友達いたの?
たこ焼きパーティーの準備を整えるアキラ。クラスメートと出会います。
「今度の土曜日、よかったらうちでたこ焼きパーティーをしない? 父さんが乗り気なんだ」
そうチャットを送ったら、すぐにグループ通話が始まった。
「アキラ、たこ焼きはアキラが焼くのか?」
「うん、僕がやることになると思う」
「マジか! 絶対行く。あのときのハンバーグ、まだ忘れられないんだよ。めちゃくちゃ美味かったもんな」
「私も絶対に行きたい! いつもタカからアキラっちが料理上手だって聞かされてて、いつか私も食べたいと思ってたんだよ」
「2人とも来てくれるんだね」
「「当たり前じゃん!」」
カップルならではの息がピッタリなところを見せつけるハモリであった。
そして週末までの時間、学校ではいつもどおりのぼっちライフを送ったアキラだが「週末に友達と遊ぶ約束がある」というだけで、ずっとワクワクが収まらなかった。
迎えた当日、朝からアキラはスーパーに来ていた。「タコはOKでしょう。卵も買ったし、牛乳、薄力粉は家にある……。うん、これで大丈夫かな」。必要なものをカゴに入れレジに向かおうとしたとき、アキラに声をかけてくる者がいた。
「上條くん!」
声がした方をアキラが向くと、そこには同じクラスの三橋アヤメが立っていた。
「三橋さん、こんにちは」
アヤメの目線はアキラが手にした買い物カゴに留まっている。
「何を作るの?」
「あ、これ? たこ焼き。今日は友達が家に来てくれるからたこ焼きパーティーをやる予定なんだ」
「上條くん、友達いたんだ……」
発言した瞬間、アヤメは自分がとても失礼なことを言ったと気づき口を押さえた。
「ごめんなさい! 上條くん、学校ではほとんど誰とも話さないから」
「いいよ、気にしてないから。それについこの間までぼっちだったのは事実だしね」
そう言うとアキラは朗らかに笑った。
「三橋さんはこんな時間にどうしたの?」
開店早々のスーパー。ふつうに考えれば、高校生がいるのはあまり自然とは言えないのでアキラは尋ねてみた。
「あ、私は……お昼ご飯と晩ご飯の材料を買いに。田舎のおじいちゃんが入院したから、お母さん向こうに行ってて。私が代わりにご飯を作らないといけないんだ」
「そうか。大変だね。おじいさんたいしたことないといいね」
「うん、ありがとう」
会計をすませて2人は別れた。アキラは「初めて学校の人とたくさん話しちゃった。変な奴だと思われなかったかな」と心配したが、それよりもタカオや奇跡とパーティーをすることへの期待感が勝り「待たせちゃいけないから早く帰ろう」と思い直し家路を急ぐのであった。
家に帰るとカオルがすでにたこ焼き機の準備を整えていた。テシオンに至ってはすでにお皿を手にしている。
「アイちゃん、気が早すぎ!」
「アキラ、昔の人は良いことを言っている。“善は急げ”だ」
「“急いては事を仕損ずる” “急がば回れ”とも言っているけどね」
「ムゥ……」
そんな2人をカオルは笑って見ている。そのときインターホンが鳴った。
「ごめんくださーい」
「こんにちは!」
「あ! タカくんとミラちゃんだ」
アキラは玄関に2人を出迎えに行った。
「2人ともいらっしゃい」
「「お邪魔しまーす」」
そう言うと2人は元気にリビングに入ってくる。
「タカ! ミラ! よく来たな。まぁゆっくりしていってくれよ」
「アイちゃん、自宅でもないのによくそういうセリフが吐けるね」
「アキラ、うるさい!」
2人を歓迎するテシオンの家主であるかのような態度にアキラは呆れながら笑った。
「そうだ。2人は父さんと会うのは初めてだよね」
そう言うとアキラはカオルに2人を紹介した。2人もカオルに挨拶する。
「今日はありがとうございます。おじさん」
そうタカオが言うと、カオルは固まってしまった。
「おじさん……」
静かに呟いたまま微動だにしないカオル。タカオは「おじさんはまずかったかな?」と焦るのであった。
たこ焼き。銀だこがいいな。
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