偽り
僕は夜遅くまで学校に残っていた。期末テストの採点をしていたのだ。明日の英語の授業では3組と2組の生徒たちにテストを返却しなければならない。
急がないと、そう思っていると職員室の内線電話が鳴った。
おかしい、僕以外誰も残っていないはずなのに。この高校には警備員もいないはず。
「もしもし」 考えるのをやめて僕は電話に出ていた。
電話の相手は一言も話さずに切ってしまう。掛かってきた場所を確認してみれば、体育館からだった。
確かめないわけにはいかない、僕は赤ペンを置いて体育館に行った。
「誰かいるの? 食べないから」 体育館の電灯はつくまで時間がかかる。僕は暗闇に向かって尋ねていた。
懐中電灯を点ける。その瞬間、誰かが映り声を上げそうになる。
鏡に映った僕だった。
「なんだ」 気にせず職員室に戻ろうとした。
その時だった、鏡に映る私の背後に女の子が映っていることに気づいた。
「ひっ、」 女の子はぐっしょり濡れていて、白いゴスロリを着ている。段々と僕に近づいてくる。僕は後を振り返るがそこにはなにもいない。だけど、鏡には映っている。
女の子は遂に僕の真後ろにまできていた。僕は薄ら笑みを浮かべて呟いた。
「実は僕、人間じゃないんだ」