毒舌アヤメ?
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ここから少々展開が急になります。
「ちょっとこれはマズイな」。アキラはそう危惧していた。自分にアヤメが積極的に話しかけてくることで、アヤメの友人が彼女から遠ざかり始めているように感じていたのだ。「やっぱり僕と話しているからだよね」。そう思っても、アヤメは本人の言葉どおり頑固で「アキラくんもお父さんも悪いことはしていないんだから堂々としていればいいでしょう!」と意に介さない。「確かに悪いことはしてないけど、この状況は良くない。どうしたらいいかな?」。アキラはどうしても気になってしまうのだった。
そのころアヤメの友人、カオリとミサはアキラに関する新たな噂について話していた。
「ねぇカオリ聞いた?」
「上條くんの新しい話でしょう? なんかマルチ商法だけでなく、怪しい宗教にも一家でハマっているらしいね」
「ヤバイよね。私が聞いた話だと、上條くんが学校から早く帰るのは夕方から家で宗教団体の人とお経みたいなのをあげないといけないからだって」
「マジ? それキツイなぁ。そういえば上條くんってどことなく新興宗教の教祖っぽい雰囲気あるよね」
もう少しボリュームを抑えればいいものの大きな声で話しているから、内容がアキラにも丸聞こえであった。「はぁ……マルチの次は宗教か。よくも次から次と飽きずにそういう話が出てくるもんだなぁ」。アキラは噂の内容があまりに稚拙で呆れていた。アヤメは「またくだらない噂。無責任にもほどがある」と憤慨している。
お昼を迎えるとアキラはいつも以上に素早く教室から抜けて屋上を目指した。これまでと違うのはアヤメも一緒ということだ。このところ2人は屋上でお弁当を食べている。
「上條くん、私もうバカらしくなってきた。なんであんな噂を嘘だと見抜けないんだろう? うちの学校って進学校だよね? クラスにバカしかいないという気になってきたよ」
「アヤメちゃん、口が悪くなってるよ」
そう笑いながら言うアキラ。
「噂話が好きな人、他人の陰口や悪口で盛り上げる人って一定数いるからね。以前父さんに聞いたんだけど、会社でも一部そういう人がいるらしい。だからいくつになっても、そういう人は変わらないのかもね」
アキラの言葉を聞いて「本当にバカみたい!」とアヤメは再度怒っている。「怒りながらご飯を食べても美味しくないよね」と考えたアキラは話題を変える。
「アヤメちゃん。この唐揚げ、いつもと味付けを変えてみたんだけど感想を貰えないかな?」
「アキラくんの新作! 食べてもいいの?」
笑顔でうなずくアキラ。アヤメは遠慮なく唐揚げを1個頂戴する。
「美味しい! これどうやって味付けしてるの?」
「今回はごま油を最後に軽くまぶしてみたんだ。そのほうが美味しいって書いてあるブログを見つけたんだ」
「これは美味しい。揚げ物好きのアイさんも大満足じゃない?」
「そうだねぇ。あの人、揚げ物ならなんでも好きだから。味付け変わっても変わらなくても大喜びするから」
アキラがそう言うと、アヤメも「確かに」と返して2人で大笑いした。どんどん距離が縮まっていく2人をまたもやヒデキが恨みのこもった目で見ていることには気づいていない。
「おかしいだろう! あれだけ悪評が立っているアキラに、どうしてアヤメは変わらず接しているんだ? 前よりも親しげにも見えるし。これは強硬手段に出るしかないか……」。そうして新たな計画を考え始めたヒデキは醜く顔を歪めていた。アキラとアヤメの仲を引き裂くためなら、手段は選ばない。目障りなアキラが消えるなら、彼が死んでもかまわない。そこまでヒデキは考え始めていた。
このことが後に大きく自分に跳ね返ってくることも知らず、ヒデキはアキラを消してアヤメと結ばれるという、絶対に来ることがない未来を思い描くのであった。
ヒデキの新たな計画とは? そしてそのしっぺ返しは?
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