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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
アキラ、ピンチ?
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宇宙を包むオムライス?

アキラ、どんどん友人が増えていきます

「こんにちは」

「アキラっちいる〜?」

 タカオと奇跡が上條家を訪ねてきた。

「いらっしゃい。よく来たな」

 テシオンが2人を出迎える。

「アイ姐、アキラは?」

「いるよ。とりあえず上がんな」

 2人がリビングまで入ると、見たことのない女子を相手にアキラが料理を教えている最中だった。

「タカくん、ミラちゃんいらっしゃい。いまクラスメートの三橋さんとオムライスを作っているところなんだ」

 そうアキラが言うと、アヤメが2人に挨拶をする。

「あ、どうも初めまして」

 それからタカオ、奇跡、アヤメは互いに自己紹介をした。奇跡がタカオの耳元で小さな声を出す。

「タカ、なんかアキラっちの周りにまた新たな美少女が……」

「うん。でもクラスメートって言ってたし。アキラを好きってわけではなさそうじゃないか?」

「いまはね。でもアキラっちの内面を知っていったらどうなるかわかんないよ」

「マジかぁ。久仁子にはとてもじゃないけど言えないわ」

 コソコソと2人が話している間もアキラはアヤメにわかりやすく料理を教えている。

「ケチャップは具材に絡める前に軽く水分を飛ばすと、仕上がりがベチャッとならないよ。そうそうそんな感じでフライパンの上で少し混ぜる感じね」

「そうだったんだ。いつもお米がベチャベチャで弟から不評だったんだけど、こうすればいいんだ」

 アキラの的確な教え方にタカオと奇跡も感心しきりだ。

「アキラっち、勉強を教えるのも上手いけど、料理を教えるのも上手いね」

「教え上手だよな」

 そうした声が聞こえてきて、アヤメも同じことを思っていた。「上條くん、本当に教えるのが上手い」。ときおり「ここまでは大丈夫?」と立ち止まって、疑問がないかを聞き返す気遣いがあるのもアキラらしい。彼にとっては当たり前でも、その気遣いがアヤメを感動させていた。「本当に優しい人なんだな。もっと早くから学校でも話しておけばよかった」。少しの後悔を滲ませながらアキラの言葉を逃すまいと耳を立てるアヤメ。

「卵で包むのはまだやらなくてもいいと思う。最初はお布団をかけるみたいに卵を上にかけておけばいいよ。その代わりケチャップで卵に絵を描いたら、じゅうぶん見栄えがいいから。三橋さん絵が上手だから、包んであるオムライスより良いと思う」

「料理は下手でも絵なら自信ある!」

 明るい顔で返すアヤメに優しい笑顔を向けるアキラ。

「ダメだ、これは惚れるパターンだ……」。静かに呟く奇跡の耳元でテシオンが「うちのアキラは良い男だからねぇ」と囁く。

「よし! できあがり」

 アキラのその言葉にテシオンが食いつく。

「どれ、アキラ。ではこのアイ姐さんが試食してあげようじゃないか」

「もう! アイちゃん食い意地張りすぎ」

「何を言うか。冷静な第三者の意見が必要だろう」

 よだれを垂らしながら言われても説得力皆無だよとアキラは思ったが、アヤメは緊張の面持ちで「お願いします!」と皿を差し出す。

 アヤメ作のオムライスにスプーンを入れるテシオン。そのままスプーンを口に運ぶが神妙な顔をしている。

「美味しく……なかったですか?」

 恐る恐る尋ねるアヤメ。それでもテシオンは黙っていたが、おもむろに口を開く。

「これはアキラが作ったやつだよな?」

「違うよ。三橋さんが作ったやつ」

「えっと上條くんが作ったと勘違いしたということは……」

 まだ不安げな表情を浮かべるアヤメにテシオンは笑顔で言った。

「美味い! むちゃくちゃ美味い! アキラが作ったのと遜色ないぞ。すごいなアヤメちゃん、料理の才能あるわ」

 その言葉を聞いて「よかった〜」と安堵するアヤメ。タカオや奇跡も他人事ながらホッとした様子。「よかったね、三橋さん」と言いながら、アキラがテーブルに皿を並べていく。

「よし、じゃあお昼にしよう。みんなテーブルに集合!」

「アキラ、俺たちの分もあるのか?」

 そうタカオが尋ねると「当たり前じゃん」と笑顔で答えるアキラ。アヤメに手ほどきをしながら、タカオと奇跡が姿を現した時点で2人の分も作り始めていたのだ。

「よし、次はアキラ作のオムライスだな」

 そう言ってすごい早さで着席するテシオン。タカオ、奇跡、アヤメもそれに続く。

「「「「美味―っ!」」」」

 ひと口食べて、4人が合唱する。その様子をアキラは笑顔で見ている。

「アキラ、やっぱり君のオムライスは最高だ! いまこの卵はケチャップご飯を包むだけではなく、あたしの心……いやこの銀河系を包んでいる」

「相変わらず大げさだねぇ、アイ姐。でもマジで美味いわ、アキラっち」

「アキラがレストラン始めたら、俺毎日でも通うわ」

「私も通いたいです」

 4人の満足した顔を見てアキラはニコニコしている。そんなアキラを見てアヤメは思う。「上條くんのことをぼっちだとか陰キャだとか言う人もいるし、スクールカーストの最底辺と言う人もいる。でも私たちなんかよりはるかにすごい人だ。みんななぜ気づかないのだろう。クラスのみんなも私も何もわかってなかった」。

 アヤメが何よりも感心したのは、タカオと奇跡の分までオムライスを作っていたことだ。自分に教えながら訪ねてきた友人のために料理していた。手際の良さではなく、その心遣いが素晴らしいとしみじみ感じている。

「せっかく連絡先を交換できたのだから、これから上條くんと仲良くできたらいいな」。そう思いながら、アキラ作の絶品オムライスを食べるアヤメであった。

アキラのオムライス。私も食べたい。

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