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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
アキラ、ピンチ?
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空手家テシオン?

アキラ、強い! テシオン、もっと強い!

「ちょっとそこのお兄さん。助けてくれないか?」

 夕飯の食材を調達しにきたアキラに声をかけてくる男がいた。

「どうしたんですか?」

「すまないけど。ちょっとこっちへ来てくれると助かる」

 男はそう言うと、アキラは脇道へと誘う。脇道へ入った瞬間、男は鉄パイプを手にアキラへ向かってきた。

「悪いな。お兄さんに恨みはないけど」

 そう言いながら鉄パイプを振り下ろす男。アキラは冷静にそれを躱し、男の右手首に左の正拳を叩き込む。その一撃は手首を砕くとまではいかないものの、鉄パイプを握ることができないくらいのダメージは与えた。

「聞いてたとおり、やっぱり強いねぇ。俺だけじゃどうしようもないか」

 男がそう言うと、物陰から4人の男たちが姿を現した。全員武器を手にしている。

「さすがに人数が多すぎるな……」。アキラはこの場をどう切り抜けるかを考え始める。「無傷というのは無理。脇道の入り口は塞がれている。どうする?」。脇道が細い路地で1人ずつしかかかってこられないのであれば、何も問題はなかった。相手が1人であれば、武器を持っていたとしてもアキラが遅れを取ることはない。しかしこの脇道はそこそこの広さがあり、アキラを取り囲むように4人が距離を縮めてくる。

「とりあえず致命傷だけは避けるような立ち回りをするしかないな。まず正面側の2人を倒そう」。

 1人の男が振り下ろした鉄パイプを紙一重で躱すアキラ。相手の顎に正拳を打ち込もうとするが、それはもう1人の男が警棒を振り回したことで妨害される。ディフェンスはなんとかなるが、反撃がままならない。

 後ろの男が振ったバットを後ろ蹴りでストップさせるが、意識をそちらに向けると前方の男たちの攻撃を防げない。ついにアキラの顔面をバットがかすめることとなった。大きなダメージにはならないものの、かすった跡から血が滲む。

「これはちょっとマズイかな」。アキラがそう感じたとき、またも警棒が頭をかすめる。出血はなかったが皮膚が赤く変色する。「一発貰いながら倒すしかないか。でも殴られたとき、立っていられるかな?」。相打ちを覚悟したとしても、相手は武器を持っている。素手の勝負であれば、どうとでもなるのだが武器を持った相手だと、貰った一発が命取りになるケースもある。「仕方ない。全力でいけるところまでいこう」。

 アキラがそう覚悟を決めたとき、身の毛もよだつような殺意を放つ者が現れた。

「おい! あたしの息子に何しようってんだ?」

 テシオンがいつの間にか脇道に入ってきていたのだ。彼女は無意識であるが、またアキラのことを「息子」と呼んでいる。しかし取り囲む空間が歪んでいるようにも見えるくらいの怒りを感じさせたため、誰も発言には気を向けなかった。アキラでさえも。

 相手の力量がわかる者であれば、決して近づかない。それくらい圧倒的な力を感じさせるオーラがダダ漏れであったが……。不幸なことにアキラを襲撃してきた男たちにはその力を見極めることができなかった。

「なんだおばはん? 邪魔するならお前もやっちまうぞ」

 男たちの1人がそう凄んだ瞬間……パンッという乾いた音を残して男は吹っ飛んでいた。

「誰がおばはんだ。殺すぞ、小僧」

 そう吐き捨てるテシオン。「殺すぞって、いまので死んだのではないか?」と顔色を変える男たち。

「裏拳か……」。目にも見えない速度で放たれていたが、テシオンと男の位置関係や男が飛んだ方向からアキラはそう判断した。

「クソ、てめえ。ふざけんな!」

 もう1人の男が怯えながらもテシオンにバットを振り下ろそうとする。しかしそのバットが振り下ろされることはなかった。なぜならバットを振り上げた瞬間、スパン!という音とともに真っ二つに折れたからだ。

「今度は上段回し蹴り……てかあれ金属バットだよね?」。アキラは襲われたことも忘れ、テシオンの圧倒的な強さに目を奪われていた。テシオンはバットを折った脚をそこから変化させてカカト落としで男を倒した。

「で、どうすんだい? まだやるかい?」

 そう凄むテシオンの背後に回り込み武器を振るおうとする1人の男がいたが……。ドガッという音とともに男が崩れ落ちる。アキラが飛び膝蹴りで男を失神させたのだ。

「背後からなんて卑怯な人だね」

 アキラがそう言うとテシオンがわざとらしくか弱い声を出した。

「ヤダ〜、アキラくん。ありがとう。ステキ!」

「後から襲おうというのがムカついた」

「正面からならいいのかよ! あたしいちおう女だぞ!」

 軽口を叩きながら苦笑いを浮かべるテシオン。

 最初にアキラに襲いかかった男を含め残るは2人。

「改めて聞くぞ。どうする? あたしとアキラにまだ向かってくるか? ここからは手加減なしで叩きのめすぞ。あたしが全力出すんだから、死んでも文句は言うなよ。そっちが襲ってきたんだからな」

「あれで手加減してたんだ……」。圧倒的すぎて、アキラはもはや乾いた笑いしか出ない。「マサト兄ちゃんでもどうしようもないだろうな。これが悪魔の強さかぁ」と妙な感心をしていた。

「この兄ちゃんが空手使いで強いというのは聞いてたけど、他にこんな化け物がいるなんて聞いてねぇぞ」

「まだ死にたくない」

 残った2人は完全に戦意喪失して震えている。

「これ以上、アキラに関わらないというなら見逃してやる。でもその前に知っていること、全部吐け。嘘ついたら骨を1本ずつ破壊していくからな」

 そう言うとテシオンは地面に落ちていた鉄パイプを両手で持ち、クシャッと折り曲げてしまった。男たちの顔がさらに青ざめる。

「話します、話します。嘘も絶対に言いません!」

「俺も知っていること全部話します。お願いだから、殺さないで……」

 男たちはいつの間にか正座しており、完全にテシオンの支配下となっている。アキラ襲撃の真実が男たちから語られる。

男たちから語られる真相はいかに?

ご意見、ご感想など頂戴できると励みになります。よろしくお願いいたします。

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