踏み入れては行けない祠ルート
今回は、再び低山の祠の話になります。オカルト研究部の新人が、興味を持ち勝手に調査に出かけしまいます。それに気づいた一之瀬先輩たちは、、、、、、
オカルト研究部の新入部員たち、海斗と沙織、そして葵は、部室の資料を眺めていて、ある祠の情報に興味を抱き始めていた。
「俺たちもオカルト研究部の一員だぜ。先輩たちはビビって低山の祠に近づかなかったみたいだけど、俺たちは、その程度の噂でビビったりしないぜ!」海斗が自信満々に言った。
沙織も微笑みながら頷いた。「そうだよね、海斗くん。私たちはこの部に入ったんだから、ちょっとした怪しい話には動じないよ。」
葵は眉間にしわを寄せ、心配そうに言った。「でも、あの祠は最近、変な噂が多いんだ。危ないと思うよ。」
海斗は肩をすくめた。「葵ちゃんもビビってるの?大丈夫だって、何も起きないって信じなよ!」
しかし、葵の不安は簡単には消えなかった。それでも、新入部員たちは若さと好奇心に押され、その祠への調査を決行することにした。
「俺たちで調査して、先輩たちに実力の差を見せつけようぜ。誰か調査に行きたい奴はいるか?」と海斗が仲間を募った。
すると、「海斗、僕たちも行くよ」と数人が申し出た。
「そうだ、葵もぜひ一緒に来てくれよ。沙織と葵がいると料理も上手だから助かるしさ」と海斗は葵を誘った。
沙織も加わり、「怖くないよ。近くにキャンプ場もあるんだから、ちょっとしたハイキングと同じよ」と葵を説得した。
葵は断りきれず、しぶしぶ同意した。
その決断が、彼らを待ち受ける運命を大きく変えることになるとは、誰も予想していなかった。
***噂の祠へ出発***
海斗たちは、キャンプ場のルートを避け、バスで低山のハイキングルートの入り口から登る計画を立てていた。より冒険的で、一之瀬先輩たちより勇気があることを示したかったからだ。
出発の前日、葵は強化合宿で親しくなった由香に連絡を取り、不安な事を相談した。由香はお守りと浄化スプレーを渡し、「これを持っていれば、悪霊も簡単に近寄れないから大丈夫よ」と励ました。
「由香さん、ありがとう。私、霊感があって怖いのが苦手なので助かります」と葵は感謝を伝えた。
出発当日、海斗、沙織、葵、他3名のグループは電車とバスを乗り継ぎ、ハイキングコースの入り口に到着した。
「思ってたより、いい感じの所ね」と沙織が話す。
「だから言っただろ。先輩たちはビビリすぎなんだって」と海斗が得意げに答えた。
「今日は夕方までに祠まで行こう。そこでキャンプだ」と、新人部員たち全員で目標を定めた。
一方、オカルト研究部の部室では、装備品が持ち出されていることに気づいた部員が一之瀬先輩に連絡した。すぐに、海斗たちが低山の祠に向かう計画を立てていたことが判明した。
一之瀬先輩は驚きながらも、他の部員を集め、救助活動に出発することを決定。寮や由香にも連絡が入り、緊急集合がかかった。
部室で一之瀬先輩が説明した。「どうやら、新入部員の海斗、沙織、葵たちが低山の祠に向かったようだ。我々で追跡する。僕と寮君、残り数名の部員はキャンプ場コースまで車で直接行き、祠の下山ルートを進んで捜索する。残りの部員と由香さんは、車でハイキングコースまで進み、近道ルートの入り口で待機してもらう。我々が祠を下り、近道ルートで合流する。以上の計画だ。急ごう」
決定後、寮と由香は別々の車に分乗し、途中でキャンプコースと登山コースに分かれた。
車中で、一之瀬先輩と寮は話し合っていた。
「今回は、かなり危険な気がします。なんとか間に合えば…」と寮が不安げに口にした。
一之瀬先輩も「あれほど注意したのに、分かっていないようだ…」と呟いた。
寮が続けた。「以前と比べて、トレーニングのおかげで霊力も回復しました。少しは対応できるかもしれませんが、怨霊となるとかなり厳しい可能性が高いです」
「今からの出発で、電車で向かった彼らより3時間ほど遅れる。登山ルートなら、およそ9時間で祠につくはずだ。キャンプ場からなら5時間程度。日没までには、なんとか間に合うはずだ」と一之瀬先輩は答えた。
一方、海斗たち新入部員は、興味を抱いていた低山の祠に向かうため、ハイキングコースから祠への近道を辿ることにしていた。
***ハイキングコースの入り口***
ハイキングコースの入り口に立ち、海斗は声を上げた。「なんだ、思ってたより普通じゃないか。ただのハイキングになりそうだ。のんびり楽しもうぜ」
登山口に足を踏み入れると、沙織が葵に尋ねた。「何か感じる?」
葵は答えた。「特別、何も感じられません。やっぱり気のせいだったのかも…」
「だいたい、こういったとこは噂だけってパターンが多いからね。取り越し苦労だよ」と、他の新入部員が話した。
海斗たちは、ハイキングコースを離れ、「祠への近道」と書かれた看板を見つけた。葵は前を歩く海斗に続きながらも、不安そうな表情を隠せずにいた。突然、葵が足を止め、不安定な表情で振り返った。
「海斗くん、待って。この道、ちょっと…変な感じがする。なんだかゾクゾクして寒い」葵の声が震えた。一瞬、不安な空気が漂ったが、海斗は無邪気に笑みを浮かべて彼女を説得した。
「葵、大丈夫だって。この近道が例の祠ルートさ。まあ、どうしても怖かったら、祠のルートを通ってキャンプ場に辿り着けばいいんだ。大したことないから、信じてみなよ!」
葵は深呼吸し、ためらいながらも再び歩き始めた。他の部員たちも海斗の後に続いたが、何となく違和感を覚えていた。
沙織が提案した。「こういう時は、ひかりさんから教えてもらった呼吸法で気持ちを切り替えよう」
***一之瀬先輩たちの部員***
その頃、寮たちはキャンプ場に到着し、部員3名にテントを設置してここで待機するよう指示した。
「もし、今夜7時までに帰って来なかったら、下山ルートで降りる可能性が高い。ここで待機していてくれ。」と告げる。一方、一之瀬先輩と寮は、キャンプ場から続く祠の下りルートを進んでいった。
「今の時間なら、祠には4時過ぎには到着する予定だ。仮に海斗たちがハイキングコースから登った場合、同じ頃に到着するはずだ」と一之瀬先輩は寮に伝えた。
ハイキングコースから後を追った由香たちは、まだ近道の看板に辿り着いていなかった。
「私たちは近道の看板を見つけたら、そこで待機することになっている。看板の入り口に結界を張って、場を浄化するの。もし悪霊が追ってきても、しばらくの間は時間稼ぎになるはずよ」と由香は説明した。
オカルト研究部の部員たちも真剣に話を聞いていたが、一人が不安そうに尋ねた。「でも、あの心霊スポットのような怨霊だったら、私たちの結界は簡単に破られないでしょうか?」
「だからここまで登ってくる間に、いくつも結界を張ってきたのよ。危なかったら、また下山して夕方の8時過ぎまでには入り口まで帰れるはず。入口で待機している仲間もいるから、なんとかなるわ」と由香はみんなを励ました。
海斗たちは、寮たちが到着する20分前に祠に到着していた。まだ日も明るく、テントを張って食事を作るにも十分な余裕があった。
「まずは安全性の確保だ」と言って、海斗はテントを張る周りを清め、設営を始めた。
テントを張り、くつろいでいると、寮たちがキャンプ場へのルートから降りてきた。
海斗たちが一之瀬先輩を見つけると、「ヤバっ」と声を上げた。
一之瀬先輩は息を切らせながら海斗たちに近寄り、「早くこの場から離れるんだ。ここは危険すぎる」と伝えた。
海斗は反抗的に答えた。「全然平気っすよ。先輩は心配しすぎなんです」
しかし、違和感を強く感じていた葵は、体を震わせながら言った。「一之瀬先輩…ここは変です…怖いです…」
寮も何か強い違和感を感じており、「早くこの場から離れるんだ」と新入部員たちに声をかけた。
新入部員たちがテントの撤去にかかろうとする様子を見て、一之瀬先輩は「テントはそのままでいい。早くこの場から離れるんだ。急ごう」と言った。
キャンプ場へ進む道は何かに阻まれているような強い殺気が漂っており、近寄ることができなかった。
「クソッ。まだなんとか時間がある。下り口を進もう。このエリアから早く出るんだ」と一之瀬先輩は声をかけ、部員たちは慌てて下山ルートに引き返した。
下山ルートを降りながら、一之瀬先輩が「よかった、間に合った」と呟いた。
寮は「ただ、かなりギリギリかもしれない。なんとか近道の看板付近まで降りることができれば、助かるかもしれない」と告げた。
1時間ほど下ると、看板のあるハイキングコースが見えてきた。
「今の時間は?」と一之瀬先輩が尋ねる。
沙織が「今6時半過ぎです」と答えた。
「あの看板のところまで20分くらいはかかりそうだ」と一之瀬先輩は呟いた。
少しずつだが、ゆっくりと日が暮れ始め、辺りが薄暗くなっていく。
6時55分に看板のあるルートに戻れた。そこで待機していた由香と部員たちが手を振った。
「予定より早く着けたみたいだ。少し、ここで休んでから山を下りよう」と一之瀬先輩は話した。
由香は周りに浄化スプレーを撒き、場を清めながら話した。「これは魔法で清めるパワーを高めている特別なスプレー水なのよ」
葵も近道のルートから降りたところで、違和感が治まっていた。「不思議だ、さっきまで体が震えていたのに…」と呟いた。
一之瀬先輩が説明した。「あの場所は午後8時以降、留まると行方不明になっているケースが多いことが、これまでの調査でわかっている。君たちが出かけた時間から逆算して、なんとか間に合う計算が合っていてよかった…」
その時、何かが由香の張った結界に触れた感覚がした。
「何?」と、由香や葵、寮が目を向けた。
不気味な影がうごめいていた。
人間の叫び声と、人間ではない何かの唸り声が、夜の山中に響き渡った。
結界に当たりその何かは、動けなくなっていた。。。。
「寮達は、すぐにここから離れよう。」と、全員に指示を出した。
一之瀬先輩たち全員は、急いで、この場を離れてハイキングコースの出口に向かった。
由香が「大丈夫、いくつも結界を張っておいたから、その間に降りられるわ。」と、
みんなに話した。
出口まで後20分くらいの距離に入った。
「ここまで来れば、安心よ。もう少し。」とみんなに言った。
ただ、何かうごめく存在が、結界を次々と破って近づいている気配を感じた。
この直線の道には10カ所以上結界を張っているのよ。
それが、1分程度経つと、1つまた1つと、結界が破られて行く。。。。。
寮は霊光弾を全力で放ち最後の結界が破られた瞬間を狙った。
霊光弾がうごめく存在に当たり霊光弾の光がしばらく続いたが、そのまま闇に飲まれて行った。。。
その間に寮たちは登山道を下り、ハイキングコースの出口に着いた。
「今、8時半だ」
入り口で待っていた部員の2人がライトで手を振り合図する。一之瀬先輩たちもそれに答えてライトを振った。
入り口を出て、「よし、駐車場まで向かおう」と話し、車に乗り
込んだ。駐車場からキャンプ場にスマホで全員無事に救助したことを知らせた。
海斗たちは、一之瀬先輩たちに対して黙ったままだった。重苦しい沈黙が車内を支配していた。
一之瀬先輩は深刻な表情で話し始めた。「勝手な行動は仲間たち全員を危険にさらすことになる。今回は運よく助かったが、軽率な行動は慎むべきだ。オカルト研究には常に危険が伴う。それを理解しているからこそ、我々は慎重に行動しているんだ」
海斗は窓の外を見つめたまま、小さく頷いた。沙織と葵は互いに視線を交わし、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
***最後の抵抗***
車は暗い山道を下り始めた。木々の影が車窓を通して不気味に揺れていた。
突然、車が急に止まってしまった。エンジンの音が途絶え、辺りが静寂に包まれる。
部員の一人が首を傾げて言った。「変だな。急に止まるなんて、故障かな?」
一之瀬先輩が慌ててエンジンをかけ直そうとするが、反応がない。
その時、葵が体を震わせて呟いた。「寒い...怖い...」
車内の温度が急激に下がり始めた。息が白く見える。
寮が周囲を警戒しながら言った。「みんな、落ち着いて。車内から出ないで」
由香は急いで浄化スプレーを取り出し、車内に噴霧し始めた。「こ、これで大丈夫よ。きっと...」
しかし、車の外の闇が濃くなっていく。まるで液体のように窓ガラスを這い上がってくるようだ。
一之瀬先輩が声を張り上げた。「みんな、護身術の印を結べ! 早く!」
部員たちは慌てて指を組み、必死に印を結ぶ。
その時、車体が大きく揺れ始めた。何かが車を取り囲んでいるような感覚。
葵が悲鳴を上げる。「ああっ! 窓の外に...何か...いる!」
全員が葵の指さす方向を見る。窓ガラスの向こうに、人の形をした影のようなものが見える。しかし、それは人ではない。ゆっくりと車に近づいてくる。
寮はマリアさんから借りていた古文書を取りだと、光の守護神を召喚する呪文を唱える。
その呪文と共に、光の霊的存在が現れ、怪しい存在に立ち向かった。
しかし、その悪霊の闇は強く、光の守護神も消えてしまった。
寮は最後の力を振り絞り、再び霊光弾を放った。しかし、魔力を使い果たし、追い詰められた状況に陥る。その瞬間、寮は最後の魔法の言葉を思い出す。
震える声で、寮はその言葉を唱え始めた。「光よ、我らを守り給え...」
突然、寮が持っていた古文書から強大な光が広がり始めた。その光は瞬く間に低山一帯を包み込み、闇を押し返していく。怨霊たちは光に触れると、悲鳴を上げながら消えていった。
光に包まれる中、寮の脳裏にシャミィの姿が浮かぶ。二人でシンクロした時の霊光弾の記憶が蘇る。寮は小さく微笑み、「ありがとう」と呟いた。
光が放たれ、車の周りを包むように広がった。その光は眩しく輝き、車外の不気味な影たちを追い払った。影は苦しむようにうめき声をあげ、一つまた一つと消えていった。
しばらくして、車内は再び静寂に包まれた。部員たちは息を呑み、信じられないような表情で寮を見つめた。寮は疲労で顔が青白くなっていたが、微笑んで頷いた。
「これで...なんとか大丈夫そうだ」と寮が静かに言った。
一之瀬先輩が深く息を吐き、「みんな、無事でよかった。これからはもっと慎重に行動しよう」と全員に向けて言った。
海斗は反省の色を見せ、「本当にすみませんでした。自分の軽率な行動で皆を危険にさらしてしまいました」と深々と頭を下げた。
沙織も「これからはもっと気をつけます」と続けた。
葵は涙を浮かべながら、「本当に怖かったけど、みんなが助けてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べた。
車は再びエンジンがかかり、ゆっくりと走り出した。部員たちは安堵の表情を浮かべ、暗い山道を下り続けた。
***帰還***
駐車場に到着した時、待っていた部員たちが駆け寄り、皆の無事を確認した。一之瀬先輩は全員を集め、「今回の出来事から、僕たちは何を学ぶべきかを考えよう。オカルト研究には常に危険が伴うことを肝に銘じ、慎重に行動することが大切だ」と強調した。
寮は由香に向かって微笑み、「由香さん、あなたのお守りと浄化スプレー、本当に助かりました。ありがとう」と感謝の言葉を述べた。
由香は笑顔で「いえいえ、私たちのチームワークがあったからこそ、無事に戻れたんですよ」と答えた。
その夜、部員たちは互いに無事を喜び合い、心を新たに結束を深めた。今回の出来事は、オカルト研究部にとって貴重な教訓となり、彼らの絆を一層強くした。
そして、彼らは再び心霊スポットや未知の世界への探求を続けることを誓い合い、それぞれの家へと帰路についた。
今回のストーリーは、久しぶりにホラーな話になりました。
かなり悪戦苦闘して書いた物語になりました。
ご感想お待ちしていますまた、誤字脱字などあれば連絡して頂けると助かります。
ご購読、ありがとうございます。




