見下してる?
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アキラのクラスメート三橋アヤメ。成績はトップクラスで美術部所属。県展に入賞したこともあるくらい美術の才能にも恵まれている。ルックスは校内で一二を争うほど可愛く、高校入学後何人もの男子から告白されている。彼氏はいないが、噂では学校のヒーロー的存在でありアキラの幼馴染でもあるヒデキと両想いだという。
そんな三橋が噂の相手でもあるヒデキを含めた数人の友人たちと学校から帰っていた。友人の1人、村井美和子が声をあげる。
「あれって上條くんじゃない?」
そう言われて数人が通りに目を向けるとそこにはアキラの姿があった。夕食の材料を入れたエコバッグを手にして家路についていたのだ。「唐揚げ、トンカツ、アジフライ、天ぷら……テシオン、どれだけ揚げ物好きなんだろう? 悪魔って揚げ物好きなのかな。とにかくこのままでは僕はまだしも父さんの胃袋がやられちゃうよ」。そう考えながら歩いていると、不意に声をかけられた。
「アキラ、買い物か?」
顔を向けるとそこにはヒデキ含めた数人が立っていた。
「ヒデくん。部活帰り?」
「ああ。アキラは夕飯の材料を買いに?」
「うん」
「相変わらず家のこと、やってるんだ。偉いな」
「別に偉くはないよ」
「いや、たいしたもんだよ」
「ありがとう。じゃあ僕、もう行くね」
久しぶりにヒデキと話せたが、「他の人がいるところであまり親しくされてもヒデくん困るだろうし。こんな陰キャと友達とは思われたくないだろうから」。そう考えて足早に立ち去った。
「上條くんって今日は晩御飯自分で作るんだ」
そう美和子が言うと、ヒデキがそれは違うと言った。
「あいつの家、母親がいないから家のことを毎日やってるんだよ。料理も掃除も洗濯も」
「マジで! だからいつも学校から早く帰ってるんだね」
「ああ大変だよな。自分の時間なんてないだろう。それで楽しいのかね?」
一見アキラを心配して発言しているように見えるが、ヒデキはアキラを「哀れな奴」と蔑んでいた。
「確かにかわいそう。父親に押し付けられているのかな?」
「まぁ俺たちみたく両親が揃っている家は恵まれてるよな」
そう言って笑う美和子とヒデキ。そのヒデキにアヤメは違和感を抱いた。「ヒデキくん、上條くんのことをバカにしている? 確か幼馴染で昔は仲が良かったと聞いたけど……」。
そんな会話が交わされているとは夢にも思わないアキラが歩いていると、耳慣れた声が飛び込んできた。
「アキラっち〜」
「あ、ミラちゃん」
下校中の奇跡が声をかけてきたのだ。奇跡もまた友人たちと歩いているところだった。
「なに、この子がアキラくん?」
「そうだよ、ミラとタカの大親友! 自慢の友達なんだ」
「頭良くて料理も上手なんでしょう。しかも優しいとか。最強じゃん!」
自分を自慢の友達と言ってくれるミラ。それは嬉しいが、「ふだん僕のことをどう伝えているんだろう? 過大評価だと思うんだけど」。アキラは心配になった。
そんなことを考えているとき、これまた耳慣れた声が飛び込んできた。
「アキラ〜、ごめん。どうしようもない。助けてくれ」
「アイちゃん!」
「あ、アイ姐だ」
泣きそうな顔をしながらテシオンがフラフラと歩いてきた。
「どうしたの?」
「頑張った、あたしは頑張ったんだよ。でももうどうしようもない」
この世の終わりといった顔で崩れ落ちるテシオン。
「とにかく家にすぐ戻ってくれ」
「わかったよ。いったいどうしたのさ?」
2人のやりとりを見ていた奇跡たちがヒソヒソと話をする。
「ミラ、この人がアイ姐さん?」
「うん」
「ミラの話どおり、すんごい美人だね」
「その美人が泣いている……。これは事件の匂いがする!」
一生懸命テシオンをなだめているアキラに奇跡の友人たちが声をかけた。
「あの〜、私たちもお宅にお邪魔してもいいでしょうか?」
「え!」
「ごめんアキラっち。この子たち言い出したら聞かないんだよ。少しだけでいいから」
奇跡の困った顔を見ると断るわけにもいかず、アキラは「家に来てもなにもないよ。楽しくないと思うけど、それで良ければ」と了承するのであった。
テシオンになにがあったのか?
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