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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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寮の新生活 心霊噂のアパートでの始まり 社会人編

 新章 社会人編です。新章は、あまり考えがまとまらなかったので、やっと書けました。



***プロローグ***


 市街地も喧騒が遠のき始める夕暮れ時、寮は新しい生活への期待と不安を胸に秘め、アパートの鍵を回した。ドアを開けると、部屋の中から重苦しい空気が漂ってきた。寮は深呼吸をし、玄関に足を踏み入れた。

「やっぱり、噂は本当だったのか」

緑大学を卒業したばかりの寮は、新進気鋭の編集者として第一歩を踏み出すところだった。この格安のアパートは、新しい職場に近い住宅地にあり、立地条件は申し分なかった。しかし、この一帯には心霊現象が頻発するという噂が絶えなかった。それでも寮は、大学時代のオカルト研究部での経験から、そういった噂に特別な恐怖を感じることはなかった。むしろ知的好奇心が刺激され、この物件に住むことを決めたのだ。


 寮は静かに玄関でお香を焚き、浄化の儀式を行った。エネルギーグッズやお札を部屋の要所に配置すると、徐々に空気が軽くなっていくのを感じた。窓から外を眺めながら、寮は呟いた。

「ひとまず、これで安心だ。他の部屋や近所の様子も気になるけど今は、ここまでだ。」

その時、隣の部屋からガタガタという音が聞こえてきた。寮は好奇心に駆られ、外に出ると引っ越して荷物を運んでいる最中だった。


***隣人との出会い***


 寮が様子を伺っていると寮と同年代くらいの青年だった。彼は少し困惑した表情を浮かべながらも、優しい笑顔で寮を見た。

「こんにちは。隣に引っ越してきた寮と申します」

「あ、どうも。僕は真田健也です。今日引っ越してきたところで」

「僕も、最近、引っ越して来た所です。良かったら、手伝います」

「ありがとうございます。助かります。」


二人は意気投合し、近くの食堂で引っ越し祝いを兼ねた食事をすることになった。食事中、真田は自己紹介と共に言った。


「このアパート、心霊現象の噂があると聞いていましたが、全く気にしませんでした。僕は霊的なことを信じていませんし、すべて科学的に説明できるものだと思っています」

寮は相手の考えを否定せずに応じた。「確かに、科学で説明できることも増えてきましたね。ただ、全てが解明されているわけではないと思います。僕は大学時代、オカルト研究部にいたんです」

真田は驚いた表情を見せたが、興味深そうに聞き入った。「へえ、それは面白いですね。どんなことを研究していたんですか?」


 寮は少し照れくさそうに笑いながら答えた。「主に都市伝説や心霊スポットの調査です。でも、単に怖がるだけじゃなくて、その背景にある歴史や人々の思いを探るのが僕たちの目的でした」

真田は感心した様子で頷いた。「なるほど。そういう視点で見ると、オカルトも奥が深そうですね」

その後、二人は将来の夢や希望について語り合った。新社会人としての期待と不安、仕事への意気込みなど、共感できる話題が尽きなかった。


 食事を終えてアパートに戻ると、二人は同じ階の隣同士の部屋で別れ、それぞれの新生活の第一夜を迎えた。寮は部屋に戻ると、これからの生活について思いを巡らせた。このアパートでの経験が、編集者としての糧になるだろうと期待を抱きつつ、寮は静かに目を閉じた。


***謎の始まり***


 翌朝、寮は早起きして初出勤の準備を整えた。彼の働く編集部は、同じビル内にオカルト専門の編集部もあった。寮が準備を済ませて出かけようとした瞬間、ドアのチャイムが鳴った。

戸惑いながらドアを開けると、そこには顔面蒼白な真田が立っていた。

「おはようございます、寮さん。昨日の食事は楽しかったですね。でも、実は...」真田の声は震えていた。「昨夜、僕の部屋で白い着物を着た女性が立っていたんです」

寮は驚きを隠せなかったが、冷静さを保とうと努めた。「何かの錯覚じゃないですか?」

真田は首を横に振った。「最初は僕もそう思いました。でも、あまりにもはっきりと見えたんです。やっぱり、このアパートの幽霊の噂は本当かもしれません」

寮は真田の話を真剣に受け止め、まずは状況を詳しく聞くことにした。真田は、昨夜の出来事を詳細に説明した。

「寝苦しくて目が覚めると、部屋の隅に白い着物を着た女性が立っていたんです。長い黒髪で顔が見えなかったけど、確かにそこにいました。そして、『助けて』という声が聞こえたような...」

寮は真田を自分の部屋に招き入れ、お茶を出しながら冷静に言った。「確かに不思議な体験ですね。でも、まだ原因は分かりません。一緒に調べてみましょう」

真田は少し落ち着きを取り戻し、「寮さんの部屋、なんだか雰囲気が違いますね」と言った。

寮は少し躊躇したが、正直に話すことにした。「実は、この部屋にはいくつか対策を施してあります。オカルト研究部で学んだことを活かして」

真田は驚きの表情を浮かべたが、「それなら、僕の部屋にも何かできることはありますか?」と希望を見出したようだった。


 寮は頷き、「できる範囲で協力します。ただし、今日は仕事がありますから、夕方に戻ってから対応させてください」と約束を交わし、急いで出勤の準備を整えた。


***調査の始まり***


 編集部に到着した寮は、挨拶を済ませた後、オカルト編集部にも顔を出した。そこで涼子という同僚に昨晩の出来事を話すと、涼子は興味深そうに聞いていた。

涼子は長い黒髪をポニーテールにまとめ、知的な雰囲気を漂わせていた。彼女の目は好奇心に満ちていた。

「その辺りの住宅地には昔から不思議な噂があったわ。今度、取材してみようかしら?」涼子は言った。

寮はその日、通常の編集業務をこなしながら、アパートの謎について考えを巡らせた。夕方になり帰宅すると、真田が部屋の外で待っていた。


「寮さん、昨夜の出来事が怖くて、今日は一人で部屋にいられませんでした」と真田は答えた。彼の目の下には、寝不足のクマができていた。

寮は早速真田の部屋に入り、簡単な浄化儀式を行い、お守りを配置した。真田は少し安心した様子だったが、寮は「これで完全に解決とは言えません。原因を突き止める必要があります」と説明した。 


 その夜、寮はアパートの管理人を訪ね、建物の歴史について尋ねた。管理人の岡田さんは、初め渋々ながらも、次第に口を開いた。

「このアパートが建つ前には古い屋敷があったんです。そこにまつわる悲しい話があってね...」佐藤さんは遠い目をして語り始めた。

寮は、これが単なる心霊現象ではなく、土地に刻まれた歴史と人々の思いが絡み合った複雑な事象である可能性を感じた。


 部屋に戻った寮は、窓の外を見つめながら呟いた。「これは、やっぱり霊的な問題かもしれないな」

寮は決意を新たに、アパートの謎を解明し、住人たちの不安を取り除くことを決意した。そして、真田にも協力を求めることにした。


***過去の痕跡***


その後、寮は調査を進めていった。住人に不可思議な体験を尋ねると、多くの住人が何らかの体験をしていることが判明した。回答には、「夜中に泣き声が聞こえる」「廊下で誰かに呼ばれた気がした」など、生々しい証言が多く含まれていた。


 寮と真田は地元の神社を訪れ、土地の歴史について尋ねた。神主の今井さんは、昔この場所に大きな池があったこと、そこで若い女性が溺れて亡くなったという悲劇があったことを語った。


 「その女性の名は柏木さくらと言いました。大正時代の話です」今井さんは静かに語った。「さくらさんには婚約者がいたそうですが、家族の反対で結ばれることができなかったのです」

寮はこの情報から、白装束の女性の正体に思い当たるものがあった。真田も真剣な表情で聞き入っていた。

その後、寮は管理人の岡田さんから古い屋敷にまつわる話を聞き出し、住人たちにも集会を開いて情報を共有した。集会では、様々な体験談が飛び交い、寮は全ての話を丁寧に聞き、記録した。住人たちは不安と期待が入り混じった表情をしていた。

「皆さん、ご協力ありがとうございます」寮は集会の最後に立ち上がって言った。「これらの情報を元に、私たちはこの問題の解決に向けて努力します。どうか希望を捨てないでください」

その夜、寮が部屋で情報を整理していると、突然部屋の温度が下がり、窓ガラスが曇り始めた。ガラスに「ゆるせない」という文字が浮かび上がり、寮は深呼吸をして冷静に話しかけた。

「あなたの話を聞かせてください。何があったのですか?」

しかし、それ以上の反応はなく、部屋の空気は徐々に通常に戻っていった。寮は胸の鼓動が激しくなるのを感じながら、メモを取った。


翌日、寮は涼子に一連の出来事を報告した。

涼子は興奮気味に言った。「これは単なる心霊現象の記事じゃないわ。人々の記憶と土地の歴史が交錯する物語になりそうね」

寮も同意し、この調査を通じて忘れられた歴史や人々の思いを掘り起こし、住人たちの不安を解消することを目指す決意を新たにした。


***失われた記憶の断片***


 数日後、寮の部屋に見知らぬ古い封筒が置かれていた。封筒を開けると、中には「さくら、正俊」と書かれた古い写真が入っていた。写真には、着物姿の若い女性と、凛々しい表情の男性が写っていた。

その瞬間、部屋の温度が急激に下がり、「助けて...私たちを...」というかすかな声が聞こえた。寮は思わず身震いした。

真田がノックしてきたのは、そんな時だった。

「寮さん、僕、昨日からずっと奇妙な夢を見ているんです」真田は疲れた表情で言った。「池のほとりで、着物姿の女性と話をしている夢なんです。でも、その時の僕は...僕じゃないような...」

寮は真田の話を聞きながら、その夢が過去の記憶である可能性を考えた。「真田さん、もしかしたら、あなたと関係があるのかも知れません。気を付けてください」


少し、驚いた表情で「寮さんが、そう言うのでしたら、気を付けます。」

 


***魂の呼び声***


 真夜中、寮の携帯電話が鳴り響いた。隣人からの慌ただしい声が聞こえる。「寮さん!真田さんが...」

寮は急いで外に飛び出した。満月の光に照らされた河川敷で、真田の姿を見つけた。彼は橋の欄干に立ち、虚空を見つめている。

「真田さん!」寮は叫んだ。

真田はゆっくりと振り返った。その目は虚ろで、まるで別人のようだった。「さくら...私はさくら...」か細い声で真田が言う。

寮は慎重に近づいた。「さくらさん、お話を聞かせてください。どうして苦しんでいるんですか?」

「正俊...正俊に会いたい...」真田の口から漏れる言葉に、寮は息を呑んだ。

一瞬の隙を見て、寮は真田の腕をつかんだ。「待って!死んでしまったら、もう二度と会えなくなってしまう!」

真田の体が揺らぐ。寮は全身の力を振り絞って彼を引き寄せた。二人は地面に倒れ込み、真田は我に返った。


「寮さん...私、何を...」


翌日、寮は知り合いのお寺に向かった。本堂に入ると、春香と陽菜の姿があった。


「寮さん」春香が笑顔で声をかけた。

「久しぶり」寮は軽く会釈した。「陽菜ちゃん、元気?」


陽菜は「寮君も仕事、上手くいってる?たまには、ひかりさんに会わないと他に取られてしまうよ」

「今度、連絡を取ってみるよ」寮は苦笑いを浮かべた。

短い会話を交わした後、寮は住職に一部始終を話した。住職は真剣な面持ちで聞き入り、アドバイスをくれた。


住職「どうやら、真田さんは、その女性の霊に魅入られているようです。このままでは、命を落としてしまう可能性もあります。」


 寮「何か真田さんと女性の霊には因縁があるのかも知れません。ありがとうございます。」

そう言って寮は一旦アパートに帰る事にした。


 帰り際、陽菜が話し掛けて来た「寮君、今度、どっかに連れて行ってよ。また、何かあったら手伝うよ、また来てね」寮は、笑顔で返事をした。「ありがとう、陽菜ちゃん。もし、何か大きな事件になりそうだったらお願いするかもしれないな。」車に乗り、帰ろうとすると電話が鳴りオカルト部の後輩・瑞希から連絡が入った。「先輩、ちょっと相談があるんですが...」

寮は緑大学近くのカフェで瑞希と待ち合わせた。瑞希の悩みを聞きながら、寮の頭の中では真田のことが離れなかった。


カフェを出た寮は、決意を固めて占いサロン「マリア」に向かった。

サロンに入ると「こんにちは、寮君。仕事は上手く行ってる?」由香が受付で話し掛けて来た。


「実は、今借りているアパートの隣の住人の事について視て貰いたいんだ」と返す。


 由香が「今日は私が見てみるわ。少し待っていてね。」


 順番が回って来て、部屋に入ると、由香がタロットカードを広げ、静かに目を閉じた。

「...見えます。真田さんには、確かにさくらさんとの過去生があるようです」

余暇の言葉に、寮は身を乗り出した。

「二人は深く愛し合っていましたが、家族の反対で結ばれることができませんでした。さくらさんは絶望のあまり...」

由香の話を聞きながら、寮の中で様々な情報が繋がっていく。真田とさくら、そして正俊。過去と現在が絡み合う複雑な物語が、少しずつ明らかになってきた。

「由香、どうすれば...」

由香は静かに目を開けた。「過去の思いを受け止め、現在を生きる勇気を持つこと。それが、全ての魂を救う鍵になると出たわ」

寮は深く頷いた。これから自分がすべきことが、はっきりと見えてきた気がした。

サロンを出た寮は、真田に電話をかけた。

「真田さん、話があります。一緒に、この謎を解き明かしましょう」

夜空に浮かぶ満月を見上げながら、寮は決意を新たにした。この物語の結末が、きっと希望に満ちたものになると信じて。


***失われた記憶の断片***


数日後、寮の部屋に見知らぬ古い封筒が置かれていた。封筒を開けると、中には「さくら、正俊」と書かれた古い写真が入っていた。写真には、着物姿の若い女性と、凛々しい表情の男性が写っていた。その瞬間、部屋の温度が急激に下がり、「助けて...私たちを...」というかすかな声が聞こえた。寮は思わず身震いした。


真田がノックしてきたのは、そんな時だった。


「寮さん、僕、昨日からずっと奇妙な夢を見ているんです」真田は疲れた表情で言った。「池のほとりで、着物姿の女性と話をしている夢なんです。でも、その時の僕は...僕じゃないような...」


寮は真田の話を聞きながら、その夢が過去の記憶である可能性を考えた。「真田さん、それはただの夢じゃないかもしれません。君と過去の魂が繋がっている可能性が高いです。でも安心してください。陽菜に頼めば、もっと確かな形で過去を見ることができるかもしれません。」


真田は少し驚いた顔をしたが、寮の言葉を信じるしかない状況だった。「それが本当にできるんですか?」


寮は頷き、「陽菜にお願いしてみます。彼女にはシャミィという特別な力を借りることができるから、過去に行けるはずです。」そう言うと、寮はすぐに陽菜に連絡を取った。


 翌日、寮は陽菜を迎えに行ってアパートで真田さんと会った。陽菜は心の中でシャミィと会話し了解を得ていた。シャミィは不思議な力を持っており、時間を遡ることができるという。


「真田さん寮君から話は聞いているよ」と陽菜が微笑んだ。


 真田は陽菜を見て、「まだ高校生くらいみたいたけど、、、、君にそんな力があるんですか?」と、戸惑った様子だった。


陽菜は気にしないで話を続けた。「あなたたち二人を過去へと送り込むことができるわ。ただし、時間を超えるには強い心の覚悟が必要よ。二人とも、大丈夫?」


寮と真田は互いに目を合わせ、深く頷いた。「僕たちには、真実を知る必要があります。過去に行って、さくらさんと正俊さんの物語をこの目で確かめます」と真田が言った。


 陽菜はシャミィに促されて、手を挙げて目を静かに閉じ古代魔法の呪文を唱えはじめた。

それと同時に寮と真田は、意識が段々と薄れて行った。


「気をつけてね、過去に行ったら必ず戻ってきてね。」と陽菜が言うと、寮と真田の視界がゆっくりと暗転していった。


***過去へのタイムリープ***


寮と真田が目を開けると、そこは大正時代の日本だった。満開の桜が風に舞い、どこか懐かしさと悲しみが漂う場所だった。二人は、大河内正俊と柏木さくらが別れを告げた運命の庭に立っていた。


「ここが…過去の世界か…」真田は息を呑んだ。


その時、着物姿のさくらが現れた。彼女は、切なそうな表情で正俊を見つめていた。「正俊様、どうしても別れなくてはならないのでしょうか…」さくらの声が震えていた。


正俊はさくらの手を握りしめた。「私たちは家族のせいで引き裂かれるが、僕の心はずっと君のそばにある。決して忘れない…」


その瞬間、真田の胸に強烈な痛みが走った。「これは…僕じゃない。でも、僕の中にあるこの記憶は…正俊のものだ…」


寮は真田の肩に手を置き、彼を支えながら言った。「真田さん、これは君の魂に刻まれた過去の記憶なんだ。さくらさんと正俊の愛が深すぎて、今の君にまでその影響を与えているんだよ。」


真田は涙を流しながら呟いた。「さくら、僕は…僕は君を救えなかったんだね…」


さくらは悲しげに微笑んだ。「正俊様、もう良いのです。あなたは私を忘れ、新しい人生を歩んでください。それが、私の願いです…」


***過去との別れ***


その瞬間、真田は過去の正俊としての記憶と完全に繋がった。そして彼は、深い悲しみと後悔を乗り越え、さくらの言葉を受け入れる覚悟を決めた。


「さくら、僕は君を忘れることはできない。でも、君のために前に進むよ。今度こそ、君を救うために…」真田がそう誓った時、さくらの姿はふわりと消え、桜の花びらが舞い散った。


寮はそっと真田を支えながら、「これで過去の呪縛から解放されたね。今度は未来に進もう。」と優しく言った。


真田は涙を拭い、笑顔を取り戻した。「寮さん、ありがとう。本当に、ありがとう。」


その瞬間、シャミィの力によって二人の視界は再び暗転し、現代へと引き戻された。


***新たな日常***


過去への旅から戻った翌日、寮と真田はアパートの中庭で顔を合わせた。朝日が二人の顔を優しく照らし、新たな日の始まりを感じさせた。

「おはようございます、寮さん」真田は晴れやかな表情で挨拶した。「昨日のことは、まるで夢のようです」

寮は微笑んで答えた。「おはよう、真田さん。夢じゃないよ。僕たちは確かに過去を見てきたんだ」

真田は深く息を吐き出した。「そうですね。あの経験で、自分の中にあった不思議な感覚の正体が分かりました。でも同時に、これからは自分の人生を歩んでいこうという気持ちも強くなりました」

「それは良かった」寮は真田の肩を軽く叩いた。「さあ、新しい一日の始まりだ。仕事に行こう」

二人は笑顔で別れ、それぞれの職場へと向かった。アパートの空気が、以前よりも軽くなったように感じられた。


***アパートの変化***


数日が過ぎ、アパートの雰囲気は徐々に変化していった。以前は不安や恐怖に満ちていた住人たちの表情が、少しずつ明るくなっていった。

ある夕方、寮が帰宅すると、管理人の岡田さんが声をかけてきた。

「寮くん、最近、不思議なことが起きてないかね?」

寮は首を傾げた。「特には...どうしてですか?」

岡田さんは微笑んで答えた。「実はね、ここ数日、夜中の物音や奇妙な声といった苦情がぱったり止んだんだよ。まるで、アパート全体が浄化されたみたいでね」

寮は驚きを隠せなかった。真田との経験が、アパート全体に影響を与えていたのだろうか。

「それは良かったですね」寮は静かに答えた。「きっと、何かが解決したんでしょう」

岡田さんは頷いた。「そうだね。君たち若い人たちのおかげかもしれないよ。ありがとう」


***新たな謎***


しかし、平穏な日々は長くは続かなかった。ある日、寮が仕事から帰ると、真田が焦った様子で待っていた。

「寮さん、大変なんです!」真田は息を切らせて言った。「さっき、隣の空き部屋から奇妙な音が聞こえてきて...」

寮は真田の話を聞きながら、眉をひそめた。「まだ何かが残っているのかもしれないね。一緒に確認してみよう」

二人が空き部屋の前に立つと、確かに中から何かが物を動かすような音が聞こえてきた。寮は深呼吸をし、ゆっくりとドアノブに手をかけた。

ドアを開けると、そこには...


***予期せぬ出会い***


部屋の中央に、一匹の黒猫が座っていた。猫は二人を見上げ、鳴き声を上げた。

「猫...?」真田は驚いた様子で言った。

寮はほっとしたように笑った。「ただの猫だったんだ。でも、どうやってここに入ったんだろう」

真田が部屋を見回すと、窓が少し開いているのに気づいた。「あそこからかもしれません」

寮が猫に近づくと、首輪に小さな札が付いているのが見えた。「これは...」

札には「さくら」と書かれていた。

真田と寮は顔を見合わせた。この偶然は、単なる偶然なのだろうか。それとも...

「寮さん、この猫...もしかして...」真田の声が震えた。

寮は深く考え込んだ。「まだ何とも言えないけど、不思議な巡り合わせだね。とりあえず、この子の飼い主を探さないと」

二人は猫を抱き上げ、アパートの住人たちに聞いて回ることにした。新たな謎が、彼らの前に姿を現したのだった。

ご購読、ありがとうございました。


 今回は、かなりスローペースで続ける予定です。


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