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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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短編集

川中島の戦い

作者: 西山景山


 1553年、葛尾城(かつらおじょう)の戦い。


「逃げた!! 義清(よしきよ)が逃げたぞ!!」


 武田晴信(たけだはるのぶ)(のちの武田信玄(しんげん))の軍勢は、信濃の大名である村上義清(むらかみよしきよ)が籠る葛尾城を攻め落とした。

 しかし、大将である義清にはまんまと逃げられてしまう。


「......長尾景虎(ながおかげとら)、奴の援護さえなければ」


 長尾景虎(のちの上杉謙信(うえすぎけんしん))は越後の大名である。晴信に城を落とされることを危惧した義清が、景虎に援軍を要請していたのだ。

 上杉謙信と武田信玄が初めて相対したこの戦は、"第一次川中島(かわなかじま)の戦い"とも呼ばれている。


「まあ良い、信濃は我が手に堕ちた。奴とはいずれ雌雄を決する時が訪れよう」


 晴信の読み通り、再び二人が刃を交える機会はすぐに訪れた。およそ二年後のことである。

 1555年、犀川の戦い。"第二次川中島の戦い"が始まった。


 事のきっかけは、景虎の勢力下であった栗田永寿(くりたえいじゅ)が武田軍に寝返ったことであった。その結果、栗田が治めていた領地が武田のものになってしまう。

 その領地を奪還すべく、景虎は動き出した。


「栗田は川の前の城で籠城か」


 晴信の領地から川中島までは距離があった為、晴信の到着は遅れていた。

 そこで栗田は自らの城に篭り、城に攻めて来たのならば迎え撃ち、無視して川を渡りようものなら背後を撃つ作戦に出た。


「ならばこちらも城を建てよう」


 目には目を、城には城を。景虎は前線拠点として、栗田の城の正面に新たな城を築いた。

 ようやく川中島に着いた晴信は、川を挟んだ反対側に陣を立てる。そのまま膠着状態が続き、200日にも渡る長期戦となってしまう。


 景虎、晴信双方とも疲弊した結果、"第二次川中島の戦いは"和睦"、つまり"引き分け"と言う形で落ち着いた。


「城は落としたぞ、景虎」


 1557年、"第三次川中島の戦い"。前回の戦いで景虎が築いた城を晴信が攻め落とし、北信へと進軍する。景虎は晴信を迎え撃つべく出陣したが、晴信は景虎との対面を避けた。

 結局、直接的な戦闘は無いままこの戦いは終わりを告げる。景虎との戦闘を避けた晴信だったが、結果的に武田軍の勢力は広がることになった。


 1561年、"第四次川中島の戦い"。川中島の戦いで最も有名な決戦で、最も多くの死傷者を出した戦でもある。

 晴信は同盟国の要請に応じて信濃に出陣。これに応えた形で、景虎も晴信と相対すべく出陣した。


 景虎の軍勢、1万3千。晴信の軍勢、2万。

 川中島を舞台に、大きな決戦が始まった。最初は、お互いの力を恐れるあまり膠着状態が続く。


「仕方ない、策を弄すぞ」


 膠着状態を破ったのは、武田軍だった。部隊を二つに分け、一つが敵軍を追いやった先に待ち伏せしていたもう一つの軍と挟み撃ちにする。

 これは、"啄木鳥戦法"と名付けられた。


「......妙だな」


 しかし、景虎は異変に気づく。自らの兵たちに一切の物音を立てることを禁じ、そのまま川を渡って対岸へと陣を移動させた。

 それは霧が濃い夜に行われた為、晴信が気づいたのは景虎が完全に移動してからのことだった。


「全軍、突撃!!」


 景虎の軍が一斉に晴信の軍へと襲いかかる。


「迎え撃て!!」


 二つに分かれていたのが仇になり、数の不利に陥る晴信の軍。だが、彼らは異様に耐えた。

 そして耐え続けた結果、駆けつけたもう一つの武田軍によって景虎の軍は挟み撃ちを喰らうことになる。


『前半は上杉軍、後半は武田軍の勝利である』


 そう評された今回の合戦。死んだ兵の数は、以下の通りだ。

 景虎の軍、3000。晴信の軍、4000。


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