浄化の光:黒魔術の終焉
真由美の活躍もあり魔女CLUBも悪魔から助ける事が出来た。その後の調査に再び寮たちが真由美の下宿先に訪れる
残暑が続く8月下旬のある日、寮は再び真由美の下宿先へと足を向けていた。彼の後ろには、水野、沙織、そしてひかりが続いていた。
「みんな、準備はいいかい?」寮が振り返って尋ねると、三人は頷いた。
下宿先に到着すると、真由美が玄関で彼らを出迎えた。彼女の表情には安堵と不安が入り混じっていた。
「来てくれてありがとう、みんな」真由美は微笑みながら言った。
寮たちはリラクゼーション室に案内され、そこで美穂を含む魔女CLUBのメンバーたちと対面した。彼女たちの表情は硬く、どこか罪悪感に苛まれているようだった。
寮は穏やかな声で話し始めた。「緑大学オカルト研究部の寮です。みなさんの状況を確認し、できる限りサポートするために来ました。それと、残された黒魔術の道具や本の処理も行います」
ひかりが美穂に優しく語りかけた。「美穂さん、覚えていることを教えてくれませんか?どうしてこのようなことを始めたのですか」
美穂は深呼吸をして話し始めた。「実は...ユーチューブで魔女チャンネルというのを見つけて...」彼女は徐々に自分たちが黒魔術に手を染めていった経緯を語り始めた。
水野は注意深く聞きながら、時折質問を挟んだ。「具体的にどんな儀式を行ったか覚えている?」
美穂は目を閉じ、断片的な記憶を必死に掘り起こそうとした。「暗い...部屋で...みんなで円になって...何かを唱えていて...」彼女の額に汗が浮かび、声が震えていた。しかし、美穂は首を横に振った。「ごめんなさい...詳しいことは思い出せないんです」
一方、沙織は部屋の隅に置かれた黒魔術の本や道具を調べ始めた。彼女は眉をひそめながら、ノートに何かをメモしていた。
「これらの本には、魂を差し出すことで悪魔を招く方法が書かれています」沙織が報告した。「危険度が高い方法です」
寮はこの情報を聞いて顔をしかめた。「そうか...これは予想以上に深刻だったみたいだ」
寮は以前の調査時に何も感じられなかったことについても質問した。
「その時は、確か...危険な存在が来るから...隠すように...と、心の中に声がして...」美穂は曖昧な記憶を辿りながら語った。
「あの時は、何も異常を感知できなかったのも、そのせいだったのか」水野が話す。
「普通の悪霊は特別、人の意思を読んだり行動について思索することは、あまりない。でも、悪魔になると知恵も働きやっかいだ」寮が答える。
調査と聞き取りが進む中、寮は決断を下した。「とにかく、これらの道具と本を浄化する必要がありそうだ。陽菜と春香を呼んでくれないか?」
真由美が自室の部屋に戻り、しばらくすると陽菜と春香を連れて来た。
全員が集まったところで、寮は説明を始めた。「これから浄化の儀式を行います。みんな、心を落ち着かせてください」
陽菜と春香が前に立ち、黒魔術の道具と本に向かって浄化の儀式を始めた。
春香がお経を唱え始めると、空間全体が清められていった。次に寮が古代魔法の呪文を唱え浄化を始めた。黒魔術の道具と本から黒い靄のような物が見えた。「陽菜、霊光弾を」寮が言うと同時に陽菜が両手を前に突き出し、霊光を放った。「霊光弾!」
霊光が部屋全体を包み込み、それが収まると同時に、どこか重苦しかった空気が一掃されたように感じられた。
***悪魔の情報***
寮は、さらなる情報と助言を求めて、オンライン魔法学校に連絡を取ることにした。
ある夕方、寮はパソコンの前に座り、オンライン魔法学校の先生とビデオ通話を始めた。画面に映し出された白髪の老教授は穏やかな表情で寮の報告を聞いていた。
「なるほど、君たちは大変な経験をしましたね」教授は眉をひそめながら言った。「悪魔の中には非常に知恵の回る者もいる。今回の件も、そういった悪魔の仕業だったのかもしれない」
寮は真剣な表情で質問した。「今後、また同じようなことが起こる可能性はありますか?」
教授は少し考えてから答えた。「その可能性は低いと思われます。君たちの力を知った悪魔は、そう簡単には再び姿を現さないでしょう。自らの身を危険にさらすことを避けるはずです」
この話を聞いて、寮は少し安堵の表情を浮かべた。教授は続けた。「ただし、油断は禁物です。ですが、これ以上の調査は終えても安心だと思われます」
寮はこの助言を真摯に受け止め、佐藤部長にも報告した。佐藤部長も様々な調査結果を踏まえ、悪魔が再び美穂たちの前に現れる可能性は低いという結論に達した。
翌日、寮たちは魔女CLUBのメンバーに会いに行った。寮は全員に悪魔よけのお守りを渡しながら、オンライン魔法学校の教授の言葉を伝えた。
美穂は安堵の表情を浮かべながら言った。「寮君、陽菜ちゃん、春香ちゃん、ありがとう。これで、安心できると思う」
寮は優しく微笑みながら答えた。「もし、何かあったら、遠慮しないでいつでも連絡してくれ」
ひかりも安心したように言った。「どうなるか心配したけど、これで大丈夫だね」
真由美も感謝の言葉を述べた。「ありがとう、みんな。これで安心できるわ」
陽菜は真由美に向かって言った。「真由美さん、ありがとう。勉強もバッチリ教えてもらって」
春香も続けた。「色々なところに案内してもらってありがとうございました。アイスケーキ、おいしかったです」
夏休みも終わりに近づき、陽菜と春香が真由美のもとを離れる日が訪れた。
寮は深いため息をつきながら言った。「これで一段落ついたかな」
美穂たちの表情が少し和らいだのを見て、真由美は安堵の表情を浮かべた。
「みんな、ありがとう」真由美の言葉に、全員が静かに頷いた。
その後も色々調査を行ったが、他に関連する情報を得ることはなかった。
美穂の言っていた魔法のYouTubeチャンネルも既に閉鎖されており、特別な手掛かりとなる情報を得ることはなかった。
***お寺のお焚き上げ***
寮たちは黒魔術の道具と本を慎重に抱え、春香の実家である寺に足を踏み入れた。山門をくぐると、線香の香りが漂う静寂な空間が広がっていた。
「お願いします」寮が深々と頭を下げると、住職は厳かな表情で頷いた。
お焚き上げの準備が整うと、一行は本堂の裏手にある広場に集まった。そこには、既に護摩木が積み上げられ、周囲には五色の旗が立てられていた。
住職と春香は白装束に身を包み、読経を始めた。低く響く声が境内に響き渡る中、次々と黒魔術の品々を炎の中に投げ入れていく。
燃え盛る炎は次第に大きくなり、黒い煙が立ち昇った。寮たちは、その様子を固唾を呑んで見守っていた。
やがて、不気味な色をした煙が消え、炎は浄化の白い光を放つように見えた。住職の読経が最高潮に達すると、最後の道具が炎に包まれた。
お焚き上げが終わると、住職は一同に向かって穏やかに語りかけた。「これで安心です。邪気は払われ、皆さんの心も清められました」春香も「これで、もう悪魔が呼び出される心配も無いです」と付け加えた。
しかし、寮の胸の内にはまだ小さな不安が残っていた。悪魔そのものは浄化されていない。その思いが、彼の表情に僅かな影を落としていた。
「寮君、これで安心かな」陽菜が、寮の横顔を覗き込むようにして尋ねてきた。
寮は深呼吸をして答えた。「そうだな。でも、もし何かあったらまた陽菜にお願いするよ」
陽菜は決意に満ちた表情で頷いた。「うん、私も頑張って寮君以上を目指すよ」
「私も陽菜ちゃんの手助けをします」と春香が答えた。
三人の会話を聞いていた住職が、穏やかな微笑みを浮かべた。「若い力は素晴らしい。これからも互いに高め合っていってください」
夕暮れの空が赤く染まり始める中、寮たちは清々しい気持ちで境内を後にした。風に乗って鐘の音が聞こえ、新たな章の始まりを告げているかのようだった。
今回で真由美で起こる下宿先の怪奇現象も終わり、平和になりました。
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