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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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スピリチュアルズ ジャーニー 寮 スピンオフ 陽菜編「霊視の少女 - 陽菜の試練: 悲しみの霊」

陽菜は、知り合った春香のお寺の合宿に参加する事になった。そんなある日、奇妙な相談を受ける事になった。

冬の厳しい寒さが身にしみる12月。知り合った春香の誘いを受け、陽菜は観音寺での2週間の合宿に参加していた。毎日の写経、座禅、そして仏教の教えを学ぶ日々。それは彼女の霊能力を磨く絶好の機会だった。

「陽菜ちゃん、背筋をもう少しまっすぐに」

春香の優しい声に、陽菜は姿勢を正した。二人は寺の本堂で座禅を組んでいた。陽菜は目を閉じ、呼吸に集中する。すると、周囲の空気がゆっくりと変化していくのを感じた。

(これが...精神を統一するということなのね)


***怪奇現象の相談***


2週間が過ぎようとしていたある日の午後。陽菜と春香が寺の境内の掃除をしていると、一人の女性が訪れた。深刻な表情を浮かべたその女性を見て、二人は不安を感じた。深谷住職が女性と話をしている間、陽菜と春香は掃除を続けながら、こっそりと会話を聞いていた。

「毎晩、知らない人影が見えるんです」女性の声が震えていた。「それだけではありません。金縛りにあったり、ひどい悪夢に悩まされたり...」

深谷住職は穏やかな声で答えた。「そうですか、大変お辛い経験をされているのですね。毎晩、お経を唱えてみてはいかがでしょうか」

しかし、女性は首を振った。「もう試してみましたが、効果がありませんでした」

その時、春香が陽菜の袖を引っ張った。「ねえ、陽菜ちゃん。あなたなら何かできるんじゃない?」

陽菜は驚いて春香を見た。「え?でも、私には...」

春香は陽菜の言葉を遮り、住職に向かって声をかけた。「お父さん、陽菜ちゃんに相談に乗ってもらうのはどうかしら?」

深谷住職は少し考えてから、にっこりと笑顔を見せた。「そうですね。陽菜さん、この方のお話を聞いてあげてくれませんか?」

突然の展開に戸惑う陽菜。しかし、女性の苦しそうな表情を見て、勇気を出して一歩前に出た。

「はい、私にできることがあれば...」

女性は希望の光を見出したかのように、陽菜を見つめた。「本当ですか?お願いします」

陽菜は深呼吸をして、女性の前に座った。これまでの修行で学んだことを思い出しながら、静かに目を閉じる。

「では、あなたの体験について、詳しく聞かせていただけますか?」陽菜の声は、予想外に落ち着いていた。

女性が話し始めると、陽菜の周りの空気が少し変わった。春香はその変化を感じ取り、陽菜の成長を目の当たりにして驚きと喜びを感じていた。

話を聞き終えた陽菜は、決意を固めた表情で言った。「わかりました。私たちが、あなたのお宅を訪問させていただいてもよろしいでしょうか?」

女性は安堵の表情を浮かべながら頷いた。「ええ、ぜひお願いします」


***心霊現象の起きる家***


その夜、陽菜は自分の部屋で深い物思いに沈んでいた。春香がそっと部屋に入ってきた。

「大丈夫?」春香の声には心配が滲んでいた。

陽菜は微笑んで答えた。「うん、大丈夫。ただ...これが私にとって初めての本格的な霊障事件になるの。少し緊張するわ」

春香は陽菜の隣に座り、その手を握った。「私も一緒に行くわ。二人なら、きっと大丈夫よ」

陽菜は春香の手を握り返した。「ありがとう、春香ちゃん」

窓の外では、満月が静かに輝いていた。それは、陽菜の人生における新たな章の始まりを告げているかのようだった。彼女の心の中で、シャミィの声が静かに響いた。

(陽菜ちゃん、あなたの力を信じて。そして、霊の声にも耳を傾けることを忘れないで)

陽菜は深呼吸をし、これから始まる未知の冒険に向けて心を落ち着かせた。彼女の霊能力者としての真の試練が、今まさに始まろうとしていた。


翌日の夕方、陽菜と春香は女性の家を訪れた。夕暮れの薄暗い中、古びた二階建ての家が二人の前に佇んでいた。

「ここね」陽菜は静かに呟いた。

玄関のドアが開き、昨日会った女性が二人を迎え入れた。「お二人とも、来てくださってありがとうございます」

家の中に入ると、陽菜はすぐに異様な雰囲気を感じ取った。重苦しい空気が家全体を覆っているようだった。

「まず、家の中を見せていただけますか?」陽菜は丁寧に尋ねた。

女性は頷き、二人を家の中を案内し始めた。リビングルーム、キッチン、そして二階の寝室。陽菜は各部屋で立ち止まり、目を閉じて周囲の霊気を感じ取っていた。

寝室に入ったとき、陽菜の体が僅かに震えた。

「ここね...」陽菜は目を開けて言った。「霊の気配が最も強いのは、この部屋です」

春香は不安そうに周りを見回した。「どんな霊なの?」

陽菜は慎重に言葉を選びながら答えた。「怒りと悲しみが混ざっているわ。でも、まだ正体はわからない」

夜が更けていく中、陽菜と春香は女性と共にリビングで待機することにした。時計の針が真夜中の12時を指す頃、突然、二階から物音が聞こえ始めた。

「来たわ」陽菜は立ち上がり、春香の手を取った。「一緒に行きましょう」

二人は静かに階段を上り、寝室のドアの前で立ち止まった。陽菜はゆっくりとドアを開け、中を覗き込んだ。

そこには、悲しげな表情の若い女性の霊が立っていた。その姿を見た瞬間、陽菜の頭に映像が流れ込んできた。会社でのいじめ、絶望、そして...突然の事故。

「あなたは...津村裕子さん?」陽菜は静かに語りかけた。

霊はゆっくりと陽菜の方を向いた。その目には深い悲しみと怒りが宿っていた。

「どうして...どうして私をそこまで追い詰めたの?」裕子の声が響いた。

陽菜は一歩前に進み、優しく尋ねた。「裕子さん、あなたの話を聞かせてください。何があったのですか?」

裕子の霊は震えながら語り始めた。彼女はかつてこの家の持ち主である女性と同じ会社で働いていた。しかし、そこでひどいいじめを受け、最終的に不幸な事故に遭ってしまったのだった。

「でも、それだけじゃないのよね?」陽菜は静かに促した。

裕子の姿がゆらめき、その表情が苦悶に歪んだ。「あの女性...彼女が全ての元凶よ。私を追い出したのは彼女なの」

陽菜は深く息を吸い込んだ。「なぜ、あなたを追い出そうとしたのでしょうか?」

裕子の姿がさらにゆらめき、やがて悲痛な叫びとともに真実が明かされた。

「彼女は...社長と不倫関係にあったの。私がそれを知ってしまったから...彼女は私をいじめ抜いて、会社を追い出したの。その後、私はストレスで体調を崩し、ある日階段で転んでしまって...」

陽菜と春香は息を呑んだ。真実の重みが部屋全体に広がっていった。

陽菜は静かに裕子に近づき、優しく語りかけた。「裕子さん、あなたの苦しみはよくわかります。でも、憎しみは誰も幸せにはしません。あなたの魂を自由にするために、私たちに何ができるでしょうか?」

裕子の霊は一瞬躊躇したように見えたが、やがてかすかな光に包まれ始めた。

「ただ...真実を知ってほしかったの。そして...許してほしかった」

その言葉と共に、裕子の姿は光の中に溶けていった。部屋に静寂が戻る中、陽菜は深いため息をついた。

「終わったの?」春香が小声で尋ねた。

陽菜はゆっくりと首を振った。「いいえ、まだよ。これは始まりにすぎないわ」

彼女の目には、これから始まる新たな挑戦への決意が宿っていた。真実を明らかにし、全ての魂に安らぎをもたらす。それが、陽菜に与えられた次なる使命だった。


翌朝、陽菜と春香は女性と向き合っていた。陽菜は深呼吸をし、昨夜の出来事を女性に伝え始めた。

「津村裕子さんという方の霊が...」

陽菜の言葉に、女性の顔が蒼白になった。「裕子さん...?」

陽菜は静かに続けた。「はい。彼女は...あなたと同じ会社で働いていた方です」

女性の手が震え始めた。「ど、どうして彼女が...」

「彼女は...あなたと社長の関係を知ってしまったそうです」陽菜の声は優しかったが、その言葉は鋭い刃のように女性の胸に突き刺さった。


女性は崩れるように椅子に座り込んだ。「そんな...私...私は...」

陽菜は女性の前にしゃがみ込み、その手を取った。「過去は変えられません。でも、これからどうするかは、あなた次第です」

女性の目から涙が溢れ出した。「私...私が裕子さんを追い詰めてしまったの...彼女の事故も...全て私のせい...」

春香が静かに言った。「でも、まだ償う機会はあります」

陽菜は頷いた。「そうです。裕子さんの魂を本当に解放するためには、真実を明らかにし、彼女の名誉を回復する必要があります」

女性は震える声で言った。「で、でも...それをすれば...私は...」

「はい、厳しい結果になるかもしれません」陽菜は真剣な眼差しで女性を見つめた。「でも、それが裕子さんの、そしてあなたの魂を救う唯一の道なのです」

長い沈黙の後、女性はゆっくりと顔を上げた。その目には、決意の色が宿っていた。

「わかりました...全てを話します。裕子さんのために...そして、自分自身のために」

その日の午後、女性は警察署に向かった。陽菜と春香は、遠くからその姿を見守っていた。

「本当に良かったのかな...」春香が不安そうに呟いた。

陽菜は静かに答えた。「ええ、これが最善の道だったわ。辛い真実かもしれないけど、それを受け入れることで初めて、癒しが始まるの」



数日後、新聞に小さな記事が載った。ある会社での不正と、それに関連した過去の事故の真相が明らかになったという内容だった。

陽菜は新聞を手に取り、深いため息をついた。「裕子さん、あなたの思いは、やっと届いたわ」

その夜、陽菜の夢に裕子が現れた。彼女の姿は、もはや怒りや悲しみに歪んでいなかった。

「ありがとう、陽菜さん」裕子の声は穏やかだった。「私、やっと安らかに眠れそうです」

陽菜は微笑んで答えた。「良かった。もう、誰も苦しむ必要はないのよ」

裕子の姿が光の中に溶けていく中、陽菜は静かに目を覚ました。窓の外では、新しい朝が始まろうとしていた。


陽菜は起き上がり、窓を開けた。冷たい朝の空気が頬を撫でる。彼女は深呼吸をし、心の中で誓った。

(これからも、迷える魂を導き、真実を明らかにしていく。それが、私の使命)

陽菜の部屋に朝日が差し込み、新たな一日が始まった。彼女の霊能力者としての旅は、まだ始まったばかり。これからも多くの試練が待っているだろう。しかし陽菜は、もう恐れてはいなかった。なぜなら、彼女には力があり、そしてその力を正しく使う覚悟があったから。


陽菜は静かに目を閉じ、これから始まる新たな一日に向けて心を整えた。彼女の周りには、温かな光が包み込むように広がっていった。


 今回の話は、心霊番組でありそうな物語になりました。こういったのも、ありかな。と、いった感じで書いた話になります。


 ご購読、ありがとうございました。


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