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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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瑞希の憂鬱『緑ダムの後遺症』 スピンオフ (寮、卒業後のオカルト研究部)編

ダムの調査で怪奇現象に会い、一時撤退した瑞希たちだった。再調査については見送る予定だったが、、、、

数日後、瑞希はオカルト研究部の部員たちを再び部室に集めた。普段の明るさが消えた部室には、緑ダムでの出来事が深い影を落としていた。みんなの表情は硬く、言葉を発することもためらっているようだった。


瑞希は一度深く息を吸い込み、恐る恐る話し始めた。「みんな、今日は話があるの。」その声は通常の瑞希のものではなく、かすかに震えていた。


彼女の言葉に、部員たちは全員一斉に彼女の方を見た。しかし、視線はどこか遠く、心ここにあらずといった様子だ。彼らの目には、緑ダムで見たあの異様な光景が未だに焼き付いているようだった。瑞希の顔には深い迷いと不安が浮かんでおり、それが言葉を紡ぐのを一層難しくしていた。


「前回の緑ダムでの出来事…あれが私たちに何を伝えたかったのか、まだ分からない。けど、もう一度あそこに行くのは危険すぎると思うの。」


瑞希の言葉に部員たちが不安そうに顔を見合わせた。重苦しい沈黙が再び部室を包む中、鈴木が静かに口を開いた。「瑞希部長、でも…あの霊を解放しなければ、僕たちがこれからも苦しめられることになるんじゃないでしょうか?このままじゃ、僕たちもいつか…。」


彼は言葉を切り、視線を机の上に落とした。緑ダムのことを思い出すたびに、あの冷たい霊気と絶望的な恐怖が体を支配するのを感じた。


 瑞希はその言葉に深く頷きつつも、小さく首を振った。「確かに、放っておくことはできないかもしれません。でも、今の私たちだけでは無理よ。あの霊…いや、あの場所全体が持つ異常な力は、私たちの力ではどうにもならない。むしろ、下手に手を出せば、もっと深く巻き込まれてしまうかもしれない…。」


瑞希の言葉に、麗香が怯えた声で同意した。「私も同じ意見です…。正直、もう二度とあの場所には近づきたくないわ…。地元の人たちも、あのダム周辺には絶対に近寄らないって言っていました。何でも、あの湖や川では多くの人が不自然な形で亡くなったり、行方不明になっているそうです…。それに、霊に引きずり込まれるって噂もあります。ダムの通路で見た白いスーツの霊は、特に危険です…。」


麗香の声は震え、彼女の顔は青ざめていた。部員たちも同じく、体の震えを抑えきれずにいる。彼らは、ただの噂話ではなく、自分たちがその恐怖に直面したという事実を知っているからだ。


緑ダムでは、釣りをしていた人々が突如として行方不明になったり、湖に引き込まれるようにして命を落とした事件が多発していた。地元の住人たちは、それを霊の仕業だと信じており、誰もその周辺に近づかないようにしている。さらに、目撃者たちは口を揃えて言う。「あの女の霊を見た者は、決して無事ではいられない」と。


瑞希は重苦しい空気を感じながら、決断の時が来たことを悟った。彼女は部長として、皆の安全を第一に考えなければならない。


「だから、私はもう一度ダムに行くのはやめようと思うの。このまま活動を一旦休止して、私たちが本当に何をすべきかをもう一度考え直す必要があると思うの。」


鈴木は深い考え込みの後、静かに頷いた。「…そうですね。無理をして命を落とすより、ここで一度立ち止まるのも大事なことです。」


しかし、その時、部屋の隅で俯いていた瑠偉が突然声を上げた。「待ってください…僕は、あれから毎晩、あの女の霊の夢を見てうなされているんです。あの目…あの声が、ずっと僕の耳に残っていて…。このまま、彼女が僕たちを追い続けるんじゃないかって…そう思うと、怖くて仕方がないんです。」


彼の声には深い恐怖がにじみ出ていた。瑠偉の言葉に、部員たちは凍りついたように沈黙した。瑞希もその恐怖に打ちひしがれそうになるが、部長としての責任を果たすため、冷静を装う。


瑞希は静かにうなずき、決意を固めた。「まず、寮先輩に相談しよう。彼なら、何かしらのアドバイスをくれるはず。それから、どうすべきかを決めよう。」


瑞希の言葉が静かに部室に響いた後、部員たちの表情には少しの安堵が広がったが、完全に不安が消えたわけではなかった。皆、緑ダムでの体験を忘れることができず、その恐怖が彼らの心に深く刻まれていたのだ。


翌日、瑞希は寮先輩に会うため、大学近くのカフェに向かった。カフェの中は昼下がりの柔らかな光が差し込んでいたが、瑞希の心は重く沈んでいた。彼女はダムでの出来事、そしてそれ以来部員たちが抱えている恐怖について、すべてを寮に打ち明けた。


寮は瑞希の話を静かに聞き終え、少しの間考え込んだ後、慎重に口を開いた。「瑞希、君たちが経験したことは普通じゃない。緑ダムは、ただの心霊スポット以上の何かがあるようだ。あの場所には、怨念や何か強力な力が集まっているんだろう。地元でも、あの場所での事故や行方不明事件が多発していることは知っているかい?」


瑞希は緊張しながら頷いた。「はい…地元の人たちも、あのダムや湖には近づかないと言っていました。霊に引きずり込まれるとか…。そして、あの女の霊を見た人は、決して無事でいられないとも聞きました。私たちも、あの霊に何かをされるんじゃないかと…。」


寮は深く頷き、瑞希を見つめながら続けた。「だからこそ、春香のお寺に相談してみるべきだ。彼女の家は代々霊的な力に精通しているし、祈祷をしてもらえば君たちを守ることができるかもしれない。それに、霊的な専門家の助けを借りることも考えてみるといい。ネット上には、こうした問題に詳しい人たちがいるはずだ。」


瑞希はその提案に感謝の気持ちを込めて頷いた。「ありがとうございます、寮先輩。すぐに春香さんに相談してみます。」


数日後、瑞希たちは春香のお寺で厳粛な祈祷を受けることになった。彼女の家は霊的な問題に精通しており、代々受け継がれてきた力を使って、瑞希たちを守るための儀式が行われた。


春香の厳かな声が寺の中に響き渡る中、瑞希と部員たちは静かに頭を垂れ、祈りを捧げた。瑞希は、自分たちが呪われているのではないかという恐怖に押しつぶされそうになりながらも、何とか冷静さを保とうとした。そして、住職の行う儀式が進むにつれて、彼女は少しずつ心の重荷が軽くなるのを感じた。


祈祷が終わると、瑞希たちは不思議な安堵感に包まれた。それまで霊に取り憑かれていたような重苦しさが、すっと消え去ったかのようだった。そして、それ以降、霊的な現象は一切起こらなくなり、彼らの日常は再び平穏を取り戻した。


しかし、瑞希の心の奥底にはまだ不安が残っていた。あの霊は本当に解放されたのだろうか?それとも、再び彼らの前に現れるのではないか…。


オカルト研究部は活動を再開したが、部員たちの心には、緑ダムでの恐怖が深く刻み込まれていた。彼らは再び未知の世界に足を踏み入れることになるだろう。しかし、その時、彼らはあの恐怖が再び彼らを試すだろうという予感を抱いていた。


***緑ダムの調査依頼***


 オカルト研究部がネット上で調査中止の声明を出した数日後、オカルト研究部に電話の問い合わせがが入り取次いで部長の瑞希が出る。


「もしもし、瑞希です」

「こちらは緑ダム管理事務所の山田と申します」落ち着いた中年男性の声が響いた。「お忙しいところ申し訳ありませんが、緊急の相談があってお電話しました」

瑞希は身構えた。「はい、どういったご用件でしょうか?」

「実は、最近ダム周辺で異常事態が続いているんです。釣り人の行方不明や、奇妙な音、そして夜になると湖面に人影が…」山田の声が震えた。「地元の方々も不安がっていて。オカルト研究部の皆さんが以前調査されたと聞いて…」

瑞希は言葉に詰まった。声明を出したばかりなのに、こんな依頼が…。

「申し訳ありませんが、私たちにはもう…」

「お願いです」山田の声が切実になった。「警察も動いてくれず、他に頼れる人がいないんです。どうか、もう一度来ていただけませんか?今度は私たちも全面的に協力します」



 瑞希は部員たちの安全、そして自分たちの限界を考えると断るべきだ。しかし、山田の声に滲む恐怖と切実さが胸に刺さる。

「少し、考えさせてください」瑞希は慎重に答えた。「部員たちとも相談して…」

「ありがとうございます」山田の声に希望が戻った。「どうか、前向きに検討してください。私たちは皆さんの力を必要としているんです」


 電話を切った後、瑞希は複雑な思いに包まれた。再び危険な調査に向かうべきか、それとも自分たちの安全を優先すべきか。答えは簡単には出せそうになかった。

瑞希は部室に向かった。この重大な決断を、一人で下すわけにはいかない。部員たち全員で話し合い、慎重に判断しなければならない。彼女の心の中で、恐怖と使命感が激しくぶつかり合っていた。


***再調査への葛藤***


 瑞希は再び寮に相談する事にした。葵も寮の話を聞いて大学の近くのカフェで待ち合わせをした。


 寮は真剣な表情で瑞希に向き合った。「今の瑞希たちの実力では、無闇に手を出すのは非常に危険だと思う。特に今回の件は強力な怨霊が関与している可能性が高い。無防備で挑むと、取り返しのつかないことになるかもしれない。」


瑞希は唇をかみしめ、うなずいたが、決意は揺るがなかった。「それでも、私たちには調査する必要があるんです。何か、見過ごせないことが起きている気がするんです。」


葵も瑞希に向き直り、冷静に言葉を重ねた。「たとえ私が同行しても、この調査は非常に難しいでしょう。私たちが何を調べるべきか、そしてどう対処するべきかを慎重に考える必要があるわ。」


その時、寮は少し考えた後、提案をした。「僕は仕事で同行するのが難しいが、代わりに陽菜と春香を派遣することにしよう。丁度、今度、休みでどこか連れて行けって言われてたんだ。陽菜たちだったら、協力してくれるだろう。」


瑞希は感謝の気持ちでいっぱいになった。「ありがとうございます、寮先輩。私たちも全力を尽くします。」


葵も微笑んで、「私も参加するわ。休日に集まって、慎重に計画を練りましょう。無事に調査を終えるためには、準備が全てよ。」と付け加えた。


こうして、オカルト部のメンバーたちは次の調査に向けて、仲間たちと協力し合いながら準備を進めていくことになった。次の休日が訪れるまでの間、瑞希たちは調査に必要な資料を集め、戦略を練り、そして精神的な準備を整えていった。




ご購読、ありがとうございます。今回のストーリーも心霊スポットへ行くのが怖い。と、いったトラウマ展開の話になりました。

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