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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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瑞希の憂鬱『緑ダムの再調査』 スピンオフ (寮、卒業後のオカルト研究部)編 

 再び、ダムの再調査に乗り出す事になった瑞希たちオカルト研究部。今回は、卒業した葵先輩と寮の要請を受けた陽菜と春香も調査に協力する事になった。

 瑞希たちオカルト研究部は、再び緑ダムへと足を運んだ。前回の調査では、未解明の謎が多く残された。その中でも、スーツを着た女性の幽霊との遭遇は、チーム全員に強烈な印象を残した。瑞希たちは、この幽霊が単なる存在ではなく、背後に何か強大な力が潜んでいると確信していた。そのため、今回の再調査は、前回以上に緊張感が高まっていた。


 瑞希自身も、その例外ではなかった。再びこの場所に足を踏み入れた瞬間、胸が締め付けられるような恐怖が彼女を襲った。前回の調査で味わった恐怖と不安が彼女の心を支配しようとしていた。「このままでは手に負えない存在が現れるのではないか」という恐れが、彼女の頭をよぎる。しかし、その一方で、仲間たちを守るべきという部長としての責任感が、彼女を奮い立たせていた。「私は部長だ、皆を守らなければ…」瑞希は自分にそう言い聞かせながら、恐怖を押し殺して前に進んだ。


緑ダムの現地には、緑ダム課の山田さんが彼らを待っていた。山田さんは、前回の調査以降も特に新しい進展がなかったことを伝えた。その報告を聞くと、瑞希たちの緊張感は一層高まった。新たな情報がないということは、彼ら自身の手で問題を解決しなければならないということを意味していた。


「今回は、前回の調査で発見した霊道と、白いスーツの幽霊との接触を重視して調べます。あの霊がこれ以上の危険をもたらす前に、解決しなければなりません」瑞希は仲間たちに力強く伝えた。


***陽菜との合流***


 瑞希の言葉に、仲間たちも真剣な表情で頷いた。彼らの顔には、決意とともに、どこか不安な影が垣間見えた。それでも、チームは結束を固め、再び挑戦を始める準備を整えた。葵、陽菜、春香が合流し、全員で宿泊施設へと向かう車内では、少しでも緊張を和らげるための軽い会話が交わされた。


「葵さんの車って、寮君の車より本当に乗り心地がいいですね。もし寮君の車に乗ってたら、今頃酔ってたかも」と陽菜が笑顔で話しかけた。


葵も微笑みながら返した。「寮君は元気にしている?」


陽菜は頷いて答えた。「今、編集者としていろいろ頑張っているみたいです。たまに涼子さんの仕事も手伝っているそうです」


「そうなんだ、寮君は夢を追いかけているのね」と、葵も微笑みながら返した。陽菜は続けて尋ねた。「葵さんは、今の仕事楽しいですか?」


「今はとにかく目の前の仕事と向き合うだけで精一杯かな。でも、最近は少しずつ楽しさも感じられるようになったわ」葵の言葉に、陽菜は頷いた。


会話が続く中、外の景色は次第に険しくなり、自然が彼らを包み込むような感覚が広がっていた。やがて、彼らは緑ダムの宿泊施設に到着した。周囲は静寂に包まれ、まるでこの場所が彼らを待ち受けていたかのような、不気味な雰囲気が漂っていた。


***周辺調査***


 宿泊施設で準備を整えた後、瑞希たちはまずダム周辺のエネルギーポイントを探索することに決めた。葵がペンデュラムを使い、エネルギーの流れを慎重に探りながら歩を進めると、湖の近くで強力な霊的反応が検出された。湖の周囲には薄い霧が漂い、月明かりがその霧をぼんやりと照らしていた。冷たい風が彼女たちの肌を刺すように吹き抜け、不気味な静けさが辺りを包んでいた。


 部員らは霊的反応が強まる地点に向かい、草むらの中に隠れていた小さな石碑を発見した。「ここが霊道のようね」と葵が言うと、全員が一斉に作業に取りかかった。周囲を整備し、浄化と封印の儀式を行うための準備を進めた。瑞希たちは慎重に呪文を唱え、石碑を浄化した。陽菜が強力な霊光弾を放つと、エネルギー反応は一気に消え、霊道が封じられたことを確信した。


「これで少しは、場のエネルギーも改善するわ」と葵がつぶやき、全員がほっと息をついた。しかし、それは一時的な安堵に過ぎなかった。瑞希の心の中には、まだ解決されていない不安が残っていた。「本当にこれで終わりなのか…?」瑞希の頭には疑問が浮かんでいた。湖の奥に何かが潜んでいる、そんな直感が彼女を捉えて離さなかった。


***白いスーツ姿の霊との対決***


 その後、瑞希たちはダム内部の調査に進むことにした。ダム内部の冷たい空気は、彼らの肌を刺すように感じられ、不安を増幅させた。瑞希は緊張した表情で仲間たちに声をかけた。「今回は慎重に行動しなければなりません。あの霊は普通の怨霊とは違います。私たちの力が試される時です」


彼らは各ポイントで浄化と結界を張りながら、慎重に歩を進めていった。何かが近づいてくる気配を感じたその時、彼らの目の前に現れたのは、再び白いスーツを着た女性の霊だった。彼女は以前と同じ無表情で、うつむいていたが、その目にはさらに不穏な光が宿っていた。


「待って…あなたは何者なの?」瑞希が震える声で問いかけた。彼女は、この霊が単なる幽霊ではなく、背後に邪悪な力を持つ存在であることを本能的に感じていた。


女性の霊は静かな声で話し始めた。「私は…このダムで命を落とした者…ここにいる理由は…ただ一つ…」


その言葉に、瑞希は一瞬心を揺さぶられた。彼女は霊の背後にある悲しみや苦しみを感じ取り、共感しようとした。しかし、その瞬間、葵が鋭く注意を促した。「瑞希、気をつけて!この霊には何か邪悪な力が感じられるわ!」


 瑞希は葵の警告に躊躇し、一歩退こうとしたが、霊の悲しみを理解したいという思いが勝り、さらに一歩踏み込んでしまった。その瞬間、女性の霊は突如として表情を変え、鋭い目つきで瑞希に向かって手を伸ばした。


「しまった…!」瑞希はその瞬間、霊の冷たい手が両肩に触れ、体が重くなるのを感じた。まるで霊に囚われ、意識を奪われそうになる。その感覚は、まるで深い闇に引き込まれるようなもので、瑞希は恐怖に震えた。


 葵と麗香はすぐに反応し、術式を使って神気を飛ばし、瑞希を助けようとした。しかし、霊は瞬間移動のようにして彼女たちの攻撃を避け、瑞希を捕らえ続けた。


「ダメだ、逃げられる…!」葵が焦りの声を上げた。その時、陽菜が冷静に対処し、「これで終わりよ!」と叫びながら霊光弾を放った。霊光弾は瞬時に悪霊を捉え、霊は逃げることができなかった。


悪霊は絶命の叫びを上げながら、光に包まれて消えていった。彼女の姿が完全に消え去ると、辺りに静寂が戻った。冷たい空気が再び彼らの周囲に漂い、霊の脅威が完全に去ったことを感じさせた。


瑞希は地面に膝をつき、息を切らしながら言った。「危なかった…本当にありがとう、陽菜ちゃん…」


陽菜は微笑みながら瑞希に手を差し伸べ、「大丈夫、瑞希さん。あの霊は私たちを騙そうとしていた。邪悪な存在だったから、警戒が必要だったんです」と冷静に応じた。


瑞希は自分の判断ミスを反省し、「もう二度と油断しない。気を引き締めて進みましょう」と心に誓った。葵も「これで白いスーツの霊は浄化されたわね。次に進む準備を整えましょう」と声をかけ、全員が頷いた。


彼らは再び緊張感を高め、慎重にダムの奥へと進んでいった。霊道が封じられたことで、一時的に安堵感が広がったが、瑞希の心にはまだ解決されていない問題が重くのしかかっていた。「まだ何かが残っている…」その直感が彼女を突き動かしていた。


「これからが本当の戦いだわ」と葵が静かに呟いた。その言葉には、これから迎える試練に対する覚悟と決意が込められていた。瑞希は彼女の言葉に頷き、仲間たちの顔を見回して決意を新たにした。


***宿泊施設***


瑞希たちは、ダム内部の調査を終え、一旦、宿泊施設に戻ることにした。前回の調査では、宿泊施設内に白いスーツを着た霊が現れ、部員たちは一斉に部屋に避難することで何とか難を逃れたが、今回は状況が異なっていた。参加者が増え、全員を安全な場所に避難させることが難しいと判断したため、彼らは拠点の防御を強化することに決めた。


瑞希は、チーム全体に目を配りながら、次の指示を出した。「まず、テントの周りに結界を張り、宿泊施設全体を浄化して夜に備えましょう。今回の調査では、前回以上に霊の活動が活発化しているようです。特に、白いスーツの霊が再び現れる可能性が高いですから、油断しないように」


陽菜と春香は、瑞希の指示に従って、テント周辺に結界を張る作業を始めた。彼女たちは慎重に結界の線を引き、魔除けのお香を焚いて霊が侵入できないようにするための準備を進めた。結界を張る作業は手慣れたものであったが、今回は何か不安な感覚が二人を襲っていた。


「春香ちゃん、この場所、何かおかしくない?」陽菜が不安げに声をかけた。「来た時よりも霊的なエネルギーが強く感じられるの。まるで、ここに集まってきているかのよう…」


春香はその言葉に頷きながら、手を止めずに作業を続けた。「確かに、感じます。でも、だからこそしっかりと結界を張らないと。何が来ても、私たちで守りましょう」


その言葉に勇気づけられた陽菜は、再び集中して結界の強化に取り組んだ。彼女たちが防御を固めている間、他の部員たちは、宿泊施設内の浄化作業を進めていた。霊的なエネルギーが強い場所にお香を焚き、魔法陣を描いて守りを固める。彼らの疲れはかなりのものだったが、誰も休むことなく作業を続けた。


瑞希は、その様子を見守りながら、頭の中で次のステップを考えていた。彼女自身も疲れていたが、部長として皆を守る責任を感じていた。「葵先輩、次はどうしますか?」瑞希が声をかけた。


葵は少し考えた後、静かに答えた。「今日は、これ以上進むのは無理ね。今夜はここで霊たちに備えましょう。ただ、休息も大事だから、交代で見張りを立てて、みんなで少しでも体力を回復させましょう」


瑞希は頷き、部員たちに休息の指示を出した。陽菜と春香はテントで宿泊することにし、他の部員たちもそれぞれの場所で横になった。彼らは初日の活動から疲れがたまっており、自然と眠りに落ちた。


***深夜の囁き***


しかし、瑞希だけは、テントの中で目を閉じることができなかった。彼女の心には、まだ解決されていない問題が重くのしかかっていた。白いスーツの霊は浄化されたかもしれないが、霊道が完全に封じられたかどうかは不明だった。さらに、ダムの奥に潜む謎がまだ解明されていないことも気がかりだった。


「何かが来る…そんな気がしてならないわ」瑞希は心の中でそう呟きながら、テントの外に出て夜空を見上げた。月明かりが湖面を照らし、不気味な静けさが辺りを包んでいた。


その時、遠くからかすかな囁き声が聞こえてきた。瑞希は耳を澄ませ、その音の正体を探ろうとした。風の音かと思ったが、次第にその音がはっきりとしてきた。それは…人の声だった。かすかな囁き声が風に乗って、瑞希の耳に届いてきた。


「誰かが…話している?」瑞希は不安を感じながらも、声の方へと足を進めた。声は、湖の方から聞こえてくるようだった。瑞希が湖のほとりに近づくと、そこには何もないはずの場所に白い影が浮かんでいた。


「また…あの霊なの?」瑞希は警戒しつつも、足を止めることができなかった。影はじっと瑞希を見つめていたが、今回は前回のような敵意は感じられなかった。それどころか、何かを訴えかけるような表情をしているように見えた。


「あなたは…何を伝えたいの?」瑞希が声をかけると、影はゆっくりと動き始め、湖の奥へと進んでいった。


瑞希はその後を追おうとしたが、突然、背後から陽菜の声が聞こえた。「瑞希さん、危ない!」春香が続ける「それ以上進むと危険です」


振り返ると、陽菜と春香が駆け寄ってきていた。「あの霊に近づくのはダメ!何か罠があるかもしれないわ」


瑞希はハッとして、足を止めた。確かに、今までの経験からすると、簡単に信じてはいけない状況だ。「ありがとう、陽菜ちゃん。春香ちゃん。冷静な判断が必要ね」と瑞希は感謝の言葉を述べ、二人はその場から少し離れることにした。


その夜、彼らは交代で見張りを続けた。夜の静寂の中で、霊的な存在が近づいてくる気配が何度も感じられたが、結界が強力に張られていたおかげで、大きな襲撃を受けることはなかった。しかし、霊たちの囁き声は止むことなく、瑞希たちの耳に届いていた。


***最後の決意***


 次の日の朝、彼らは不安な夜を過ごした後、疲れた顔で集まった。それでも、誰一人として諦める者はいなかった。瑞希は朝食を取りながら、今日の計画を練った。


「今日こそ、ダムの奥に潜む謎を解き明かさなければなりません。霊道は封じたとはいえ、完全に安全だとは言えません。それに、昨夜の霊の動きが気になります。何かが私たちを呼んでいるような感じがしました」


瑞希の言葉に、他のメンバーも同意した。彼らは再びダムの奥へと進むことを決意し、装備を整え始めた。


 ご購読、ありがとうございました。次回に続きます。


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