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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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56話 ぼくと花子さんと透明人間②

「どうだい?少年ちゃん、ご期待に添えたかな?」


 透明人間は今朝の人物と狼らしき人物の前に立ちお辞儀をした……っぽい。


「それでは自己紹介を俺ちゃんから……」


「ちょっと待ちなさい!」


 花子さんは言葉を遮る。


「どうしたんだい?花子ちゃん」


「こいつの楽しみだから、こいつに当てさせなさい」


 ぼくを親指で指差す。


「少年ちゃんは俺ちゃん達みたいな人外に興味があるみたいだね」


「いえ、人並程度ですけど」


 照れる。


「さっきの花子ちゃんとの会話では、それ以上のものを感じたぜ。俺ちゃんも内心嬉しくて、あの2人を待つつもりだったけど思わず出てきてしまったくらいだ」


「えへへ、それじゃあ、名前を予想していきますね。まずは…」


 来訪者の3人を見る。


「俺ちゃんはもう正解してるから、残りの2人を当てな」


「それじゃあ、今朝カッパさんを助けてくれた……」


 自信はあるが、最後に見落としがないか心の中で自問自答。


「うん!半魚人さんですか?」


 やはり、この答えに行き着いたぼくは尋ねる。


「ぱ」


 今朝同様に唇のリップ音で答える。首を縦に振ってる事から正解なのだろう。


「念のために俺ちゃんからも答えさせてもらうぜ。正解だ」


「よし!」


 ガッツポーズ。


「次は…」


 次にオオカミ姿の人物に視線を向ける。


「うーん」


 ぼくは悩む。


(見た目的にはオオカミ男だよなぁ、でもなぁ…)


 半魚人同様に見当はついてるのだが、煮え切らない。


 ペロッ


「うわっ!」


 オオカミ姿の人物はぼくの顔を舐めた。


「ワン!」


「あはは、少年ちゃん、早く答えないとまた舐められるぜ」


「えーと、オオカミ…さんですか?」


 慌てて答えた。


「なによ、その答えは?」


 花子さんの意見はもっともだ。答えたぼくもこの解答に納得いってないようで


「だって、前にマミーさんをミイラ男って言っちゃいましたし…」


「そういうこと、つまり、あんたはオオカミ男って答えたいけど女の可能性があるから気を遣った結果がその答えなわけね」


 花子さんはぼくが考えていた事を解説。


「安心しな、少年ちゃん。こいつはオオカミ男だ。気配りできる少年ちゃんには賢い解答を教えてあげよう」


「他に呼び方があるんですか?」


「ああ、あるぜ!しかも、そっちの方がカッコイイ」


 もったいぶる。


「聞きたいかい?」


「はい!」


「素直でいいねー。じゃあ、教えよう!その呼び方はウェアウルフだ」


「ウェアウルフさんですか…聞き慣れないですけどカッコイイですね!」


「だろ?これなら性別とか気にしなくて済む。ひとつ賢くなったな少年ちゃん」


 透明人間はぼくの頭を撫でた…と思う。


「でも、やっぱり呼びやすいオオカミさんって呼びます」


「ははは、そうか!まぁ呼びやすさは大事だな。ところで少年ちゃん達はバンパイアやマミーちゃん達と知り合いなのかい?」


「はい。でも、ぼくは最近知り合ったばかりで、花子さんの方が付き合いは長いと思います」


「そうね、まぁまぁの長さかしら。その口振りからして、あんたらは顔見知りのようね」


「まぁね!それで?マミーちゃんは今でも気持ちを伝えられずにいるのかい?」


「あんた、あの子がバンパイアのこと好きなの知ってたの!?」


 驚く花子さん。


 マミーはバンパイアに片想いしていた。2人の関係性が壊れるのが怖くて、その気持ちをひた隠しにしていたが、唯一、花子さんと口裂け女には相談していたのだ。


「そりゃあ、あれだけの熱視線を気づかない方がおかしい……はずなのによ、あのバカは自分しか見えてないからなぁ。ちなみにマミーちゃんが女子だって事も知ってるぜ」


「あんた…まさか」


 花子さんは鋭い視線を透明人間が居るであろう空間に向ける。


「おいおいおい!花子ちゃんが言おうとしてる事はわかるが誤解だぜ!」


「ホントでしょうね?」


 鋭い視線は疑いの目に変わった。


「こんな体だから疑われても仕方ないけど、信じてくれとしか言えないのが辛いぜ」


 肩を落とす。


「そうだ!疑いが晴れるかはわからないけど、俺ちゃん達とバンパイア達がなんで別行動してるか話そうじゃないか」


「なによ、昔話でも始める気?」


「まぁ、長い話じゃないさ。俺ちゃんの悪いイメージを少しでも払拭させてくれ」


「チャラい+透明の時点で厳しいと思うけど聞いてあげるわ」


「聞く耳持ってくれて助かるぜ。さっきの言葉でわかると思うけど、元々、ここに居る俺ちゃん達3人とバンパイア達3人は6人で一緒に行動してたんだが、なぜ別行動する事になったと思う?」


 淡々と経緯を話すのかと思いきや質問を投げかける。


「馬が合わなかったとかじゃないの?」


 花子さんは答える。


「んまぁ、否定は出来ないが違うなぁ。少年ちゃんはなんでだと思う?」


「んー…目立つから?」


「正解だ!少年ちゃん。俺ちゃんはともかく他の5人は目立ち過ぎる!今の時代…いや、昔でも変わらんか、人に見つかれば間違いなく俺ちゃん達はヒドイ目に遭わされる」


「人にもよると思いますけど」


「だな!少年ちゃんになら見つかっても平気だ」


 ぼくの頭を撫でた…と思う。


「ぶっちゃけ、俺ちゃんだけなら悠々自適に生きていけるが、あいつらを見捨てる訳にはいかなくてな、いろいろ面倒見てたわけよ。どうだい?感心したかい?」


「でも、今は別行動してるじゃない」


「花子ちゃんは痛い所突くねー。そこで少年ちゃんが答えた通りの理由で2組に分ける事にしたんだ」


「3組に分けた方が目立ちにくくなりませんか?」


「少年ちゃんは良いアシストしてくれるねー♪」


 またまたぼくの頭を撫でた…と思う。


「その通りなんだが、まともに会話や判断が出来るのは俺ちゃん、バンパイア、マミーちゃんくらいなのよ。まぁオオカミ男も人間の姿に戻れば会話できるけど、オオカミ化はコントロール出来ないのよ」


「答えになってないわよ。あんた、バンパイア、マミーで3人なんだから、まともに会話できない3人で2人1組で3組出来上がるじゃない」


「こっからが俺ちゃんのカッコイイ所なのよ。たしかに3組に分けた方が目立たない。分けるとしたら会話できる3人とそれ以外の3人を1人ずつ組ませる。そしたらマミーちゃんがバンパイアと離れ離れになってしまうじゃんか。俺ちゃんはこう見えて、あの2人の恋を応援してるんだぜ」


「へー、少しは見直しそうになったわ」


 ほんの少しだが花子さんの心は動いたようだ。


「俺ちゃんのとっておきの美談が…」


 落ち込んでる…と思う。


「だいたいね、自分で自分の美談を話してる時点で私的にはナシなのよ」


「俺ちゃん…なんで、こんな組み合わせにしちまったんだろう」


 共に行動してる2人に視線を向ける。


「ワン!」


「ぱ」


「ぽ」


「はぁ、会話不能な奴らが3人も…心労が絶えないぜ……ん?3人?」


 自然に入ってきた3人目の声に反応するのが遅れた。そしてトイレ内に2メートルを超える女性が入ってきた。


 彼女の名前は八。長身で長い黒髪、麦わら帽子を被っていて、白のワンピースを着ている。そして、発する言葉は


「ぽ」


 これだ。


「あ、八さん」


「ぽぽぽぅ♪」


 そして、花子さん曰くショタコンらしい。透明人間は置いといて…半魚人とオオカミ男には目もくれず、ぼくにまっしぐら。


「わー!」


「ぽー♪」


 八はぼくの両脇に手を入れ持ち上げた。あの身長から持ち上げられたのだ。ちょっとしたアトラクションだ。


「ぽぅぽぅ」


「あはは、八さんも6年生になったぼくをお祝いしてるんですか?」


 八の言ってる事はわからないので基本的に雰囲気や状況で理解するしかない。


「ぽぽぅぽー(少年が大人に近づいてしまった…)」


 ぼくをゆっくり床に降ろすと壁に両手をつき落ち込む。


 ぼくの解釈は意図したものではないが結果的に八を傷つける事になった。


「忙しいわね、あんた」


「ぽっぽっぽ(花子さんは相変わらずだね)」


 落ち込んだのも一瞬で元の精神状態に戻った。


「あ、八さん!あっちに居る2人は半魚人さんとオオカミ男さんです」


 来たばかりの八に2人を紹介する。


「ぽ」


「ぱ」


「ワン」


 軽く挨拶を済ませたようだ。そして、紹介すべき人物はもう1人いるのだが… その人物はぼくと八の間に居た。


(うぉっほほぅ♪こんなビッグバンを最前列で堂々と見れるなんて俺ちゃんの特権だぜ♪)


 その人物は八の胸部辺りをまじまじと見てる…っぽい。


「ぽぽ」


 突然、八は右手でピース。


「ぽっ!」


 そして、その指先を前に向け一突き。


「ぎゃああぁ、目がぁぁぁ」


 偶然にも透明人間の眼球に当たり目潰しのような形になった。はたして本当に偶然だったのだろうか…


「花子ちゃんといい八ちゃんといい、なんで、そんなに勘が良いんだぁぁ!少年ちゃんとも目がよく合うし」


「なんでって…見えてるのよ。あんた」


 花子さんが答える。


「透明人間の俺ちゃんが見えるなんて…ありえないぜ」


「たしかに透明だけど……なんて言えばいいのかしら?」


 わかりやすい例えを考える。


「あれですよ!アメリカの筋肉映画俳優が闘った狩りが大好きな宇宙人」


 ぼくは映画で例える。


「ああ、あの狩りが好きで血液が緑の蛍光色の奴ね!たしかにあいつの光学迷彩に近いわね」


 花子さんには通じた。


「そうです!」


「通じ合ってる2人には悪いが俺ちゃんには全然伝わらないぜ」


 透明人間には通じなかった。


「この例えで伝わらないなんて、あんた、どうかしてるわよ。そう思うでしょ?」


 花子さんは会話不能な3人に視線を向ける。


「ワン?」


「ぱ?」


「ぽ?」


 3人とも首を傾げる。


「なによ、これ!私の方が変なの!?」


「この場に居るほとんどが普通の人じゃないですし…」


 ぼくは苦笑いでフォロー。


「結局、俺ちゃんはどういう風に見えてるんだい?」


「んー?」


 考えるぼく。


「あ!水です!」


「みず?」


「はい!水が人の形をしてるみたいな感じなんですよ!」


「俺ちゃんって、そんな風に見えてるのか…」


 透明人間は自信を無くす。


「あ!でも、ぼくは霊感があるみたいだから、普通の人には全然見えないと思います」


「少年ちゃんは気遣い出来て偉いなぁ」


 ぼくの頭を撫でた…はず。


「よし!そろそろ私のやりたい事をやらせてもらうわよ」


 花子さんは紙を取り出した。


「花子さん…それって」


「ええ、そうよ♪」


 すごく楽しそうに答える。

 さぁ、透明人間一行とバンパイア一行が顔見知りだという事が発覚しました!いつか、このメンバーの出会いを書きたいと思ってます!大雑把ですが構想は出来てます。でも、私は書くのが遅いのでまだまだ先になりそうです^^; 

 そして、花子さんが最後に紙を取り出しました。察しの良い方は次に誰が登場するかわかるはずです(*´艸`*) それでは

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