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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
ぼっち高校生アキラ
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先生? 友達?

時間ができたので続きを書きました

 昔話をしながら2人が言い合っていると、奇跡がおもむろに口にした。

「いいなぁ、久仁子ちゃんは。ちゃんとした意味が込められた名前で」

 悲しそうに言う奇跡にテシオンが問いかける。

「いやいや奇跡ちゃんの名前だって、お父さんお母さんが考えた意味があるだろう?」

「いやアイ姐さん。そんなのないっすよ。ママに以前訊いたら『海外でも通用する名前にしたかったが、マタニティハイだった。すまん』と言われましたから」

 いつの間に姐さん? なにがあったの? そう不思議に思うアキラをよそに奇跡はさらに続けた。

「だからあまりに恥ずかしくて、みんなには“ミラ”って呼んでもらってるんですよ。だいたい海外でも通用する名前って、サラとかナオミとかならわかりますよ。ミラクルってなんだよ……」

「でもお父さんたち、嬉しかったんだと思う」

 アキラが口を開く。

「奇跡さんが生まれてきてくれること、お父さんたちにとっては本当に奇跡だったんじゃないかな。それくらい嬉しかったんだと思うよ。マタニティハイというのは照れ隠しなんじゃないかな。宝物のように大事な奇跡さんが生まれてくれること、それが奇跡だったんだよ」

「アキラくん……いや、先生!」

「せ、先生?」

「目の前が開けました。先生と呼ばせてください!」

「え〜」

 そのやりとりを見て池森は「さすがは上條だよなぁ」と感心している。「感心してないで助けてよ!」とアキラに言われても、それは変わらなかった。そしておもむろにこう切り出した。

「それでな。上條、こうしてまた会えたからお願いしたいことがあるんだけど……連絡先を交換してもいいかな?」

 池森の話だと、引っ越してからアキラと連絡先を交換していなかったことに気づいたとのこと。そのことで久仁子と母からすごく責められたのだ。

「タカ兄、なんで上條さんの連絡先を知らないの! 久仁子また上條さんとお話ししたいのに、タカ兄のバカ!」

「タカオ、あんたはバカだバカだとは思っていたけど、どこまでバカなんだい? 恩人の連絡先もわからないでどうやって恩を返すんだ、このバカ息子!」

 この他にもメチャクチャに責められたのだろう。身内に殺されるかと思ったと言いながら、池森は遠い目をしていた。

「おふくろ、上條が話してくれた久仁子の名前の話、とても感動していたんだ。私の思いを言ってくれた!って。それだけに余計に怒ってたんだよ」

 さらに続いた池森の言葉にアキラは心底驚くことになる

「それにな。どうやら久仁子は上條を好きになってしまったらしくてさ。『私、上條さんのお嫁さんになる!』とずっと言っているんだよ」

 絶句するアキラ。「なんで僕なの?」と思わず呟くが、それに対して池森は明確な答えを示す。

「そりゃ久仁子からすれば、自分の名前に自信を持たせてくれた。勉強ができる。喧嘩が強い。優しい。料理が上手い。好きになる要素はいくらでもあると思うぞ」

 ここまで褒められてアキラはゆでダコのように真っ赤になった。「ヒューヒュー」と囃し立てるテシオンをキッと睨むことは忘れなかったが、そうとう動揺している。

「久仁子は中学生になってから、めちゃくちゃモテてるんだよ。兄貴の俺が言うのもなんだけど、あいつ可愛いからな。でも心に決めた人がいると言って告白を全部断っているんだ」

「そうか、確かに可愛い子だったもんね」

 あれだけ可愛ければモテるのはわかるが、まさか自分に好意を寄せているとは信じがたいアキラであった。

「それでもうひとつお願いがあるんだけど」

 動揺から立ち直っていないアキラに池森が切り出した。

「俺たち、友達になるというのはダメかな?」

「え! 池森くん僕なんかと友達になってくれるの?」

「僕なんかってなんだよ。こっちからお願いしてるんだぞ」

 アキラは驚いた。なんの取り柄もない。流行りも知らない。そんな自分と友達になりたいだなんて。さらには奇跡も言う。

「先生、それなら私も友達がいいです!」

「え! 奇跡さんまで。それと先生はやめて……」

 テシオンは嬉しくて仕方なかった。「見てくれている人はどこかにいるもんだ。池森と奇跡ちゃん、どっちも良い子だし。カーくんに良い報告ができる!」。

 結局、友達なのに苗字で呼び合うのもいかがなものか?ということで、なぜかテシオンも交えて次のような呼び方で決まった。

 アキラ→池森:タカくん

 アキラ→奇跡:ミラちゃん

 池森→アキラ:アキラ

 池森→テシオン:アイ姐さん

 奇跡→アキラ:アキラっち(先生だけは絶対にイヤだというアキラの願いが聞き入れられた)

 奇跡→テシオン:アイ姐さん

 テシオン→池森:タカ

 テシオン→奇跡:ミラ

「なんでアイちゃんも参加してるの?」

「アキラ、細けえこたぁいいんだよ」

「なにその燃える闘魂イズムは」

 テシオンに突っ込みながらもアキラは嬉しさを抑えきれなかった。それと同時にタカオと奇跡もとても喜んでいた。

「マジか、ついに上條……いやアキラと友達になれた。やったぜ。久仁子やおふくろにも報告しないと」

「いやマジ、タカと付き合っていて良かったわ。アキラっちとアイ姐さん、二人も自慢できる友達ができるなんて」

 アキラもしみじみと喜びを噛みしめる。

「ずっとぼっちだったのに、いきなり2人も友達ができて僕がいちばん驚いているし嬉しいよ。本当にありがとうね」

「よろしくなアキラ」

「よろしくねアキラっち」

「よろしく、タカくん。ミラちゃん」

「おいおい、アイ姐さんを忘れるなよ!」

 テシオンが最後にそう言うと、みんなが明るく笑うのであった。

ついにぼっちを脱出したアキラ。学校には友人がいませんけども。

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