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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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影の向こう側 - オカルト研究部の真実

 心霊スポットの調査から帰還したオカルト研究部は、また、日常の活動に戻って行った。そういったある日、YouTube動画の配信をする事になり、寮と水野、沙織が企画を考える事になった。

***日常の裏側***


 夕暮れの大学キャンパス。オレンジ色に染まった空が、古びた校舎の窓に映り込んでいた。オカルト研究部の部室では、廃村での心霊スポット調査から帰還した部員たちが、静かに資料の整理を行っていた。

佐藤部長は、居眠りをしている海斗を見つけ、優しく声をかけた。「本来のオカルト研究部は、こういった地味な作業の繰り返しなんだ。これが楽しく感じられれば、君も一人前だよ」


 海斗は目を擦りながら起き上がり、申し訳なさそうに笑った。「一人前までは、まだまだですね。がんばります」

佐藤部長は微笑み、次の指示を出した。「寮君、YouTubeの更新をお願いするよ。水野君と沙織さんも手伝ってね」


寮、水野、沙織の3人は、YouTubeの企画会議を始めた。今回の廃村調査をどう配信するか、熱心に議論を交わす。佐藤部長は、彼らの熱意を見守りながらも、慎重に助言を与えた。

「ヤバイところはぼかしておくんだ。後々面倒なことになると困るからね。『たぶん』『かもしれない』『可能性がある』。これが締めの基本だよ」


 完成した動画は、予想通り地味な内容だった。大学のオカルト研究部という性質上、派手さはなく、視聴者の反応も控えめだった。


そんなある日、寮の様子を見にひかりが部室を訪れた。ユーチューブ配信の話から「私、高校時代は放送部だったの。寮君の棒読みナレーションより上手くできると思うわ。代わりにナレーションをするわ」

ひかりの参加により、動画の雰囲気は一変した。彼女の可愛らしい声優のような声が、オカルトの暗い内容と不思議なコントラストを生み出し、意外にも人気を集めた。

「声が可愛いから怖くない」「癒される」といったコメントが続々と寄せられ、チャンネルの人気は徐々に上昇していった。


寮は興奮気味に佐藤部長に報告した。部長は「へー、それは、凄い。このまま続けましょう」と、穏やかに答えた。


***真実の重み***


 しかし、この成功は新たな問題の始まりでもあった。

ある夜、水野は一人で編集作業を行っていた。彼の指は震えていた。YouTubeの編集画面で、彼は躊躇いながらも、本物の心霊現象の映像を追加しようとしていた。

「これが、本当の真実だ」


 水野の呟きは、静かな部室に響いた。彼は霊を浄化するシーンを、まるで霧の中から現れては消えるように、巧みに動画に溶け込ませた。

一週間後、オカルト研究部の部室は騒然としていた。動画は爆発的な人気を博し、数千件を超えるコメントが殺到。部員たちは青ざめた顔で画面を見つめていた。

「やらせだ!」「本物の霊能力者なのか?」「教えてください!」「怖いけど可愛い声が好き」

コメント欄は賛否両論で沸き立っていた。


ひかりは困惑した表情で画面を見つめていた。「私の声のせいで、こんなことに...」

寮が水野に向かって叫んだ。「危険すぎる!隠すべき真実もあるんだ!」

水野は反論した。「でも、これが現実だ。伝えるのが我々の使命じゃないのか?」


二人の激論は、佐藤部長の静かな声で遮られた。

「寮君、水野くん、どちらも正しい。でも...」彼は疲れたように椅子に腰を下ろした。「面倒なことは避けたいものだね」

部長の言葉に、部室に重い沈黙が落ちた。


「後始末をしよう」

その夜遅くまで、彼らは対策を練り、新しい動画をアップした。その動画では、巧みな科学的説明で語られていた。光の屈折。気温の変化。説明を重ねるたびに、真実は霧の中へと消えていった。

 

 翌日、新たな説明動画がアップロードされた。コメント欄には安堵の声が多く並んだ。

「やっぱり、ただの勘違いや目の錯覚なんだね」「あと少しで本気にしてしまう所だった」「でも、本当だったらすごいよね」事態は、沈静化していった。



しかし、水野の胸の中では、まだあの映像が生々しく残っていた。霊を見た瞬間の戦慄。浄化の際の温かな光。

彼は窓の外を見つめた。夕暮れの空に、かすかに光る何かが見えた気がした。


***影の向こう側***


 数日後、夕暮れの部室に、オレンジ色の光が差し込んでいた。水野は窓際に立ち、遠くを見つめていた。その目には、他のYouTube動画への批判的な眼差しが宿っていた。

「本当の心霊スポットは、あんなものじゃない」

彼の言葉は、経験から来る重みを帯びていた。

佐藤部長は、ゆっくりと水野に近づいた。その足音は、静かな部室に響いた。

「水野君」部長の声は優しかった。「たとえそれが真実だとしても、他人の考えを否定する権利は僕たちにはないんだ」

水野は黙って聞いていた。部長は続けた。


「でも、君は真実を知るチャンスを得た。それだけでも十分じゃないかな」

部長の言葉に、水野は少し体の力を抜いた。

「このオカルト研究部の全員が、君の気持ちを共有しているんだ。寮君も、由香さんも、陽菜ちゃんも、春香ちゃんも。卒業した一之瀬先輩だって」

水野は初めて部長の目を見た。そこには深い理解が宿っていた。

「君は一人じゃない」

その言葉が、水野の心に染み入った。


 寮が静かに口を開いた。「実は、僕も...」彼は言葉を選びながら続けた。「自分の能力のこと、悪霊のこと、公表する勇気がなかったんだ」

部室に静寂が広がった。寮の告白は、重い空気を作り出していた。

「気づいたら、霊能者になっていた。そんな覚悟も何もないまま」


 水野は寮の言葉が頭の中で繰り返された「もっと大人になれってことか」彼は小さく呟いた。


その瞬間、部室の空気が変わった。全員が互いを見つめ合い、言葉にできない理解を共有した。

彼らは皆、影の向こう側を見ていた。そこには、一般の人々には見えない世界が広がっている。その世界の重さと責任を、彼らは共に背負っていた。

夕日が沈み、部室は薄暗くなった。しかし、彼らの心の中では、新たな光が灯り始めていた。真実を知ることの喜びと、それを守ることの責任。オカルト研究部の新たな章が、静かに幕を開けようとしていた。


***秘密の誓い***


その夜、オカルト研究部の部員たちは遅くまで部室に残っていた。佐藤部長の提案で、彼らは円になって座り、それぞれの経験や能力について語り合うことになった。

「僕たちには、普通の人には見えないものが見える」佐藤部長が静かに切り出した。「それは祝福であると同時に、重い責任でもある」

一人ずつ、部員たちが自分の能力や経験を語り始めた。

水野は霊を視る能力について話した。「最初は怖くて仕方なかった。でも、今は少しずつ制御できるようになってきた」


 寮は悪霊を退ける力を持っていることを明かした。「僕の力は、みんなを守るためにあるんだと思う」

葵は未来を垣間見る才能について語った。「断片的だけど、時々重要な出来事が見えるの」

沙織は霊的な癒しの力を持っていた。「傷ついた魂を癒すことができるみたい」

海斗は過去の記憶を読み取る能力があった。「物や場所に残された記憶が分かる時があるんだ」

そして、寮は以前、指導霊シャミィと出会い、更新した事や異なる次元へ幽体離脱していた事を打ち明けた。「指導霊の存在や他の世界の繋がりを感じることができた」

佐藤部長は、彼らの話を静かに聞いていた。「君たちの能力は、この世界と影の世界を繋ぐ架け橋になれる」彼は真剣な表情で言った。「でも、それには大きな責任が伴う」

「私たちは何をすべきなんでしょうか?」葵が尋ねた。

佐藤部長は深く息を吐いた。「真実を知り、理解し、そして守ること。それが私たちの使命だ」

「でも、YouTube動画はどうするんですか?」水野が心配そうに尋ねた。

「続けよう」佐藤部長は微笑んだ。「でも、真実をそのまま伝えるのではなく、人々の心に寄り添う形で」

彼らは、これからのオカルト研究部の活動について長く話し合った。YouTubeチャンネルは続けながらも、その裏で真の調査と研究を進めていくことを決めた。

「僕たちは『影の守護者』だ」佐藤部長が言った。「表の顔と裏の顔を使い分けながら、世界の均衡を守っていく」

夜が更けていく中、彼らは互いに誓いを立てた。真実を追求し、世界を守り、そして何より、互いを支え合うことを。


 

 それからもYouTube動画は継続し続けられ、根強い人気を保っていた。


「これが...僕たちにできること」水野が呟いた。

佐藤部長が優しく言った。「そう、これが僕たちの活動だ。表には出せない事もあるけど、嘘でも無い話だ。」


 水野は思った。「僕たちは一人じゃない。そして、これからも真実を追い求め続ける」

その決意は、部員全員の心に刻まれていた。彼らの前には、まだ見ぬ不思議と、解き明かすべき謎が無限に広がっていた。



今回は、ありそうな感じのテーマーとして書いてみました。

信じる、信じないは、あなた次第。と、いった感じの話です。


 ご購読、ありがとうごさました。



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