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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
天使? ボコってやるぜ!
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神を超えた存在?

ツバラの攻撃、一向に当たりません。

 ツバラは一心不乱に槍を振るう。しかしことごとくその攻撃をテシオンは躱す。デモンズシールドを置いたいま、一発でも当たれば形勢は一気にツバラに傾く。それだけになんとか当てようとするのだが、まったく当たらない。

 テシオンの回避能力がすばらしいというのもあるが、ツバラは槍を当てようとするあまり攻撃が単調になっているのだ。槍を主体に魔法などの違った攻撃も織り交ぜれば話は変わってくる。しかし頭に血が上ったツバラにはその判断ができない。

「クソ! 一発でいい。一発でいいんだ」

「どうしたどうした大天使様。全然当たらないじゃないか」

 テシオンの安い挑発に乗り、ますます頭に血が上るツバラ。このあたりが一級の大天使であるミカエルやガブリエルとは違うところだ。ツバラは大天使に異例の若さで抜擢されたのだが、戦闘や内政などの面はともかく精神が成熟していない。だからこそ宝物であるロンギヌスの槍を無断で持ち出すという暴挙を働くことができたのだ。そういう意味ではノヒローが魔界の幹部たちを不当に安く見積もっていたのと同様。ツバラもまた「大天使のなかでいちばん若く大胆である自分がもっとも優れている」と勘違いしていた。テシオンはそうした驕りや脆さを初見で看破していた。

 そもそもふつうに戦えば圧倒的にテシオンが不利である。テシオンの力量とツバラの力量を比べてどうという話ではない。悪魔と天使の相性によるものだ。闇属性の攻撃は聖属性で相殺される。そのままの威力が天使に伝わるわけではない。逆に聖属性の攻撃は闇属性には大打撃となる。闇属性で聖属性は相殺できないのだ。だからこそツバラは「悪魔など恐れるに足りない」と考えていた。

 もちろん大悪魔と最下級の天使であれば、その力量差から悪魔に有利である。しかし大天使ともなると、ほぼすべての悪魔を一方的に殺すことができる。サタンをはじめとした幹部クラスは別としても、それ以外の悪魔であれば相手にならないのだ。

 ところがどうだ。現実問題として大天使であるツバラの攻撃はテシオンにまったく通じていない。ツバラも槍に偏りすぎた攻撃を反省して魔法なども繰り出し始めたが、魔法が当たってもテシオンにさほどダメージが見られないのだ。「どういうことだ?」。疑問を持ちながらの攻撃に槍の刃先も魔法も鈍ってしまう。それではじゅうぶんな威力を持った攻撃にはならない。

「さてこっちもちったぁ攻撃させてもらうよ」

 そう言うとテシオンは空手の正拳突きを繰り出す。アキラとともに竹原の道場に通い、身につけた正真正銘空手の正拳突きである。その突きがツバラの側頭部を捉える。

「クハッ!」

 脳を揺らされるようなダメージを負い、ツバラの足元がグラつく。「なぜだ? いまの攻撃、聖属性のものだったぞ」。混乱するツバラ。悪魔VS天使における絶対的有利な条件、その根本が覆されたのだからそれも当然である。「悪魔が聖属性の攻撃だと? もし可能だとしても自分も傷つくはずだ」。しかし眼前のテシオンにはまったくダメージが見られない。ノーリスクで聖属性の攻撃を繰り出しているように見える。その戸惑いはテシオンにも伝わったようで、ツバラに対して言葉をかける。

「驚いたようだな。あたしは日常的に聖属性の人間であるアキラの料理を食べているからな。いつのまにか聖属性の攻撃や防御もできるようになっているんだよ」

 サタンが予測して話したことをテシオンが口にする。それを聞いてツバラは混乱を深める。

「聖属性も闇属性も使えるだと? そんな超越者のようなことができるわけがないだろう。そんなことできるとしたら……それはもう神を超えた存在じゃないか!」

 ゼウスでさえ闇属性の攻撃は操れない。しかしテシオンは闇属性、聖属性ともに使える。その事実を受け入れられないといった様子でツバラは叫ぶ。

「神を超えた存在? あたしがそんな大層なものであるはずがないだろう。あたしはただの出来が悪い下級悪魔だよ。ただそれでもあんたごときなら葬り去る力があるというだけだ。ここからはちょっとだけ力を出そうかね」

 そう言ってニヤリと笑うテシオン。サタンたちに「あの子が本気を出すなら、結界を張らなければ」と緊張が走る。それを感じとったテシオンが笑いながら言う。

「サタン様。大丈夫。こいつくらいなら本気を出さなくても問題ないから」

 その言葉を侮辱と受け取ったツバラは憤慨して、槍を握る力を強くするのであった。

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