心霊トンネルの再調査
寮たちは取材を終え帰路についていた。今回の心霊スポットの探索で予想以上に危険な事を感じていた。
***帰りの車内での会話***
トンネルを離れ、寮たちは車を走らせていた。車内には重苦しい緊張感が漂っていたが、國府田がふと口を開いた。「あの霊に引き込まれる感覚が、まだ残っているんです…。これからどうすればいいんでしょうか?」
寮はハンドルを握りながら國府田を一瞬チラリと見た。「今は冷静になることが大事だ。次はもっと慎重に調査しよう。あの場所には何かがいるのは確かだ。もっと詳しく調べなければならない」
後部座席に座っていた前田が、肩をさすりながら言った。「霊気の強さが異常でしたね…。まるで、僕たちを狙っていたかのような圧迫感を感じました」
寮は彼の言葉に頷きながら、バックミラー越しに國府田の様子を確認した。彼女が何かを隠しているのではないかという直感が働いた。
***編集部での報告***
寮たちは例のトンネルから無事に戻り、すぐに編集部に直行した。薄暗い夕方、静かなオフィスの一角では、編集長の涼子と鎌田副編集長が待っていた。彼らは調査結果を楽しみにしていたが、寮たちの険しい表情を見て、ただならぬ事態だとすぐに悟った。
「どうだった?」涼子が静かに尋ねたが、その声には緊張が滲んでいた。
寮は霊気測定器を机に置き、深いため息をつきながら言った。「予想以上に強力な霊的存在がいました。國府田は金縛りにあって動けなくなったし、前田も強い圧力を感じて肩を痛めました。測定器の反応も想定以上に高かったです」
鎌田副編集長は腕を組み、険しい顔つきで頷いた。「やはり…霊的な力が異常に高まっているな。測定器のデータはどうだった?具体的な数値を教えてくれ」
國府田が少し震える声で答えた。「数値が一時的に振り切ってしまったんです。私が金縛りに遭う直前でした…あれは普通の霊じゃないと思います。もっと強力な何か…」
前田も苦笑いを浮かべながら肩をさすった。「僕もその時、何か見えない力で肩を掴まれたような感覚がありました。寮さんが慎重に進めてくれたおかげで、僕たちは無事でしたけど、あの場所は普通じゃないです」
涼子はしばらく沈黙した後、机に手を置きながら言った。「今回の調査は予想以上に厄介ね。通常の心霊現象とは明らかに違う。状況が悪化しているのかもしれないわ。もっと慎重に進めないと」
鎌田が続けて言った。「霊気がこれほど強いということは、あのトンネルに何か大きな秘密が隠されている可能性がある。ただ、これ以上の調査は見直した方がいいかもしれないね」
寮は少し考え込んだ後に言った。「次回の調査には、緑ダムの時に協力してもらった大学時代の仲間たちにも声をかけようと思います」
涼子は頷き、「それはいい案ね。でも、無理をしないで。引くことも時には必要よ」と優しく忠告した。
寮は「分かりました。一度相談してみます」と答え、過去の出来事を振り返りながら、深く考え込んでいた。
会議が終わり、編集部には静寂が戻ったが、次に待ち受けるさらなる恐怖と未知の謎の存在が、全員の心に不安を残していた。
***帰宅後、ひかりとの会話***
自宅に戻ると、妻のひかりがキッチンで夕食を準備していた。3歳の娘、あかりはリビングでおもちゃを広げて遊んでいた。ひかりは寮の顔を見て微笑んだが、その笑顔はすぐに心配そうな表情に変わった。
「おかえり。大丈夫?今日は取材だったんでしょ?顔色が悪いよ」と心配そうに尋ねながら近づいてくる。
寮は少し疲れた顔でため息をつきながら答えた。「今日は厄介な取材だった。普通の心霊現象とは違って、危険なものが潜んでいるような感じだったんだ」
ひかりは驚いた表情を見せながらも、少し考え込んで言った。「もしかして、この前のトンネル?無理だけはしないでね。あかりのためにも」
寮は感謝の気持ちを込めて、ひかりの手を軽く握りしめた。「ありがとう。もちろん無理はしない。でも今回は、何か大きな謎が隠されている気がするんだ…もう少し調べてみたい」
その時、あかりが笑顔で駆け寄ってきて、寮の足にしがみついた。「パパ、おかえり!」その無邪気な笑顔に、寮の心は少し軽くなった。
***一之瀬先輩への連絡***
その夜、寮は大学時代のオカルト部の先輩、一之瀬にメッセージを送った。
「先輩、急な話で申し訳ないんですが、少し相談したいことがあって。今回の取材で強力な霊に遭遇しました。今週末、時間があれば話を聞いてもらえませんか?」
するとすぐに返信が来た。「寮くん、元気だったかい?気になる話だね。週末は空いているから詳しく話を聞こう。どうやら今回もただ事じゃなさそうだね」
寮はその返信を見てほっとし、週末に一之瀬先輩と会う約束を取り付けた。
***オカルト部卒業生のSNS投稿***
その後、寮は大学時代のオカルト研究部のSNSに今回の出来事を投稿し、仲間たちに協力を求めた。瑞希と鈴木がトンネルの出来事について興味を示した。
瑞希が「寮先輩、私もその場所に行ってみたいです。浄化にも協力します」と言い、鈴木も「僕も緑ダムの時と同じで気になります。ぜひ調査に参加させてください」と答えた。
他の参加者からも意見が寄せられたが、日程の都合で参加が難しい人も多かったため、瑞希と鈴木の参加が決まった。
水野は「ここもドローンで地理調査を行った方が良さそうだ」と提案し、鈴木も「僕がドローンを使って調査します」と応じた。
寮は「ありがとう、瑞希と鈴木が協力してくれるなら大丈夫そうだ」と感謝を示した。
***改めての調査へ***
週末、寮たちはオカルト部の卒業生である瑞希と鈴木と共に、再びトンネルへ調査に向かうことになった。瑞希は霊力が高く、鈴木は情報処理が得意だ。それぞれの特技を活かして調査を進めることになり、寮は車の準備を整えながら期待を胸に秘めていた。
あかりが「パパ、行ってらっしゃい」と笑顔で手を振る姿を見て、少し心が軽くなったが、妻のひかりは依然心配そうに寮を見つめていた。
「気をつけてね」と小さく呟いたひかりに、寮は頷いて答えた。「もちろん。無理はしないよ」
そして、再びあのトンネルへ。寮は単なる心霊現象ではなく、もっと深い謎が隠されていることを直感していた。
***編集部での再合流***
寮は再び編集部へ戻り、調査の準備を進めていた。そこへ、疲れた表情の前田と國府田が入ってきた。國府田はまだ少し顔色が悪かったが、気丈に振る舞っていた。
「寮さん、またあの場所に行くんですね?」國府田が不安そうに尋ねた。
寮は真剣な表情で頷き、「そうだ。ただ今回は少し計画を変えて、先に霊から警告を受けた公園の調査をすることにした。あの霊が何か重要な情報を持っているかもしれない。そこからトンネルの謎に繋がる手がかりが見つかるかもしれないんだ」と説明した。
前田は興味深そうに「寮さんが休日に訪れたあの公園ですね。確かに気になりますね。霊的存在の警告には何か深い秘密があるかもしれません」と言った。
國府田は少し緊張しながらも、意を決して「私も同行します。あの時の感覚がまだ残っていますが、それが何を意味するのか知りたいんです」と答えた。
寮は微笑みながら、「君たちのサポートは必要だ。今日、大学時代の仲間の瑞希と鈴木も合流する予定だ」と応えた。
前田は明るい声で、「あの2人ですね、緑ダムの時も助かりました。心強いです」と答えた。
準備を整えた後、寮、前田、國府田は編集部の車に乗り、瑞希と鈴木との待ち合わせ場所である駅に向かった。
***瑞希と鈴木との合流***
駅に到着すると、すでに瑞希と鈴木が駅の外で待っていた。瑞希は薄く笑みを浮かべていたが、その目は鋭く何かを感じ取っているようだった。鈴木は調査機材を詰めたバッグを背負い、さらに両手にも道具を持っていた。
「みんな、お待たせ。これで全員揃ったな」と寮が挨拶すると、鈴木が返事をした。「寮先輩、霊的活動がある場所のデータ収集が大切です。まず公園を調査して、手がかりを探りましょう」
瑞希も静かに頷き、「霊的な秘密が隠されているかもしれない。私の霊視でその意図を読み取れるはずです。それが分かれば、トンネルの謎に近づけるでしょう」と語った。
寮は全員を見渡し、「よし、それじゃあ、まずは公園へ行こう」と指示を出し、車に乗り込み目的地に向かった。
***公園での調査開始***
公園に到着した一行は、車から降りて調査の準備を始めた。陽の光が木々の隙間から差し込む中、空気は穏やかで、霊的な要因は感じられなかった。しかし、前回霊が出現した場所に向かうと、徐々に霊的な気配が強まっていった。
「ここですね…」國府田が不安げに呟いた。彼女の足元が震えているのが分かった。
瑞希がじっと公園を見つめて言った。「あっちに石碑があります。あそこが重要な手がかりかもしれません」
寮たちはその方向へ歩き、「この石碑に何かが隠されているかもしれない。地元の歴史や古い事件と関わりがあるのかもな」と話し合った。
瑞希が強い霊的な気配を感じ取り、「あそこに霊がいます」と木陰を指さした。
寮と瑞希がその場所へ進むと、かつて現れた霊が再び姿を現し、「あのトンネルに向かうのは危険です。近づかないで」と警告を発した。
寮は霊に向かってこれまでの経緯を話し、トンネルの秘密について尋ねた。
霊は重々しく答えた。「あの場所はかつて封印されていた。だが、トンネルが作られたことで封印が解かれ、悪霊が再び現れるようになった。公園はかつて悪霊を封じるための儀式が行われていた場所だが、儀式を行った者たちは呪われ、命を失ったのだ」
寮たちはその言葉に驚きながら、次なる謎解きに向けて、さらに深く調査を進める決意を固めた。
***再びトンネルへ***
寮たちは再びあのトンネルへと向かっていた。公園で得られた情報とトンネルの秘密と地形調査の目的だった。公園から20分ほど進み夕方の薄暗い空がトンネルの入り口をさらに不気味に照らし出している。前回の調査のことが頭をよぎる中、全員の表情は緊張に包まれていた。
前回と同じく、車を慎重にトンネルの近くに停め、寮が静かにエンジンを切った。瑞希が助手席からゆっくりと降り立つ。彼女は目を閉じて周囲を感じ取り、ふっと深呼吸をした。
「ここにいる…霊の気配が強くなっています。明らかに増えているわ」瑞希は言いながら、寮に向かって真剣な顔を見せた。
寮は頷き、「みんな、準備はいいか?この場所は前回以上に危険だ。気を引き締めていこう」と言ってから、バッグから浄化用の道具を取り出し、瑞希と共に準備を始めた。
前田と國府田は車の周囲に
塩を撒いて結界を張り、魔よけのお香に火を点け、浄化スプレーを周囲に撒き鈴木のドローンの調査のサポートを行った。
寮と瑞希はトンネルの入り口に近づいて行くと、空気が急に冷たく感じられた。瑞希が手にした浄化用の呪符を持ち、口の中で静かに呪文を唱え始める。霊を浄化するための準備は整った。
「霊が集まり始めています。呪文を開始するわ」瑞希は力強い声で宣言し、その場で立ち止まり、霊気の強さを感じ取りながら、霊に向けて浄化の呪文を唱え始めた。
***霊との対峙***
瑞希が呪文を唱えると、トンネルの奥から黒い影や霧のような姿をした霊が次々と現れ始めた。まるでトンネルに封印されていた悪霊たちが、一斉に目覚めたかのように、薄暗い影が彼らを取り囲んでいく。
「来る…」寮は静かに瑞希の隣に立ち、もっとも強力な悪霊に向けて霊光弾が放たち霊光の光に包まれて浄化された。その後、古代魔法の霊術を使い現れる悪霊達を次々と浄化して行った。
だが、トンネルの中からも悪霊が次々と現れはじめた。「この数…予想以上だ」寮は息を切らしながら呟いた。瑞希も額に汗を浮かべながらも、集中を切らさずに呪文を続けている。
前田と國府田は結界の中に入り鈴木のドローン調査を見守っていた。
「寮さんと瑞希さん、大丈夫かしら?」と、國府田が心配そうに話す。
「寮さんたちに、ここは任せよう。僕たちが言っても足手まといになるだけだからね」と前田は、魔よけのお香を焚きながら、見守っていた。
***鈴木のドローン調査***
その間、鈴木は冷静にトンネル周辺の調査を進めていた。彼はドローンを準備し、周囲の地形や異常なポイントを確認するためにドローンを飛ばした。
「ドローン、飛ばします。これでトンネル周辺の状況を確認できるはずです」と言い、トンネルの上空や周辺を丹念に調査していった。
ドローンの映像が鈴木のタブレットに映し出され、トンネルの周囲に隠された何かがないか探った。映像はクリアだが、霊的なエネルギーが影響しているのか、画面が時々不安定に揺れることがあった。
「どうやら、トンネルの周囲にも何か石碑のような構造物が見える…これは何かの封印だったのかもしれない」鈴木はドローンからの映像を凝視しながら、つぶやいた。
30分が経過し、鈴木はドローンの調査を終え、着陸させた。「これで調査は終了です。霊の影響が少しあるようですが、周囲の地形は把握できました」
國府田は寮と瑞希に向かって「寮さん、鈴木さんの調査が完了しました。」と伝えた。
***一旦撤退***
寮は、國府田の声を聞いて「瑞希、一旦、引き揚げよう」と撤収する事を伝えた。
寮と瑞希の浄化でトンネルの外周辺の悪霊の数多くが浄化され一定の効果を見せた。トンネル内から現れる悪霊たちもトンネルから遠ざかると再び静かに消え始めた。霊の数は多く、完全に浄化するのは難しかったが、現時点での対処はできた。
「これで少しは落ち着いたみたいだ…」寮は深いため息をつきながら呟いた。
瑞希も疲れた表情で頷いた。「でも、霊たちはまだ完全に浄化されていません。もっと強い力がトンネルの中から感じます。完全に封じるには、封印する事が必要です」
鈴木がその言葉に同意しながら、「ドローンの映像で見つけた構造物が手がかりかもしれません。これを元に、次の対策を練りましょう」と付け加えた。
寮は仲間たちを見渡し、「今日はこれで一旦引き返そう。悪霊たちも手強いが、次回はもっと準備を整えて挑もう」と言い、全員が車に乗り込んだ。
再び静けさを取り戻したトンネルを背に、寮たちはその場を後にしたが、背後にはまだ解決していない謎が潜んでいることを、全員が感じていた。
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