新しい道への模索
低山の祠の決戦で、寮は、最後の切り札として古文書の力を解放し、怨霊を浄化した。
その一方、古文書は魔力を失い寮は、これ以上、霊能者として活動する事を辞める事を考えていた。
低山での怨霊との激しい対決から数日後、寮は重い足取りでマリアさんの占いサロンを訪れた。手には魔力を失った古文書が握られていた。
「マリアさん、古文書をお返しに来ました」寮は申し訳なさそうに言った。「でも...魔力が無くなってしまって...」
マリアさんは優しく微笑んだ。「心配しないで。その本の魔力は、あなたにしか使いこなせなかったの。役目を終えただけよ」
寮は安堵の表情を浮かべたが、すぐに不安げな顔つきに戻った。「でも、これからどうすればいいのか...」
マリアさんはタロットカードを広げ、占いを始めた。しばらくして、彼女は静かに告げた。「あなたは、霊能者や魔法使いとしての役割を終えたのかもしれないわ。これからは、新しい道を進む時が来たようね」
「新しい道...」寮は呟いた。
「あなたには、人を癒す力がある。ヒーリングについて学んでみるのはどうかしら?」
寮の目が輝いた。「ヒーリング...確かに、人を助けることはずっとやりたいと思っていました」
寮は一之瀬先輩に会い、今後の事について語った。
「先輩、先日出かけた低山で起きた怨霊事件で、僕の力は使い果たしたと思います。最後の魔法として使った古文書の魔力も消えてしまい、これ以上心霊現象に対抗する事は難しいと思います。」
***ヒーラーへの模索***
一之瀬先輩も寮の意見に同意し、「これからは心霊現象の調査は控えよう」と決めた。
さらに寮は話を続け、「占いで僕はヒーリングについて学ぶ事が向いている様です」と話した。
「へぇ、ヒーリングか」一之瀬先輩が感心したように言った。「実は、世界的に有名なヒーラーが来日するんだ。セミナーがあるらしい」
「えっ、本当ですか?」寮は驚いた。
「部員の葵さんと沙織さんも興味があるらしいから、今度、一緒に参加してみてはどうかな?」と一之瀬先輩は勧めた。
葵が笑顔で付け加えた。「私たちもヒーリングに興味があって、今度参加しようと思っています。寮くんも一緒に参加してみる?」
寮は嬉しそうに頷いた。「是非お願いします!」
数週間後、オカルト研究部のメンバーたちは、大きなホールに集まっていた。世界的に有名なヒーラー、ジョン・ラワウル氏のセミナーが始まろうとしていた。
寮は緊張しながらも、期待に胸を膨らませていた。これが自分の新しい道の始まりなのかもしれない。霊能力は失われたかもしれないが、人々を助けたいという思いは変わらない。
ステージ上で、ジョン・ラワウル氏が話し始めた。「皆さん、ヒーリングの本質は愛です。自分自身を癒し、そして他者を癒す。その循環が、世界を変えていくのです」
静かな部屋に集まった人々は、ジョン氏の柔らかな声に耳を傾けていた。
「そこで、私が愛のエネルギーを送ります。皆さん、目を閉じてください」
参加者たちは静かに目を閉じた。すると、不思議なことに体が徐々に暖かくなっていくのを感じた。ジョン氏の声が再び響く。
「これが愛のヒーリングです。どうですか?ヒーリング前と比べて体が軽くなっていますか?気持ちは、どうですか?」
目を開けた参加者たちは、互いに顔を見合わせた。驚きと喜びの表情が広がる。
「なんだか体が軽くなった気がします」と、一人の女性が呟いた。
「私も同じです。それに、心が温かくなった気がします」と、隣の男性が答えた。
部屋中に穏やかな空気が満ちていた。参加者たちは、体の軽さと心の充実感を味わいながら、この不思議な体験に感謝の念を抱いていた。
ジョン氏は優しく微笑んだ。「愛のエネルギーは、私たちの体と心を癒す力を持っています。この感覚を大切にしてください」
その後、寮は沙織や葵とヒーリングについて話し合った。
「なんだか不思議な感覚だったわ」と沙織が話す。
葵も、「なんだか心が晴れたような気持ちです」と感想を述べた。
寮は他にもどういったヒーリングがあるのか、色々調べて見ることにした。
ヒーリングには、霊気療法や神様への祈祷、お祈り、気功など数多くの方法があることを知った。また、愛のエネルギーとして音叉を使うヒーリング方法、アロマやパワーストーンなども数多くあることを知った。
「昔は現代の西洋医学が発展していなかった事から、こういった不思議な方法を使って病気を治そうとしてた所もあるみたいね」と沙織が語った。
「でも、実際に病気が早く回復した事例もあるみたいだから、まったくのでたらめでも無いみたいね」と葵が付け加えた。
寮は葵と沙織に話し、色々なヒーリング方法について意見を交わした。
「そうだ、今度、ミッキーさんのオンラインヒーリングを受けて見ない?」と誘い、ミッキーさんのオンラインヒーリングを受けることになった。
ミッキーさんのヒーリングは、特別何もしないまま雑談をしているだけでヒーリングが行われる方法だった。
沙織や葵もユニークなヒーリング方法にはじめは戸惑っていたが、不思議と癒される事に興味を示した。
ミッキーさんの話では、この世界、宇宙の素となる素粒子の働きで身体を癒して行くパワーのあるヒーリングらしい。またヒーリングは一回受けて済む事ではなく、繰り返して受けて行く事で心と体が変容して本来の自分自身に戻れる、そうだった。
寮達はうまく理解する事はできなかったが、悟りを得る人の心境に近い感覚なのかな?と想像した。
「この世界は1つの素粒子、エネルギーが素にあり宇宙や世界が成り立っている。全ては1つ、ワンネスとも言えるわね」とミッキーさんは意味深に語った。
それから寮は必死にヒーリングについて学んだ。霊気や気功、音叉を使ったヒーリング、アロマセラピーなど様々な方法を試した。しかし、どれも寮には「何かが足りない」と感じられた。
ある日、オンラインヒーリングセッションに参加した後、寮は沙織と葵に本音を打ち明けた。
「正直に言うと、僕はあまりヒーリングの効果がはっきり分からないんだ。みんなが素晴らしいって言うのに、僕はあまりそう感じられない」
沙織は驚いた様子で言った。「そうなの?でも、寮くんならきっと上手くなると思ってた」
葵は少し考えてから、「寮くん、無理に自分を変える必要はないんじゃないかな?本当にやりたいことを見つけるのが大事だと思うよ」と優しく言った。
その言葉に寮ははっとした。「確かに、僕はヒーリングに向いていると思ってたけど、どうやら違ったみたいだ。じゃあ、僕は何をやるべきなんだろう...」
***新しい活動の道***
その後も寮は模索し続けたが、ついにある日、答えが見つかった。あるボランティア活動で、被災地での救援活動に参加する機会を得たのだ。現地での活動を通じて、寮は自分の新しい使命を見つけた。
被災地での活動が始まり、寮は一之瀬先輩や他のメンバーと共に物資を配り、避難所でのサポートを行った。その中で、多くの人々と触れ合い、直接的に助けることの喜びを感じた。
「これが僕の新しい道だ」寮は心の中で強く感じた。「ヒーリングや霊能力ではなく、人々を直接助けること。これが僕の使命だ」
帰りのバスの中、寮は仲間たちと共に未来の話をした。「これからも、どんな形であれ、人々を助ける活動を続けていきたい。みんな、一緒にやっていこう!」
一之瀬先輩は頷き、笑顔で答えた。「もちろんだよ、寮。僕たちはいつでも君をサポートするよ」
沙織も葵も、それぞれに同意し、寮を励ました。
寮は心の中で新しい決意を固めた。これからも、困っている人々のために、自分の全力を尽くす。それが、彼の新しい使命だった。
今回は、普通の学生としてボランティア活動を始める話で終わりました。
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