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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
ぼっち高校生アキラ
23/128

フランス人形ですか?

本日最後の投稿です。

 身じろぎひとつしないカオルを見て慌てたタカオが口を開こうとした瞬間、カオルがタカオに向かって言った。

「タカオくんだよね? いまなんて言った?」

「え……おじさん」

「もう一回言ってくれないか!」

 全員の頭に疑問符が浮かぶ。「何言ってるんだ、このおじさん?」。アキラですら「父さん、どうしたんだろう」と困惑している。

「俺は! 息子の友人に“おじさん”と呼んでもらった経験がないんだ。こんな新鮮な気持ちになるんだな」

 カオルに変なスイッチが入ったのか、妙なところで感動している。

「ごめん、父さん。僕がぼっちだったからなかなか経験させてあげられなくて」

 アキラが思わず謝罪する。「アキラっち、そこ謝るところじゃないから」と奇跡がツッコむ。

「ごめん、ごめん。なんか感動しちゃってさ。でそっちの女の子がミラちゃんだね。はじめまして。アキラの父でカオルと言います。君も遠慮なくおじさんと呼んでくれ!」

「父さん……」

 父の意外な一面を見てアキラは脱力していた。タカオ、奇跡はホッとした様子だが、急に真剣な表情になり言いにくそうに切りだした。

「あの、おじさん。うちらこういう格好じゃないですか。ハッキリ言って進学校に通うアキラとはまったく違って……その不良みたいな格好ですよね。そういう奴らがアキラと友達づきあいすること、嫌じゃないんですか?」

 アキラのことを大切な友達だと思うからこその発言だった。アキラが「タカくん、何言っているの! 格好なんて関係ないじゃん」と言おうとしたそのとき。カオルが不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

「フッフッフ。タカオくん、奇跡ちゃん。君たちその程度の格好で世間様から後ろ指を指されるとでも思っているのかね」

「「え?」」

「仕方がない。アキラにも見せたことがないおじさんの真の姿を見せてあげようじゃないか」

 そう言うとカオルは自分の書斎に向かった。

「アイちゃん、父さんどうしちゃったんだろう」

「う〜ん、仕事が忙しくてストレスでおかしくなったとか?」

「どうしよう……」

 心配する2人をよそにカオルは何かを手にして戻ってくる。

「これを見るがいい!」

 そう言ってカオルが差し出したのは、派手な鋲がいくつも打ち込まれた革ジャンと革パンであった。さらには何枚かの写真も見せつけてきた。

「え! これ父さん?」

 写真には目の前にある革ジャンと革パンを身につけた男性が、顔に黒塗りのメイクをしてマイクに向かって叫んでいるような姿が写っている。

「フハハハハ、お前もフランス人形にしてやろうか」

 アキラが聞いたこともないようなダミ声をカオルが出した。かと思いきや急にいつものカオルに戻って言った。

「お父さんな、昔ヘヴィメタルをやっていたんだよ。ライブ会場で着替えるのはロックじゃない! そう思って家からこの格好で行っていたんだけど、そりゃ後ろ指を指されたもんだ」

「まさかこのメイクで近所を歩いたの?」

 アキラが驚いて大声を上げる。

「おう! 山中さんちのおばあちゃんなんか“カオルちゃんに狐が憑いた”って大騒ぎだったぞ」

「え〜」

 父の意外すぎる一面にアキラは絶句した。カオルは優しい表情を浮かべてタカオたちに話しかける。

「な! だからタカオくんたちの格好なんて、どうということはないんだよ。人間見た目じゃない。タカオくんたちがアキラを大事な友人だと思ってくれているなら、おじさんはそれだけで嬉しいし髪の毛の色や服装なんて気にしないよ」

 とても良いことを言っているはずなのに、まったくそういう雰囲気にならないのはインパクトが強すぎたからだろう。ただタカオ、奇跡はカオルの気遣いに感謝はしているようだ。

「なんかすごいっす。おじさん」

「アキラっちのお父さん、ただ者じゃないね」

 そう言うのが精一杯。

「カーくん、気遣いってそういうことじゃないと思うよ」

 テシオンがそう言うと、またダミ声でカオルは答えた。

「拙者、このとき10万20歳だったからな。若気の至りというやつだ、フハハハハ」

「もういいから! たこ焼き作るよ」

 無理やりその場をアキラは収めて、本来の目的であるたこ焼きパーティーへと場を移行させる。ただアキラは「父さん、タカくんとミラちゃんに気を遣ってくれてありがとうね」と心の中でそっと思うのであった。

ヘヴィメタル良いですよね。なんか元気が出ます。

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