緑ダム高台から新たなる先への調査
寮は、その後も緑ダム周辺の取材と調査を続けていた。だが、前回の緑大学の調査と同じく、色々な心霊情報の噂や情報が多く根本的な原因解明には、繋がっていなかった。
*** 新たな調査の準備 ***
寮たちは、緑ダムで遭遇した白いスーツの女性の霊を浄化することに成功した。しかし、あの戦いで残された謎は数多く、完全に解決したとは言い難かった。その後、オカルト編集部では定期的に緑ダムの調査取材を続けており、雑誌に「心霊スポット特集」として緑ダムを取り上げたことで、この場所はさらなる注目を集めるようになっていた。掲載された記事は、読者から多くの反響を呼び、編集部には心霊現象に関する情報が次々と寄せられるようになっていた。
そんな中、緑ダムの職員からも直接の調査依頼が届いた。職員たちも不安を抱えており、異常現象が続いているため、正式な調査を依頼したいという内容だった。寮たちはこの申し出を受け、職員用の宿舎を提供してもらい、これを次の調査拠点にすることに決めた。
ある日、寮のもとに一之瀬先輩から電話が入った。一之瀬は、かつて寮たちが所属していたオカルト研究部の先輩であり、現在は研究所で霊的な現象を専門に調査している人物だ。
「寮君、研究所で色々と調べた結果が出たよ。緑ダムの高台を越えて、さらに上に続く参道があることがわかった。そして、その山道の中腹には、古びた山小屋がある。そしてその先には、神社も見つかったんだが…重要なのはその神社のさらに先にある、大きな岩肌だ。そこにはかつて何かが封印されていた痕跡がある。」
「封印、ですか…。」寮は電話越しに眉をひそめた。封印という言葉が示すものは、過去に強力な霊や悪霊が閉じ込められていた可能性を意味する。それが破られたとすれば、危険な事態が起こりうる。
「寮君、慎重に調査を進めてほしい。あそこには、廃墟ホテルで調査した以上の何かが潜んでいる可能性がある。どうやら、過去の浄化作業では核心部分に到達できていなかったようだ。」
「分かりました、ありがとうございます。一之瀬先輩。この情報を活かして調査を行ってみます。」寮は感謝を伝え、電話を切った。
この話をすぐに仲間たちに共有した。今回の調査は、オカルト編集部に所属する寮と前田を中心に、元オカルト研究部の葵と鈴木が加わる形で進められることになった。ちょうど3連休が迫っており、この期間を使って集中調査を行うことが決まった。
寮は以前のオカルト研究部での調査を思い返した。「前回の調査では、霊道やポータルの封印に目が向きすぎて、もっと根本的な問題に気付けなかったのかもしれない。」
鈴木もその言葉に賛同し、反省の色を見せた。「あの時は、霊的な干渉があまりに強く、さらに悪霊との遭遇が頻繁で、疲労が溜まっていました。今回は、もっと冷静に核心に迫れると思います。」
葵も、「そうね。前回はダム周辺の異常現象が主な原因だと考えていたけど、その先にあるものを見逃していた可能性が高いわ。」と同意した。
*** 水野と瑞希の参加 ***
高台に向かう準備を進めている最中、寮の携帯が鳴り響いた。電話の声は元オカルト研究部のメンバー水野だった。
「久しぶりだな、寮。ちょうど休みが取れたんだ。今回の調査、手伝わせてもらうよ。最新型の輸送ドローンを持ってるから、物資を山小屋まで運ぶのに使えると思うんだが、どうだ?」水野の明るい声が響いた。
寮はその提案に感謝の気持ちを込めて答えた。「それは助かるよ、水野。実は、山小屋に物資をどうやって運び込むかで悩んでいたところなんだ。」
「了解。早速準備に取り掛かるけど、問題はドローンを安全に降ろせる場所を確保することが先決だ。現地で良いスポットが見つかるといいんだけど。」水野は現実的な問題も指摘しつつ、すぐに行動に移る準備を進めた。
その後、今度は瑞希からも連絡が入った。瑞希は寮たちが卒業した後にオカルト研究部の部長となり、部の立て直しに尽力した人物だ。卒業後も霊能者としての活動を続けており、今回の調査に強い関心を持っているらしかった。
「寮先輩、お久しぶりです。ずっと気になっていた緑ダムのこと、私も同行させてください。大学時代は調査を断念しました。今回は問題を究明しましょう」瑞希の声には決意がこもっていた。
寮は驚きつつも、その申し出を快諾した。「もちろんだ、瑞希の霊能力があれば、助かるよ。」
こうして水野と瑞希という心強い仲間が加わり、寮たちは次の連休での調査を一層楽しみにするようになった。準備は整い、次なる冒険が幕を開けようとしていた。
*** 高台への準備 ***
次なる調査に向けての準備が着々と進んでいった。ダム職員が提供してくれる宿舎を拠点とし、そこからダムの内部を通り、さらに高台へ向かうことが決まった。高台にはトイレや水道も完備されており、長期間の滞在に適していたため、寮たちはここにテントを張り、調査の本格的な拠点とすることにした。
「高台は公園のような場所で、見晴らしが良く、ダムの水面が眼下に広がっている景色は、一見穏やかで美しいけど、その静けさの裏には何かが潜んでいる感じがする。」寮は仲間たちと山道を歩きながら、ダムを見下ろし、そう呟いた。
鈴木も、その言葉に同意した。「以前、オカルト研究部がここで浄化を行ったから、一応安全だとは思いますが…その先には、まだ未知の領域が広がっています。」
一之瀬先輩が伝えてくれた情報を元に、神社や岩肌がどのような霊的な影響を持っているのかを確かめる必要がある。今回の調査の目的は、これらの場所に潜む霊的エネルギーを探り、可能であれば浄化することだった。
鈴木は、新たな情報を提供した。「ドローンを使って調査したときには確認できなかったんですが、さらに奥に山小屋があることが分かりました。その小屋のさらに先には、古びた神社が確認されています。」
「前回は霊道やポータルの封印に時間を費やしすぎて、他の重要な場所を調べる余裕がなかったのかもしれないな。」寮は地図を見ながら慎重に話を進めた。「今回は、山小屋、神社、そして岩肌までしっかり調査しよう。」
「その通りね。」葵は頷き、「今回はその先に何か大きな謎が隠されている気がするわ。今度こそ、それを見つけ出しましょう。」
一之瀬先輩から得た情報に基づき、山小屋や神社、そしてその先の岩肌に関する霊的エネルギーを感じ取るため、慎重に調査を進めることが重要だった。霊的な干渉がどれだけ強いかは、現地で確認するまで分からないが、陽菜から送られたお守りが今回の調査の要になるだろう。
水野も仕事先の同僚数人で参加し、ドローンを使った物資運搬の準備を始めていた。「拠点にする山小屋までの物資を効率よく運べるように、現地で安全にドローンを降ろせる場所を見つける必要がある。まずはその調査と準備を整えよう。」寮に向かってそう語りかけ水野はドローンを飛ばし調査を始めた。
瑞希も加わり「私が山道の霊を浄化します。山小屋までのルートの安全を確保します」と提案した。
*** 山道とお守りの力 ***
準備が整い、寮たちはついに高台からさらに奥へと進む山道へと足を踏み入れた。寮、水野、瑞希、鈴木の四人は、陽菜が送ってくれたお守りをそれぞれ身に付けていた。このお守りには、霊から気配を消す力があり、霊的な妨害を受けることなく進むための助けとなるはずだった。
鬱蒼とした木々に囲まれた山道は、不気味な静けさに包まれていた。時折、風が木々を揺らす音だけが響く。寮たちは慎重に歩みを進めながら、悪霊の気配を感じ取っていた。寮と葵が先頭に立ち、霊的な気配を探りながら進んでいく。
「気を付けよう、あの辺りに悪霊が潜んでいるかもしれない。」寮は冷静な声で仲間たちに警告を発した。
瑞希が霊感を研ぎ澄まし、周囲を見回す。「確かに…強い霊的な存在を感じます。でも、お守りのおかげでこちらには気付いていないようです」
「昨日、瑞希さんが周辺の悪霊やポータルを浄化した効果もあったみたいね」と葵が続けた。
鈴木も「前回は次々と悪霊が出現し、そのたびに浄化して進んだために消耗して断念しましたが、今回は順調に進めているようですね。」と前回との違いを感じ取った。
その言葉通り、寮たちはこれまでのように悪霊に悩まされることなく、順調に山道を進んでいった。霊的な圧力は確かに感じられるものの、お守りが彼らを守り、無事に目的地へと導いていた。
*** 山小屋の発見と浄化 ***
数時間後、ついに彼らは木々の合間から古びた山小屋を発見した。寮たちは疲れを感じながらも、慎重に小屋の前に立ち止まった。小屋は時代に取り残されたかのように朽ちかけており、木製の扉は錆びた金具で留められていた。
「ここが一之瀬先輩が言っていた山小屋か」寮は緊張感を感じながら、慎重に周囲を見渡した。
鈴木が扉を押し開けると、軋む音とともに薄暗い内部が現れた。埃にまみれた家具が無造作に置かれており、床には奇妙な模様が刻まれていた。壁には古いお札が劣化した状態で貼られていた。
「何かの儀式に使われていた場所かもしれない」前田がそう言って、床の模様を指差した。
寮はその模様を慎重に観察した。「これは結界を張るめのものだろう」
「この山小屋の近くに霊道が通っています。今夜は何かが起こるかもしれません。気をつけた方がいいです。」瑞希の声には、はっきりとした警告の色があった。
その言葉に反応した前田は、不安そうな表情を浮かべた。「霊道が通っているって…ここに何かが来るってことですか?一体、何が起きるんでしょう?」
寮は瑞希の霊感を信頼していたため、仲間たちにしっかりと準備を整えるよう指示を出した。「気を抜かない方がいい。結界を張り、魔よけのお香も焚いておこう。エネルギーグッズも設置して、霊的な襲撃に備えるんだ。」
瑞希と葵は迅速に行動を開始し、周囲に結界を張り、お香を焚き始め山小屋の中央に立ち、霊的なバリアを強化するための呪文を唱えた。寮も、慎重に小屋の四隅にエネルギーグッズを設置しながら、霊的な防御を固めていった。
*** 山小屋の整備 ***
寮たちは結界を張り霊的な防御を終え、拠点として使えるように整備を始めた。朽ちかけた建物ではあるが、基本的な構造はまだしっかりしており、手を加えれば十分に活用できそうだった。山小屋周辺に生えている草を刈り取り、山小屋の掃除を行った。
寮は周辺の調査も進めていった。山小屋の周囲を歩き回っていると、少し開けた場所を見つけた。その場所は周囲の木々が少なく、広さも十分にあり、ドローンを安全に降ろせそうだった。寮はすぐに無線機を取り出し、水野に連絡を入れた。
「水野、こちら寮だ。山小屋周辺にドローンを降ろせる場所を発見した。物資の運搬を開始できるか?」
しばらくして、水野から返答があった。「了解した。こちらも準備が整っている。これからドローンを飛ばす。」
水野のチームが運用する最新型の輸送ドローンは、高性能なカメラとGPSを搭載しており、遠隔操作でも非常に精密な動きが可能だった。寮は仲間たちと共に開けた場所に移動し、ドローンの到着を待った。しばらくすると、遠くの空からドローンのプロペラ音が聞こえてきた。
ドローンは安定した動きで山小屋近くの開けた場所に降り、次々と物資を運び込んできた。最初に降ろされたのはテントやカメラ、機材一式、そしてポータブル電源やソーラーパネルなどの設備だった。続いて食料や飲料水も運び込まれ、次第に山小屋は生活と調査のための拠点として整えられていった。
「これでだいぶ設備が整ったな。」寮は感慨深げに周囲を見渡しながら言った。
葵も頷き「これなら長期戦にも耐えられそうね。山小屋をしっかりとした拠点として使えるわね。」と答えた。物資を山小屋に運び終えると鈴木と前田は、小屋の痛んでいる箇所をブルーシートで補強したり、簡単な修理を行った。
また、ポータブル電源とソーラーパネルを使って、照明や電子機器の充電も可能になり、カメラやその他の調査機材が常時稼働できるようになった。山小屋の中には、これからの調査に必要な装備が整えられ、次第に寮たちの作戦拠点としての機能が充実していった。
寮は水野の協力で短時間で整った拠点を見渡しながら、次なる調査に向けて気持ちを引き締めた。「山小屋が拠点として機能するようになった。これで神社や岩肌の調査に専念できる。次の段階に進もう。」
こうして、山小屋は寮たちの調査活動の重要な拠点となり、緑ダムに潜む霊的な謎に迫る準備が整ったのだった。
*** 深夜の山小屋 ***
寮たちは山道を登り、山小屋の整備を終えたことで、疲れがピークに達していた。そのため、翌日の調査に備えて早めに休むことにした。山小屋は古びてはいたが、設備は整い、ポータブル電源や照明が作動していることで、寮たちは一息つくことができた。寮は、小屋の裏に湧水があることを確認し、食料や飲み水の確保にも問題がないことに安堵した。
「湧水まであるなんて、山小屋を拠点にするには最適だな。」寮は独り言のように呟いたが、その時、瑞希が不安げな表情で山小屋を見回しながら言った。
寮たちは一通り準備を終え食事を取っていると雨が降り始めた。
「ブルーシートで補強しておいて良かった。雨漏りで眠れない所だったよ」と前田がほっとした口調で話す。「壁の大きな隙間も塞いでいますから風が強くなっても大丈夫です」と、続けた。
前田が瑞希たちの話を思い出しながら「霊道があっても、これだけ準備を整えていれば安心ですね?」と尋ねる。
葵が以前の調査で幾度か霊に襲われた話や悪霊の事について説明した。
瑞希も「もし膨大な亡霊に襲われると私たちでは防ぎきれないかも知れません。この小屋の外に出なければ察知されないので、外に出ないで下さい」と警告した。
山小屋の中は、しとしとと降る雨の音だけが響いていた。しかし、深夜になると、その静けさに混じって何か異様な音が聞こえ始めた。それは、風の音に紛れてくるかすかな「うめき声」のようなもので、徐々に大きくなっていった。
「…聞こえるか?」寮が静かに呟きながら、壁の隙間から外の様子を伺った。
その時、山小屋の前を通る山道に、数多くの亡霊がゆっくりと下っていく光景が目に入った。彼らは暗闇の中にぼんやりと浮かび上がり、まるで何かに導かれるかのように列をなして進んでいた。寮はその光景に一瞬息を呑んだが、亡霊たちは寮たちの存在に気付くことなく、黙々と山道を下っていく。
「…見てみろ、あれが霊道だ。」寮は囁くように言い、瑞希もその光景をじっと見つめていた。
「霊たちは今のところ、私たちには気づいていないみたい。でも、霊道に沿っている限り、この場所も危険です」瑞希が冷静に告げた。
葵も、壁の隙間からその様子を目にし、目を見張った。「亡霊たちが、次々と通り過ぎていくわ…」
一行は息を潜めて、山道を流れるように進んでいく亡霊たちの行列を見守った。やがて、うめき声が遠のくとともに、亡霊たちも姿を消し、山小屋は再び静けさに包まれた。
*** 翌朝の発見 ***
翌朝になると雨も止み深い霧に山小屋全体覆われていた。
寮たちは前夜の出来事について語り合いながら、前田が設置していたカメラの映像を確認することにした。カメラは山小屋の周囲に配置されており、霊的な活動が映り込んでいないかを調べるためだった。
前田がパソコンを操作し、映像を再生していくと、映像には驚くべき光景が映っていた。無数の白い光の玉、いわゆるオーブが山道を通り、次々と流れるように映し出されていた。
「これが…昨夜見た亡霊たちの正体か。」前田は驚きの表情で言葉を漏らした。
寮もその映像を見つめ、「これほど多くの霊的存在が同時に通るなんて尋常じゃない。やはりこの山道は何か特別な力が働いている。」と考え込んだ。
瑞希も映像を見ながら、「霊道に沿った場所だから、この地点は霊的なエネルギーが集中しています。これからの調査は、もっと危険かも知れない」と冷静に言った。
こうして、寮たちは夜の出来事とカメラに映った証拠を確認し、山小屋がただの拠点ではなく、重要な霊的な場所であることを再認識したのだった。神社の調査に向け、彼らはさらに気を引き締め、次なる行動を計画していった。
ご購読、ありがとうございました。寮たちは、さらなる調査に向かって行きます。




