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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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20話 ぼくと花子さんとゆきおんな

 毎日のように個性的な人達に囲まれてたせいか、季節感を感じる事なく、気がつけば12月…


 12月といえば皆はロマンティックなイベントを想像するだろうが、もちろんそんなことは起きない。そもそも今回の話はクリスマスの出来事ではないのだから


 日曜の昼、ぼくは習慣的に旧校舎の3階の女子トイレへ。 トイレのドアを開けると2人の先客がいた。1人はスーツを着た30代くらいの女性、髪は短く、いかにもまともな仕事をしてそうな佇まい。


「あ、はじめまして」


「あら、ぼうや礼儀正しいわね」


 女性はぼくに顔を近づける…顔だけを近づける。


「私はろくろ首、はじめまして、ぼうや」


 本人が言う通り女性の正体はろくろ首。その証拠に顔は目の前まで接近してるのに体は握手出来る距離にはないのだから。


「若いのに自分から挨拶とは感心!感心!」


 そう言うもう1人の先客もぼくに顔を体全部を近づける。なにかに近づく時に体を動かすのは当たり前なのだが、この人物は少し違う。顔を横に向ければ体も横を向く顔を上に向ければ体も上を向く。どんな人物かわかっただろうか? もう少しヒントを出そう、その人物は60代くらいの男性で髪はほぼ無く耳はやたら大きい、服装は説明のしようがない。着てないといえば着てないのだが裸かといえば微妙なところだ。その男性がオシャレするならアイテムは限られる。帽子、メガネ、マスク、眼帯、ピアス、男性が使えそうなオシャレアイテムはこれくらいだ。


 おわかりいただけただろうか?彼がどんな体なのか…


 そう!彼は顔そのもの!顔が本体なのである。生首の妖怪だと思ってくれればいい。


「わしは飛頭蛮(ひとうばん)じゃ!よろしくな、少年よ」


(今日は一段と濃いなぁ、特に飛頭蛮さん1人だけで強烈だし、それに飛頭蛮って妖怪、はじめて聞いたなぁ)


「それはさておき!花子殿ぉ、口裂け殿は来ぬのか?八殿でもよいのだが、他に女性の知り合いがいるなら呼んでくれぬか?胸が大きければ尚よしなんじゃが」


 飛頭蛮は花子さんの周りをぐるぐる回る。


「うっさいわねぇ、そこにろくろ首がいるでしょ」


「むむむぅ」


 飛頭蛮はろくろ首の顔を見て次に体を見て唸る。


「な、なに」


 ろくろ首は少し怯えた様子。


「ダメじゃ!ろくろ首殿はなにか足りぬのじゃ…なんというかデンジャラス感というか」


 遠回しに魅力が無いと言ってる気がするが、ろくろ首は胸を撫で下ろす。


「花子殿ぉ、花子殿ぉ、花子殿ぉ」


 飛頭蛮は花子さんの視界に入るように右から左から逆さになり上から話しかける。


「ああ、うっさい!わかったわよ」


「まことか!」


「条件があるわ!ろくろ首と勝負して勝ったら、とびっきりデンジャラスな子を紹介してあげる」


「なんで私が!」


 突然、巻き込まれたろくろ首は驚く。


「あんた、廊下の窓を開けてきて」


 花子さんはぼくに指示し、ぼくは言われた通り窓を開ける。


「ルールは簡単!これを先に取ってきたヤツが勝ちね」


 花子さんの横には金色の懐中時計がフワフワ浮いている。


「私の懐中時計!!」


 その一言で持ち主はろくろ首なのだとわかった。花子さんは腕をグルグル回しだし…


「負けるんじゃないわ……よ!」


 グルグル回してた腕を廊下に向けてパンチするように突きだした。同時に懐中時計は花子さんの幽霊パワーで飛んでいった。すごい勢いで廊下の窓をくぐり抜け、あっという間にグラウンドへ。


「いいの?あいつが時計を取るって事は口でキャッチするってことよ」


 あいつとは飛頭蛮のことだろう。


「え?」


 ろくろ首は周りを見回すが飛頭蛮の姿がない。


「ん」


 花子さんは廊下の方を指差す。飛頭蛮はすでに廊下の窓から旧校舎の外へ、無我夢中で懐中時計を追いかけてる。


「だめぇぇぇ!」


 ろくろ首は血相を変え風切り音が鳴るほどの勢いで、その後を追いかける。


 以外にもあっさり飛頭蛮に追いつき横並びになったが、ろくろ首は悩んでいた。


(どうしましょう…大事な時計だけど、このまま口でキャッチしていいのかしら?淑女として正解なのかしら?)


 ろくろ首は横目で飛頭蛮を見る。


「でんじゃらすぅ、おなごぉ」


 目は血走り、口から垂れるものを気にもせず、およそ理性のある者とは思えない形相にろくろ首は思わず強行手段に出る。


「いやぁぁ!」


 飛頭蛮に体当たり、もはや頭突きである。


「ずるいのじゃーーー!」


 吹っ飛ぶ飛頭蛮を見て危機は去ったとホッとした矢先、ろくろ首の目の前をなにかが横切り懐中時計が消えた。


「バウ!」


 ろくろ首の前を横切ったのは人面犬だった。飛頭蛮を足場にしたらしい、口には懐中時計を咥えてる。


「そ、それは大事な時計なの。お願い返して」


「バウ!」


 人面犬は背を向け走り出した。


 ぼくと花子さんは旧校舎からその様子を見守っていると、旧校舎に居る、ろくろ首の体は慌てた様子で廊下へ、そして、躊躇なく窓から飛び出し地面に着地。


「私の時計返してぇぇぇ!」


 そのまま頭と体は一緒に人面犬を追いかけて行った。


「ここ3階ですよね…」


 ぼくは確認のため窓から顔を出し下を見る。間違いなく3階だった。


「花子さんもあんなこと出来るんですか?」


「私になに求めてんのよ」


「ろくろ首殿、物理攻撃とはずるいのじゃ…」


 意気消沈し戻って来た飛頭蛮。


「あんた、なんで戻ってくんのよ」


「花子殿、ひどいのじゃ!わしの味方はおらんのか?」


 飛頭蛮と目が合ってしまったぼくは愛想笑い。


「こうなったら、ここで待つのみじゃ!」


「ちょっと、勘弁してよ…」


 花子さんが迷惑そうな顔をしてると


「花ちゃ~ん、遊びに来たよ~♪」


 飛頭蛮の願いが届いたかのように口裂け女が手を振り登場。


「口裂け殿ぉぉぉお!」


 飛頭蛮はぶつかるつもりなんじゃないかと思う程のスピードで口裂け女に一直線。


「きゃあぁぁぁぁ!!」


 口裂け女は腕を振り上げる、その手は開いた状態で指を揃えて縦に振り下ろした。


「ふぁが」


 見事にクリーンヒット。


「ビンタはされ慣れとるが、手刀とは…」


 どうやら気を失ったらしい。


「ビンタで懲りないからです~」


 マスクで口元は見えないが表情からして恐らく、口はイーッてしてるか、下を出してるかのどちらかだろう。


「ごめんね、変なの来てて」


「ううん、あ!他にもお客さん連れて来たよ♪」


 そう言うと口裂け女の背中から1人の少女が現れた。年は14、15くらいに見える。髪は水色のショートボブ、色白で白い着物を着ている。帯は髪の色と同じ水色。


「花子、遊びに来た」


 感情を感じさせない口調で目的を告げる少女。


「涼しい日が増えてきたし、そろそろ来ると思ってたわ。で、今日はなにしたいわけ?」


「ビーチバレー」


 ホントに遊びに来たのかと思うくらい淡々とした口調で答える。少女にとってはこれが普通なのだろう。


「じゃあ、水着選ばなきゃだね♪行こー♪」


 口裂け女は少女の手を引く、少女は空いてる方の手でぼくの手を握る。


「きみも行こ」


 ぼくは花子さんに視線を向けると追い払うように手をシッシッとする。ぼくは手を引かれるままついていく。


「あんたも行ってこい!!」


 花子さんは気絶中の飛頭蛮を蹴り飛ばす。


「あば」


 衝撃で覚醒した飛頭蛮は階段を下りる3人に気づき


「やや?口裂け殿の他に見知らぬ美少女が!待つのじゃーー」

 今回の話はゆきおんなの話です。でも、ゆきおんな以外の新キャラが登場しましたね。ろくろ首は知ってる人も多いと思いますが問題は飛頭蛮ですね。私が大好きな地獄からやってきた先生の作品で登場したのをうっすら思い出して登場させてみました♪ 文献とか読んでないので実際はどんな妖怪か把握してないです(/o\) まぁ、変態キャラとか欲しかったのでちょうどいいかなと思ってたりします。そして、今回のメインのゆきおんなですが、髪型は完全に私の趣味です( 〃▽〃)

最初は某格ゲーのク○ラのような前髪パッツンのロングヘアーにしようと思いましたが、ロングヘアーが多い気がしてきたのでこうなりました。 ではではこの辺で

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