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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
アキラ、ピンチ?
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お店で買ったんじゃないの?

毎日見にきてくださっている方、本当にありがとうございます。

そして初めて見にきてくださった方も、たくさん作品がある中見てくださってありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけるように、頑張って書きます!

「おはよう」

 その日もアキラはいつもと変わらず、クラスメートに挨拶をした。しかし返事が返ってこない。皆アキラを見ると視線を逸らす。「なんだろう? 僕何かしたかな……」。不思議に思うアキラだが、どちらにしろ挨拶以外で人と話すことはほとんどないのだから支障はない。「まぁいいか。でもなんか変なの」。そう思いながら着席して、いつもどおり授業を受ける。休み時間に小説を読むのも、お昼をひとりで食べるのも変わらない。しかしここで朝の挨拶と同じく通常とは違うことが起こった。

「上條くん、いっしょにお昼食べてもいい?」

 屋上でぼっち飯を堪能しているアキラにアヤメが声をかけてきたのだ。

「三橋さん、どうしたの? 今日は友達と食べないの?」

 入学以来、初めてお昼を一緒にと言われたアキラはビックリしていた。

「うん。今日は上條くんに教えてもらいたいことがあって」

 アヤメの教えてほしいこととは料理であった。祖父が倒れたという知らせを受けて母が病院へ向かったとき、1週間アヤメは家のことをすべて任されていた。その後祖父が近くの病院に転院してくることとなり母も自宅へ戻ったのだが、病院へたびたび行かなければならない母と家のことを分担しているとのこと。そしてアヤメは毎日晩御飯を作っているのだとか。

「でも弟たちが私の作ったご飯をあまり喜んでくれなくて……。お母さんのご飯が食べたいって言うの。でもお母さんはおじいちゃんのことで忙しくしているから、毎日晩御飯を作るのは無理だし」

 そう言って沈んだ面持ちのアヤメ。

「上條くんはお家のことをずっとやってきているんだよね? 料理のコツを教えてほしいんだ」

「僕にわかることであれば教えるけど……」

 教えるのは一向にかまわないが、自分の作り方でアヤメの弟たちは満足するだろうか? そう心配するアキラのお弁当箱にアヤメの視線は向けられている。

「このお弁当も上條くんが作ったんだよね? ちょっと貰ってもいい?」

 アヤメのお願いを快諾すると、「どうぞ」と卵焼きを渡すアキラ。

「え! なにこれ。めちゃくちゃ美味しい。本当に上條くんが作ったの? お店で買ったとかではなく?」

「うん。うちでは僕が料理担当だからね」

 いまは家事を分担していること。そのなかで料理を自分が受け持っていることをアキラは説明した。

「上條くんお願い! 私に料理を教えてください。次の土曜日、時間あるかな? 料理を教えてほしい。家にお邪魔するのは図々しいかな?」

「別に大丈夫だよ。じゃあお昼ご飯を作ってみる? 弟さんたちオムライス好きかな?」

「大好物だよ! 私が作ったのは評判が良くなかったけど……」

「じゃあオムライスを作ってみよう。大丈夫、きっと上手に作れるよ。弟さんたちも喜ぶと思う」

「ありがとう! 本当に助かる」

 アキラとアヤメは連絡を交換した。「はじめて学校の人と連絡先、交換しちゃった」と驚くアキラ。テシオンが来てからというもの、これまででは考えられなかったことが次々起こることにアキラは不思議な思いだった。「これってテシオンが運をもたらしたとかなのかな? 幸運の悪魔ってこと? 何かお礼しないと。カレーコロッケでも作ろうかな」。

 そんなことを考えていると、アヤメが質問してきた。

「上條くんはお家のことをこれまでずっとやっているんだよね? だから学校からも早く帰るんでしょう」

 その言葉を肯定するアキラ。アヤメは続けて少し聞きづらそうに質問した。

「それって辛くないの? 放課後遊んだりできないし、自分の時間があまりないよね」

「う〜ん、辛いと思ったことはないなぁ。父さんが外でお仕事を頑張っているから、僕が家のことをやるのは当たり前というか……。それに父さんも手伝ってくれてるし」

 自分は頑張っているんだと思うこともなく、家のことをやるのが当然と返すアキラにアヤメは新鮮な思いであった。「自己犠牲ってわけでもないよね。上條くんにとってはふつうのことなんだ」。そう感じてアヤメは素直にアキラを賞賛する。

「上條くんは偉いね」

「偉くなんかないよ(笑)。当たり前のことをやっているだけ」

 褒められてもまったくアキラの態度が変わらないことにアヤメは感心していた。そしてそれからもアヤメの質問は続いた。

 アキラは家に母方の親戚・アイが同居していること。他校の友人(タカオ、奇跡、カノン、クララ)がいること。アイの豪快すぎるエピソードなどを話した。アヤメは興味深く聞いていたが、アイの話がツボに入ったようで笑い転げていた。

「上條くんってこんなに面白い人だったんだね」

「違うよ。面白いのは僕じゃなくて、アイちゃん」

「じゃあ土曜日はそのアイさんにも会えるんだね」

「うん。確実に味見させろと言ってくると思う(苦笑)」

「じゃあ私も頑張って作らなきゃだね(笑)」

 そうして土曜日に上條家で料理教室が開催されることとなった。楽しく昼食を摂る2人だったが、それを歯噛みしながら見る者がいた。ヒデキだ。

「なんでアキラがアヤメと親しげに話しているんだ?」。ヒデキの流した噂により、アキラは今朝から孤立を深めている。しかし落ち込んでいるはずのアキラは、自分の好きなアヤメと楽しく昼食を摂っている。

「クソ。いまのうちに楽しくやっておけばいい。まだアヤメの耳に噂は届いていないようだが、あの噂を耳にしたらきっと離れる。お前の楽しい学園生活はすぐ終わるんだ」。そんな嫉妬丸出しの醜い思いを抱きながら、ヒデキは屋上を後にした。アキラ自身はぼっちを気にしていないし、タカオや奇跡、カノン、クララがいるので以前より充実した毎日を送っていることなど想像もできていないのだ。

 自分はなんでもできると思っているだけに、ヒデキは奸計がうまくいくと確信していた。それが意味のないことだと気づかずに。

ヒデキの思惑とは別に関係を深めるアキラとアヤメ。

当然ですがテシオンも絡みます。

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