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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
アキラ、ピンチ?
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殺してもいいだって?

攻撃してきた人間にも優しいのがアキラなのです。

 アキラを襲撃した5人の男たち。彼らは友人というわけではなかった。闇バイト募集のサイトで集まったのだ。依頼内容は「ある男子高校生を痛めつけてほしい。できればなんらかの障害が残るレベルで。万が一殺してしまってもかまわない」というものだった。

「殺してもかまわないだと……」

 戦闘中と同レベルの殺気がダダ漏れになるテシオン。慌てて男たちが釈明する。

「いや殺すつもりなんて全然ありませんでした。たいした金額でもなかったし、こんなことで殺人犯になりたくないし」

「それに障害に関しても、できればということだったので。そこまで痛めつけるつもりもなかったです」

 男たちの言葉を黙って聞いているテシオン。その沈黙が彼らにはたまらなく怖かった。見かねたアキラが口を挟む。

「誰が依頼したかというのはわからないですよね?」

「申し訳ない。それはわからない。サイトのシステム上、俺たちにも誰からの依頼かわからないんだ」

 嘘をついているようには見えない。眼前に怒り心頭のテシオンがいるのだから、嘘をつけるはずもない。

「で、そのサイトにある依頼の投稿というのはどれだ?」

テシオンが鋭く睨みながら尋ねると、男は素直に答えた。

「はい。これです!」

 男の1人がスマホの画面を見せてくる。そこには先ほど聞いた内容の投稿が表示されていた。

「ふ〜ん。なるほどねぇ」

 テシオンはその画面を見てすぐに投稿主を突き止めた。魔力を使って、投稿されたパソコンまで辿っていく。現代悪魔にとっては初歩の初歩とも言える魔力操作なので造作もない。

「やはりあいつか」。予想どおりではあるが、依頼主はヒデキ。「こいつはキツイお灸を据えてやらんといかんな」。そうテシオンが考えていたとき、アキラが男たちに話し始めた。

「とりあえず怪我の応急処置をしないと。動かないでくださいね」

 自身も軽いとはいえ怪我をしている。それにもかかわらずアキラは男たちの治療を始めようとした。

「え! 俺たちお兄さんを襲ったのに……」

 アキラの言葉に男たちは愕然としている。

「そうですね。でも酷い怪我をしている人たちをほうっておくわけにはいきませんから」

 そう言いながらアキラは倒れている3人も助け起こして怪我のケアを始めた。驚く男たちにテシオンは語りかける。

「なぁわかるか? きみたちが襲ったのはこういう優しい男の子なんだよ。少しでも反省したら闇バイトなんてもうやめな」

 その言葉に男たちは力なくこうべを垂れた。5人とも涙を流している。

「俺たちがバカでした。楽して金儲けできると思ってしまって」

「俺、自分が恥ずかしいです。お兄さんのような人をお金欲しさで……」

「生まれ変わります」

「すみませんでした。この恩は忘れません」

「どうしたら許してもらえますか?」

 口々に謝罪の言葉、反省の言葉を口にする男たち。

「わかってくれたならそれでいいです。そして今後こういうことを絶対にしないと約束してくれるのであれば警察にも言いません」

 約束を違えたらテシオンに殺されるだろうが、もはや男たちにはそういう脅しも必要なかった。すると、おもむろに男の1人が思いもよらぬ言葉を口にした。

「兄貴……兄貴と呼ばせてください!」

「は?」

 アキラが間の抜けた顔で驚きの声を上げる。

「俺も! 俺も兄貴と呼ばせてください」

「じゃあ俺も!」

「男としての器の違いを思い知りました。兄貴」

「舎弟にしてください」

 口々に男たちが兄貴と呼び始めた。

「お断りします」

 アキラが舎弟の申し出を断ると、男たちは悲しそうな顔をした。あまりにも悲壮な表情を見て、困り顔でアキラが話す。

「舎弟は嫌ですけど、友達なら。友達になってもらえますか? 僕、友達少ないからみなさんが友達になってくれるなら」

 アキラの言葉を受けて、本当に嬉しそうにする男たち。

「「「「「はい! 友達でお願いします。兄貴」」」」」

「だから兄貴はやめてください」

 そう言って苦笑いするアキラ。「そういえばミラちゃんに先生と呼ばれたときも困ったなぁ」と懐かしいことを思い出していた。

テシオンは感心している。「自分に襲いかかってきた人間とすら友達になれるなんて、アキラは凄いな。あたしなら殺して終わりだけど」。

 そうして5人と連絡先を交換して買い物を続けるため、スーパーに向かうアキラとテシオン。別れ際、男たちからアキラは「兄貴」、テシオンに至っては「師匠」と呼ばれて、とても嫌そうな顔をした。

 こうやって波乱万丈な1日が終わるかと思ったが、さらにテシオンは深夜になってから行動を起こすのであった。

次回はヒデキにとんでもなく重い罰が下されます。

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