約ですから」

「これを機にテシオンが飛躍してくれるといいのですが。とりあえず消滅を免れただけ良しとしますか」

 アスモデと同じくサタンもテシオンが消滅する心配がなくなったことに安堵しているようだった。

「このことは幹部連には知らせておいてください。テシオン、いまはああですが。いずれ魔界の幹部になってもおかしくない子ですから」

「わかりました。早急に手配します」

 そう返事をしたアスモデ。「パズズとベルゼブブは特に喜ぶでしょうね。テシオンを気に入っているので」。彼らのことを考えると、早く連絡をしたほうがいい。そう思い動こうとするアスモデにサタンが声をかける。

「そうだアスモデ部長。これから飲みませんか? テシオン初契約を祝して」

「いいですね。では幹部も呼んでそこで発表してもよろしいですか?」

「もちろんです。久しぶりの嬉しいニュースですから」

 テキパキと祝宴の準備を始めるアスモデ。サタンはその様子を見ながら嬉しそうな、それでいて不気味な笑みを浮かべていた。

次回、ヒデキはまぁまぁ嫌な目に遭います。自業自得ですね。

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