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スピリチュアルズ ジャーニー 寮  作者: waku


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霊能力者の選択

 前回の封印の儀式を行った、後、寮は、心霊関係の事から距離を置いて過ごすようになっていた。

ただ、寮に興味をもった一之瀬先輩からオカルト研究部の誘いが続いていた。

***平穏な日々の中で***


 大学の図書館で、寮は静かに本を読んでいた。心霊スポットでの封印事件から数ヶ月が経ち、彼は平穏な大学生活を送ろうと努めていた。ひかりや由香と普通の日々を過ごしたい、もう二度と霊的な事件に巻き込まれたくない。寮はそんな強い思いを胸に抱いていた。


「寮君、ちょっといいかな?」

突然、一之瀬先輩の声が聞こえた。寮は本から目を上げ、先輩の真剣な表情を見た。


「どうしました、先輩?」

「実は、君の能力についてなんだけど...」

一之瀬先輩は周りを気にしながら、小声で話し始めた。

「君の霊能力は特別だ。ぜひともオカルト研究部に入部してほしいんだ。」

寮はため息をついた。これで何度目だろう。一之瀬先輩はオカルト研究部の部長として、何度も寮を勧誘してきたのだ。


「先輩、申し訳ありませんが、もう心霊現象には関わりたくないんです。」

寮は静かに、しかし毅然とした態度で答えた。一之瀬先輩の表情が曇るのを見て、寮は少し心苦しくなった。


「でも、先輩。僕の知り合いで以前、霊能者として活動していた方がいます。その方なら、先輩の力になれるかもしれません。」


一之瀬先輩の顔が明るくなった。

「それは本当ですか?ぜひ会わせてもらえませんか。」

寮は、高校時代に知り合った美咲さんに連絡を取ることにした。古代悪魔との戦い以降、美咲さんも霊能力を失ってしまい、現在は心理カウンセラーとして活動していた。しかし、これまでの知識と体験が豊富だったこともあり、一之瀬先輩に紹介することにした。


***新たな依頼***


 寮は美咲さんに連絡し、事情を伝えたところ、快い返事をもらった。当日、午後のキャンパスのカフェで寮、美咲さん、一之瀬先輩、そしてオカルト研究部の今本と佐藤が顔を合わせた。

「初めまして、美咲です。以前は霊能者として活動していました。」


美咲さんは、穏やかに微笑みながら挨拶をした。


一之瀬先輩は真剣な表情で切り出した。「僕たちは、これまで様々な心霊現象について調査してきました。美咲さんも以前は、心霊現象に関するお仕事をされていたそうですね。実は、ある人物から相談を受けたことがあります。低山のキャンプ場で奇妙な事件が起きているそうです。」


 美咲さんが尋ねた。「どのような事件が起きているのでしょうか?私にわかる範囲でお答えします。」

寮は息を呑んだ。その場所は、タイムリープ前に訪れたことのある心霊スポットのようだった。

美咲さんは、一之瀬先輩の話を聞くにつれ、だんだんと厳しい表情に変わっていった。


 「一之瀬さん、あなたは色々と心霊現象についてお詳しいようですが、残念なことがあります。1つ目は、霊的な現象に対する経験不足。2つ目は、あなた自身、特別な霊力がないことです。ただの科学的現象としてお考えでしたら、心霊スポットに近寄らないことを強く進言します。たとえ、寮さんが一緒でも、危険です。とにかく、その低山は、かなり危険なようです。」

そう話を終えて、美咲さんはその場を離れた。


一之瀬先輩は、自分のこれまでの知識や体験から自信を持っており、否定されたことによりプライドを傷つけられたようだった。

寮が、美咲さんのことについてフォローした。「手厳しい話かも知れませんが僕も初めて美咲さんと出会った時もそうでした。一之瀬さんたちを心配して、敢えてあのように話された。と、理解してください。」

一之瀬先輩は、「いや、気にしてないよ。僕たちは確かに、経験不足だし、特別な霊力もないからね。でも、調査して真実を知りたい気持ちもあるんだ。分かってもらえないかな?」と、寮に尋ねた。


「一之瀬さんの気持ち分かります。かつての僕もそうでした。でも、今はとてもそのような心霊スポットに行くだけの力はなくなってしまいましたから。」寮は少し寂しそうに答えた。


***危険な調査***


 それから、しばらく過ぎたある日、寮は一之瀬さんたちが低山の調査に出かけたことを知る。寮の元にメールが届き、そこには「これから僕たちは低山の調査に出かけることにします。もし、寮君も協力できるのであれば、キャンプ場で待っています。」と書かれていた。


 寮は胸騒ぎを感じ、美咲さんや由香に連絡を取った。また、オンライン魔法学校にも相談した。

美咲さんからの話では、かなり危険な可能性があることを知らされた。「残念だけど、今の私は霊力を失っているから、どうすることもできないわ。」と言われた。

由香の話では、「ひかりに心配をかけるような真似はしないように。」と、低山に出かけることを反対された。

「この前の心霊スポットのことを覚えているでしょ?あの時も、封印の時に大変だったのに、それ以上の危険がある所に、どう立ち向かう気なの?霊光弾も、今は使えてもとても弱いことを知っているでしょ?」


 オンライン魔法学校でも、「怨霊の可能性も高く、低級レベルの古代悪魔に匹敵する危険性があります。近寄らない事が賢明です。」と、返事が返って来た。


寮は、どうして良いか分からなかった。


  寮は心配して、一之瀬先輩にLINEで連絡をした。

一之瀬先輩は、その頃、他の部員たちと協力して調査の準備を行っていた。キャンプ場には、登山道のハイキングコースを上らず、車を利用し直接キャンプ場に辿り着いた。


テントや機材を運び出し、キャンプ場周辺の調査から始めた。テントを張る場を清めて四方に盛り塩やお清めの水を撒いて清めた。テントを張り、テントの中には魔除けの護符が吊り下げられていた。


 一之瀬先輩は、直接キャンプ場に来て事件に会った人の報告がない事実から、安全ルートを選んだ。また、テントを建てた場所も清めて、結界を作ったのも、もしもの心霊現象に対する対策として行っていた。


 一之瀬先輩たちは、1週間の間、キャンプ場の調査に専念した。調査結果では、特別おかしな事件も起こらず、不審な点は見つからなかった。

やはり、事件が多発しているのは、登山ルートのハイキングコースで近道のルートを通る登山者の割合が多かったことが判明した。


「成程、どうやら、あの祠のある近道のルートで、行方不明者が多発している。」

仮に事件であっても、祠の近道コースを通って祠辺りで生じることが判明した。

部員たちが祠の調査も進言したが、一之瀬先輩はこの前の廃墟で起きた封印の儀式のことを語り、部員たちには危険すぎることを説いた。部員たちも、あの心霊現象を鮮明に覚えており、あのような怨霊に出くわしてしまえば、ひとたまりもないことを実感していた。


「よし、今回の調査はここまでだ。」一之瀬先輩は部員たちに話し、今回の調査を終えて帰還した。


***調査の結果***


 1週間後、寮にもメールで連絡が届き、また心霊スポットのことでの話をしたいと伝えられた。

寮はほっとした表情でメールを閉じた。


約束した当日、再び一之瀬先輩と話すことになった。


「寮君、君のアドバイスを受け入れて、なるべく安全な調査を行うことができたよ。ありがとう。」と、一之瀬先輩は笑顔で話した。


「先輩、僕が同行しなくてすみませんでした。」と寮は謝った。

一之瀬先輩は笑って、「気にすることはないよ。君の判断も正解だったと思うよ。もし、君が同行していれば、僕たちは祠の調査も行い、行方不明になっていたかもしれないからね。」


寮は質問した。「どうして、心霊スポットに出かけたんですか?」

一之瀬先輩は「それは、僕たちオカルト研究部の活動だからね。ただし、リスク許容内までの活動がモットーだから、闇雲にどこにでも出向くことはない。安全第一だからね。」と答えた。


「もし、君も良ければ、いつでも歓迎するよ。心霊現象だけがオカルト部の活動ではない。今度、脳科学のセミナーが開かれるそうだから、君も一緒に来ないかい。潜在意識の話など、役に立つかもしれない。」そう言って、一之瀬先輩は寮を誘った。


***新たな道***


 寮は一之瀬先輩の誘いを受けて、脳科学のセミナーに参加することにした。セミナーでは、潜在意識や脳の働きについて、最新の研究成果が紹介された。


講演を聞きながら、寮は自分の霊能力と脳の関係について考えを巡らせた。もしかしたら、自分の能力は単なる脳の特殊な働きなのかもしれない。それとも、科学では説明できない何かなのだろうか。

セミナー後、一之瀬先輩と寮は近くのカフェで話をした。


「どうだった?面白かったかい?」一之瀬先輩が尋ねた。

「はい、とても興味深かったです。」寮は答えた。「先輩、オカルト研究部では、こういった科学的なアプローチも取り入れているんですか?」


一之瀬先輩はうなずいた。「もちろんさ。オカルトと言っても、単に怪奇現象を追いかけるだけじゃない。科学的な視点も大切にしているんだ。例えば、心霊現象と錯覚の関係とか、超能力と脳の働きとか、そういった研究もしているんだよ。」


 寮は驚いた。これまで、オカルト研究部に対して少し偏見を持っていたことに気づいた。

「先輩、僕、少し考えを改めました。オカルト研究部の活動、もう少し詳しく知りたいです。」

一之瀬先輩の顔が明るくなった。「そうか!それは嬉しいな。次の部会に来てみないか?君の経験や意見を聞かせてほしいんだ。」


寮は少し迷ったが、決心した。「はい、行ってみます。」


 翌週、寮はオカルト研究部の部室を訪れた。部屋には様々な本や機材が並び、壁には不思議な現象の写真や図が貼られていた。

部員たちは寮を歓迎し、これまでの活動内容や今後の計画について熱心に語った。科学的な調査方法、安全対策、倫理的な配慮など、寮の予想以上に真剣に取り組んでいることがわかった。


 話し合いの中で、寮は自分の経験を少しずつ話した。封印の儀式のこと、タイムリープのこと、そして失われた能力のこと。部員たちは真剣に耳を傾け、時には質問を投げかけた。

話し終えると、一之瀬先輩が寮に向かって言った。「寮君、君の経験は非常に貴重だ。オカルト研究部に入らなくてもいい。でも、時々アドバイスをもらえないだろうか?君の視点は、私たちの研究に新しい光を当ててくれると思うんだ。」寮は少し考え、そして頷いた。



 寮は、これまでの心霊現象と、違った学びを得る機会を得られたことが少し、嬉しかった。




 今回の話は、スピリチュアルズ ジャーニーの流れ入った1つのエピソードとして考えました。

これまでは、悪魔や悪霊との戦いがメインでしたが、少し、その世界から距離を置く事ができた話です。


 感想をお待ちしています。また、誤字脱字などあれば、報告して頂けると助かります。


 ご購読、ありがとうございます。


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