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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
ぼっち高校生アキラ
18/128

シワシワネーム?

連休、書き溜めの最後です

「あ、でも食材勝手に使ったらダメだよね?」

「いやそれはいいけど、上條料理できるのか?」

「うん。うちでは僕が料理の担当だから」

 池森はそこで初めてアキラの家に母親がいないことを知らされた。そして家事から掃除、料理をアキラが受け持っていることも。

「なんだ。うちとは逆だな。うちは親父が病気で死んじまったから」

「そうだったんだ」

 少ししんみりした様子で2人は話していたが、それを打ち破ったのは池森の弟たちだった。

「上條さん、料理もできるの? すげえ!」

 そうユキヒロが言えば、久仁子も「すごい」を連発していた。

「お母さんほど上手には作れないと思うけど、作ってみるね」

 そう言ってアキラは手慣れた様子でハンバーグを作り始めた。30分後見事にできあがったハンバーグを食べながら兄弟は感動していた。

「上條、これマジやばい。美味い」

「上條さん、美味しい! お代わり欲しい」

「久仁子も!」

「はいはい。たくさん食べてね」

 父以外に料理を褒められてアキラはとても嬉しかった。父ならばどんな料理も「美味しい」と食べてくれるので、本当に自分の料理が美味しいかどうかアキラには測りかねていたからだ。「父さんがいつも美味しいと言っているのも本当のことだったのかな。だとしたら良かった」と少々安堵していた。

 食後、お茶を飲んでいると久仁子がアキラに話しかけてきた。

「上條さんは久仁子の名前どう思う?」

 あまりに唐突な質問に池森が聞き返す。

「どうした久仁子? 急に」

「それがね……」

 彼女の話によると、同級生にはいわゆるキラキラネームと言われる名前の女の子が多いとのこと。そのため久仁子の名前をシワシワネームと言ってバカにしてくる子がいるのだとか。自分の名前を気に入っている久仁子だが、あまりにもバカにされると「本当はみんな私の名前を変だと思っているのかな?」と不安になってきたそう。そこでアキラに意見を求めたのだという。

「う〜ん。僕は久仁子ちゃんの名前はとてもステキだと思うけどなぁ」

「本当?」

「うん。久仁子ちゃんのお母さんに話を聞かないと本当のところはわからないから、これは僕の予想ね。久仁子ちゃんの久。これはとても長い時間を表す漢字なんだ。永久とか聞いたことあるでしょう? そして久仁子ちゃんの仁。これは思いやりという意味があるんだ。そして久仁子ちゃんの子だけど、これは一から了までという意味。つまり生まれてから死ぬまで、一生ということ。だから久仁子という名前は、一生長く思いやりを持って生きてほしいとか、思いやりがある人たちに囲まれた人生を送ってほしい。そういう意味があると思うんだよね。お母さんたちがくれた最初のプレゼントだよね、名前は。とてもステキなプレゼントだと思うよ」

「私の名前にそんな意味があったんだ」

 そう言って大喜びする久仁子だったが、「ちゃんとお母さんに確認してね」とアキラは笑いながら付け足した。

 それを見て池森は感心するとともに反省していた。同じ相談を久仁子からされたら、自分なら相手の家に怒鳴り込むだろう。しかしいまのアキラの話を聞けば、他人からどう言われようとも気にしなくなるはずだ。

 さらに自分は片親ということもあり、偏見の目で見てくる連中を威圧することで跳ね返してきた。しかしアキラは同じ片親という境遇でも家のことを頑張ってやっている。同じ境遇を恨む者と受け止める者。その違いをハッキリさせられたのだ。「上條に比べて俺は何をやっていたんだ。自分が情けない。恥ずかしい。おふくろやユキヒロ、久仁子たちに申し訳ない」。つくづくそう痛感した。

 夕方になり、アキラが家のことをしなければならない時間になったので帰宅の旨を告げる。

「ありがとう池森くん。今日は楽しかったよ」

「こちらこそありがとうな上條。俺、目が覚めたわ」

「どうしたの?」

「いや、それはこっちの話だから」

 池森の目が少し透き通ったような感じに見えて、アキラなりに「何か吹っ切れたのかな?」と思った。

「いつ向こうに行くの?」

「それが急な話だけど、来週の頭なんだ」

「そうか。元気でね」

「ありがとう。上條も元気でな」

 そう最後の挨拶を交わして、2人は別れることとなった。

そしてふたたび母親の仕事の都合で池森はこの街に帰ってきて、アキラとスーパーで出会ったのだ。

「だから上條は俺にとって助けてくれただけじゃなくて、人生を変えてくれた大恩人なんだよ!」

「だから大げさだって!」

 そう言い合う2人を見て「こいつら仲良いな。これ友達じゃないのか?」とテシオンは思うのだった。

どんな名前でも素晴らしいと思う私の名前はキラキラ寄りです。

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