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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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95話 ぼくと花子さんと赤紙青紙⑯

 〜前回のあらすじ〜


 母指球や誤解が解けたり夫妻が愛を再確認した前回。だが、まだ少し話は続く。

「ところであんたら、なんでケンカしたの?」


 感動的な場面に花子さんは水を差すような質問。


「も〜!花ちゃん、空気読んで!せっかく仲直りしたのに〜!」


 マミーの次くらいに感動してるであろう口裂け女は頬を膨らませる。


「うっさいわね。仲直り出来たから解決なんて甘すぎよ!根本的な問題、つまりケンカした原因を解決しないとまたケンカするわよ!」


「そんな事ないもん!こんなに仲良いんだよ」


 口裂け女は真っ向から反論。外見的には花子さんの方が年下だが、どうしても自称26歳の口裂け女の方が子供っぽく見えてしまう。


「そう……ね、花子の言う通りかもしれないわね」


 花子さんの意見に肯定的な反応をしたのは仲直りしたばっかりの妻だった。


「え〜、これでまたケンカしちゃったら花ちゃんのせいだからね〜。ちゃんと責任取ってよ〜!」


「なんで私が?そんなの取るわけないでしょ」


 詰め寄る口裂け女だが、花子さんはそっぽを向く。


「むせきに〜ん!」


「ああ?」


「ま、まぁまぁ、落ち着いてください。二人共」


 更に詰め寄って来た口裂け女を花子さんは低めの声と共に睨みつけ一触触発。そこへマミーが仲裁に入った。


「む〜、ミーちゃんはどうなの?」


「え!私ですか?」


 自分に意見を求められると思ってなかったマミーは少し動揺。


「だってミーちゃん泣いてた。すごく嬉しかったんだよね?もしまたケンカしたらイヤでしょ?」


「それはイヤですけど……でも、あの二人なら乗り越えられる。夫婦ってそういうのであってほしいから……」


「つまりマミーは私に賛成って事ね」


 マミーは性格上、板挟みになるとどちらかの味方をするというのが苦手なのだろう。ほぼ意見が出てるのに言いあぐねてる。それを見兼ねて花子さんは強制的に自軍へと引き込んだ。


「む〜〜〜」


「ったく、あのね、ケンカってのは子供がするような単純な事なら仲直りして、めでたしめでたしでいいわよ」


 拗ねてる口裂け女を見て花子さんは話し始める。これから言葉で理解させるつもりなのだろう。


「でもね、大人のケンカってのはそうはいかないのよ」


「なんで?」


 拗ねながらも花子さんの言葉に耳を傾けるが、これまた子供っぽさが拭いきれない自称26歳。


「大人には自分の価値観が出来上がってて譲れないものがあったりするのよ。その価値観同士がぶつかればケンカになる。人によってはそうなるのがイヤでその相手と距離を取ったりするわ」


「もっとわかりやすく〜」


 とうとう拗ねながら膝を抱える自称26歳。


「さっきも言ったけどケンカの原因を解決しないと意味ないのよ」


「どうやって?」


 まだ膝を抱え座っているが顔を上げ花子さんに答えを求める。


「妥協よ!」


「妥協?」


 答えは出たが意味がわからず聞き返す自称26歳。


「そ!大人のケンカの仲直りは妥協が重要なの!ここからここまでは受け入れるけど、それ以上は譲らない。それが大人のケンカの仲直り方法よ!」


 自信たっぷりな力説。果たして自称26歳の心に響くのだろうか……


「そっか〜♪」


 拗ねていた表情から百点満点の笑顔へ変わった自称26歳。十分過ぎるくらい心に響いたらしい。


「じゃあ、話を戻すけど、ケンカの原因はなんなの?」


 自分より年上か年下かわからない自称26歳を納得させた花子さんは再度質問する。


「今思えば、くだらない話よ」


 前置きをし妻は話し始める。


「私達のお決まりのセリフは知ってるわよね?」


「ええ、『赤い紙、青い紙どっちがいい?』ってやつよね?」


「なかなか奇抜な色だね〜。この二択だったら私は赤に染めるかな〜」


 花子さんは知ってるようだが、少し勘違いをした人が約一名。


「は?」

「え?」


 花子さんと勘違いをしてる人物は顔を見合わせる。


 スパーンッ


「いた〜い!」


「そのセリフがなんだっての?」


 勘違いをしていた人物は花子さんに尻を叩かれた。お察しの通り叩かれた人物は口裂け女だ。


「花ちゃん、話を進めないで!とりあえずみたいな感覚でお尻叩かないで!なんか反応してよ〜」


「『とりあえずみたいな感覚』じゃないわよ!実際、とりあえず叩いただけなんだから!」


 恐らく花子さんは「こいつ、また変な勘違いしてるわね。もういい、メンドーだから、とりあえず尻叩きましょ」。こんな経緯で叩いたのだろう。


「ひど〜い!そんなの愛が無いよ!愛が!」


「あら、愛があればいくらでも叩いていいのね?」


「あの、話続けてもいいかしら?」


 口論が始まりそうな所で赤紙青紙(妻)が話の軌道修正を図る。


「そうだったわね。どうぞ」

 

 花子さんは少し投げやり気味に返す。


「最初はね、二人で一緒にあのセリフを言ってたの」


「最初はって事は後から変わっていったんですか?」


 妻の言葉を聞いてマミーは質問。


「ええそうよ。いつからか、セリフを言うタイミングが合わなくなってきたの」


「その原因ってなんなんですか?」


 他人事ではいられないのだろう。積極的に質問しるマミー。


「原因はあの人。そして、拗れさせたのは私」


 恐らく、『あの人』とは夫の事だ。そして、妻は何かを思い出すかのように何も無い空間に手の平を向ける。


「……………タイミングが合わなくなった原因はね、あの人が先走ってセリフを言うからなの。そして、私はそれに不満を漏らした」


 妻はゆっくりと手の平をマミーに向けた。それはまるで私達から学びなさいと言ってるように見えた。

 皆さんは大人のケンカの仲直り方法はどんな感じですか? 私は花子さんが言ってた通り妥協するタイプです。他には距離を置くって人も居ると思います。そうなると疎遠になってそのままって事になりそうですよね。だから、大人のケンカは大変だと思います。まぁ、一番はケンカにならないように立ち回るのがベストなんですかね(*´∀`*) それでは

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