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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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96話 ぼくと花子さんと赤紙青紙⑰

 〜前回のあらすじ〜


 花子さん流、大人の仲直り法で口裂け女を説得し、遂に夫妻のケンカの原因が明かされた。


 果たしてこの問題は良い決着を迎えるのだろうか。

「なんで旦那さんはそんな事を?」


 同じセリフを言うだけなのにタイミングが合わない。ただ合わないだけでなく妻の話を聞く限りは夫が故意に合わせてないようだ。


 それに疑問を抱いたマミーは尋ねる。


「それは……」

「いや、俺が言うよ」


 妻の代わりに夫が答えると申し出た。


「ホント、しょーもない理由さ。赤い紙ってセリフは俺が言いたかった。俺だけのセリフにしたかった」


「え……それだけですか?」


 理由は語られたが理解できなかったマミーは困惑しながら尋ねる。


「ああ…………だってよ、赤ってのは主人公じゃん!そんなんゼッテー譲れないって!」


 妙なスイッチが入った夫は興奮気味に答えた。


「違うわ!赤は私のイメージカラーよ!」


 花子さんが赤色論争に参戦。都市伝説、怪談で語られる彼女の姿にはほとんど“赤いスカート”という共通点があるからか愛着があるのだろう。


「違うよ〜!赤って言えば私だよ〜!だって赤いコートだから花ちゃんより赤比率高いし〜♪」


 口裂け女も赤色論争に参戦。彼女の都市伝説、怪談も赤い衣服を着ているという共通点が多々あるからだろう。


「うっさいわね。だいたい、あんたはあいつがここに来てから、毎日、違う服着てほとんどあの赤い服着てないでしょうが!」


 そう、ぼくと初めて会った時以降、口裂け女は毎日のように違う服を着て日々を楽しんでいた。ただただ、それを指摘する人が余りにも少なかっただけだ。


「花ちゃ〜ん♪ちゃんと私のこと見ててくれたんだね〜♪」


 指摘する人が少なかったせいでこんなタイミングで感激してしまう口裂け女。


「うぅぅぅるさぁぁい!」


 スパーーーンッ


「いた〜〜〜い」


「んで、あんたはそれが理由でわざとタイミングを合わせなかったわけね?」


 恒例の流れで話題を戻す。


「まぁ、そうなるかな」


「なにが『まぁ、そうなるかな』よ!男っていつもそうよ!悪いと思ってるなら、もっと反省しなさいよ!」


「花子さん、落ち着いて」


 反省はしているのだろうが、少し他人事のような言い方にイラッと来た花子さんは激昂。マミーはそれを宥める。


「そうだよ、花ちゃん。説教できる程、男の人知らないでしょ?」


 続いて口裂け女も宥める。


「…………わかったわよ。それに私が怒っても仕方ないものね。あんたはあんな理由で納得出来るの?」


 平静に戻った花子さんは妻に問う。


「私はあの人とまた会えたから、もういいわ」


「私、言ったわよね?根本的な原因を解決しないとまた同じケンカするわよ?」


 花子さんはケンカの原因を解決しない限り火種は燻り続けるという認識みたいだ。


「そう、かもね。でも、また仲直りするわ。私達は夫婦ですもの」


「あっそ」


 花子さんの持論を肯定しつつもそれを乗り越えられると信じてる妻。その根拠は“夫婦”という一点だが、それを否定するような無粋なマネは花子さんもしない。


「そうですね。お二人なら大丈夫です」


「ありがとう♪」


 マミーの言葉に妻は感謝の言葉を返し、少し表情が……手相が柔らかくなったように見えた。


「ところで二人の名前って聞いてもい〜い?」


 夫妻の名前を知らない口裂け女は尋ねる。


「私は赤紙青紙よ」


「俺も赤紙青紙さ」


 二人はお辞儀をするように手首を曲げる。


「どっちも同じ名前なんだね〜」


「なんか呼ぶ時メンドーだからオスとメスで呼ぶわ」


「花子さん、それはさすがに。奥さんとか旦那さんとかでいいんじゃないですか?」


 失礼だと思ったぼくがすかさず提案。


「じゃあさ、じゃあさ、赤ちゃんと青ちゃんにしよ〜♪」


「赤ちゃん?」


「青ちゃん?」


 突然、知らない名前で呼ばれた夫妻は聞き返すように呟く。そして、ぼくの提案は口裂け女の提案で上書きされ無かった事に。


「うんうん♪赤ちゃんに……」


 口裂け女は夫を指差し


「青ちゃん♪」


 次に妻を指差した。彼女は親しくなれそうな人、若しくは親しい人にあだ名を付ける。


「また勝手にあだ名付けて」


「いいじゃ〜ん、花ちゃんみたいにオス、メスって呼んだら失礼だよ〜」


 呆れる花子さんに正論で反論する口裂け女。後は本人達の了承だけだ。


「俺が赤……」


「私が青……」


「ほら、あんたの変な発想で困ってるじゃない。やっぱり1号、2号でいいわよ」


「花ちゃん、さっきのと変わってる〜。ども、さっきよりマシ〜。でも失礼〜」


 思いに耽る夫妻を横目にまた新たな提案。だが、口裂け女はその案にも否定的だ。


「あの、やっぱり奥さん、旦那さ……」

「いいわ!それにしましょ!」


 思い耽ってた妻は勢いよく口を……発言した。そして、またもやぼくの案は掻き消されるだろう。


「喜んでくれて嬉しいわ。これからよろしくね。2号」


「そっちじゃないわよ!赤と青の方よ!私が青紙であの人が赤紙。二人揃って赤紙青紙だなんて、なんていうか……夫婦って感じがして良いわ」


「なんかロマンチックですね」


 口裂け女の案を自分なりに解釈した妻。その妻の解釈に共感するマミー。


「それで決まりのようね。赤紙、青紙、これからよろしくね」


「赤ちゃん、青ちゃん、よろしくね〜♪」


「よろしくお願いします。赤紙さん、青紙さん」


 花子さんはいつも通り飾らず、口裂け女はいつも通り愛嬌たっぷり、ぼくは礼儀正しく、それぞれ挨拶。


「あ、あの、よろしくお願いします。青紙さん、赤紙さん」


 マミーも続き挨拶。


「よろしくね」


「よろしく」


 赤紙青紙(妻)……改め青紙と赤紙青紙(夫)……改め赤紙も挨拶を返した。


 スパーンッ


「いた〜い、なんで叩くの!?」


 前振りもなく突然鳴り響いた聞き慣れた音。もちろん叩かれたのは口裂け女。そして、叩いた本人に理由を問い正す。


「叩くタイミングを逃したからよ。私は忘れてないんだから」


 花子さんの尻叩きはお仕置きという意味がある。なら、そのお仕置きする理由はなんだったのか。時々、理由も無く叩く事はあるが、花子さんの発言からして明確な理由があるはずだ。


 そんな些事な事は置いといて夫婦間の問題が一段落して一安心だ。

 さて皆さんは口裂け女が最後にお尻を叩かれたか分かりましたか?花子さんの言う通り叩くタイミングを逃してて、でも、花子さん的にはどうしても叩かないといけないけど真面目な場面だったのでという感じです(*´艸`*)

 そして、赤色論争なんですが今後またあります!まだまだ先の話ですが。

 それと先週の更新忘れてしまい申し訳ない。最近、執筆が停滞してたり、その他諸々の事情があったりしてて^^; なるべく更新が途切れないように頑張りますので応援してくださると嬉しいです♪ それでは

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