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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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88話 ぼくと花子さんと赤紙青紙⑨

 〜前回のあらすじ〜


 予想通り出現した透明人間。そんな彼の黒歴史の一端を知る事ができ成り行きで彼も一時的に捜索メンバーに加入する事になった。

「ところでマミーちゃん、どこに行くんだい?」


 一時的に赤紙青紙(夫)の捜索メンバーに加わった透明人間は質問を投げかける。


「えっと、とりあえず、ここの店長さんに話を聞こうかなって思ってます」


 質問に答えつつも足取りに迷いがないマミー。そして……


「あ、店長さん!」


「ん?おお!ウチのアイドルじゃないか!」


 マミーの呼び掛けに答えた三十代くらいの男性。どうやら、この人が店長らしい。


「からかわないでください」


「からかってないよ。実際、人気は凄いんだよ」


 普段からこういう会話をしているのか、『アイドル』と呼ばれ照れる様子は全くない。


「うんうん。マミーちゃんはアイドルだよなぁ。店長ちゃんは見る目あるぜ」


「ん?今、誰が喋ったんだ?君か?」


 何も無い空間から声が聞こえ、一瞬その空間を見た店長だが、店長には何も見えなかったらしく、ぼくに尋ねる。


「いいえ、ぼくじゃないです」


「そそ、俺ちゃん♪俺ちゃん♪」


「んんんんー?おお!もしかして、バンパイア一座の新しいメンバーか!しかし、完全に姿が見えないとは……どんな技術を使ってるんだ?」


 透明人間の存在を科学技術の賜物だと解釈したらしい。この様子だとマミーの包帯芸やバンパイアの切断マジック、その他諸々を科学力と解釈しているのだろう。


「店長ちゃん!俺ちゃんのこと見えない?完全に見えない?」


 透明人間は興奮気味に尋ねる。


「ああ、全く見えないねぇ。ホント、不思議だ」


 渋い表情で答えた店長。その表情に嘘や気遣いは無さそうだ。


「………ふぅ、俺ちゃん、少し自信取り戻したぜ!」


 どんな表情をしているのかはわからないが、その声にはポジティブさを感じられる。


「店長さん、少し聞きたい事があって。それとこの人は新しいメンバーじゃないです」


「マミーちゃん、ひどいぜー!裸を見せた……いや、見せられた?まぁいいや、そういう仲じゃんかー」


「んん?二人はそういう……てっきり、バンパイアとそういう仲なのかと」


 透明人間の誤解を招くような発言に店長は困惑。


「変なこと言わないでください!」


「ハハハ!それはそうと聞きたい事ってなんだい?」


 他愛のない冗談だとわかったのだろう。店長が話を軌道修正。


「あ、えっとですね、変なこと聞くんですけど………」


「遠慮しないで言ってくれ」


 『変なこと』という前置きをし、店長もそれを受け入れた。


「トイレとかで不思議な事とかって起きてないですか?」


「ん?んーーー?ないな」


 変な頼みという事もあり一瞬意表を突かれた店長だが、少し考え答えた。


「もう手詰まりじゃないの!あなたがここに行こうって言ったのよ!無駄足じゃないの!」


「まぁ落ち着きなよ。お手々ちゃん」


 透明人間は宥めるように赤紙青紙(妻)の手の平を突いてるように見える。


「どぉぉおぉこ触ってんのよー!!」


 ブゥフッ


「ふぐっ!」


 赤紙青紙(妻)は突如、何も無い空間に頭突き……いや、パンチをお見舞い。何も無い空間に見えるが確かに何かがあるような手応えを感じる音が聞こえた。あと声も。


「人妻の体に気安く触れるんじゃないわよ!」


「お手々ちゃんは人妻お手々ちゃんだったとは……それはそれでアリ」


 殴られたのが原因なのか、透明人間の声は地面に近い場所から発せられた。


「次やったら握り潰すわよ」


 赤紙青紙(妻)は開いた手を勢いよく閉じる。次はこうなるという警告だろう。


「それは花子ちゃんやマミーちゃんも手を出した事がない領域だぜ?人妻お手々ちゃん」


「人妻を舐めんじゃないわよ!私は躊躇なくやるわ」


 具体的に何を握り潰すのかは提示されていないが、二人の認識は同じように思える。


「さすがに俺ちゃんの俺ちゃんがマッシュされるのは勘弁だぜ」


 尚も地面に近い場所から声が発せられた。


「マミーちゃん、そちらの透明の人は誰と喋ってるんだい?」


 先程からの二人のやりとりだが、赤紙青紙(妻)は姿を消してる状態のせいで店長には存在があやふやな透明人間が一人で喋ってようにしか見えないのだ。


「あ……えっと……」


「私よ」


「おお!これは驚いた!」


 言い淀むマミーを見兼ねたのか赤紙青紙(妻)は姿を現した。


「あのですね、行方不明になってる、この人の旦那さんを探してて……それで……」


「私とあの人はよくトイレとか彷徨くから、それで情報を聞きに来たのよ」


 マミーの状況説明を引き継ぎ補足を入れる赤紙青紙(妻)。


「そういうことか。それとマミーちゃんの狙いはこれだけじゃないだろ?」


「はい!」


 マミーは問いかけに返事をし、店長はマミーの狙いを察しニヤリ。


「ウチの店は全国に展開する勢いのある店だ!他の店にも話をして情報を集めるさ!」


「ありがとうございます!店長さん」


 一気に捜索範囲が拡大し十分な成果と言えるだろう。しかし、トイレといえど数は数えきれないほどある。いくら全国に店を出していても情報が集まるかどうか……

 今回も赤紙青紙(夫)の情報は得られませんでしたが、捜索範囲が一気に広がりました! けど見つからないと思います! 店長の捜索網は別で活躍してもらうかもです。たぶん(〃∇〃) それでは

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