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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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86話 ぼくと花子さんと赤紙青紙⑦

 〜前回のあらすじ〜


 恋愛の先輩、赤紙青紙(妻)に恋愛相談をしたマミー。問題点を指摘されたマミーの恋愛的な次の目標は手を繋ぐ。その前に並んで歩くに決まった。それはそうと目的は赤紙青紙(夫)を探し出す事である。

 通り雨のように場を乱し過ぎ去って行った人物、マミーの恋愛相談、目的地に着く前にいろいろあったが、目的地に着いてもまだ何かありそうだ………


「ここです」


 案内役のマミーが立ち止まったのはスポーツジムや図書館などが入る複合施設。そして、その中に目的地であるスーパーも入っている。


「あれって……」


 ぼくは自分が目にしてる光景が現実なのか確認するように凝視。建物は至って普通の建物、それは間違いない。ぼくが目を疑っているのは出入り口の脇に行儀良くおすわりをしている大型犬というにはかなり大きな犬らしき生き物だ。そして、傍らには緑色の体表、手には水掻き、背中には背ビレがある人物が佇んでいた。その人物は犬らしき生き物の首から伸びる鎖を握っている。恐らく鎖はリードだろう。


 そして、更に目を疑う光景を目にしてしまう。


「わぁ♪おっきなワンちゃんだ♪」


 小さな女の子が犬らしき生き物に駆け寄って来た。


「あら、本当に大きいねぇ。ズボンも履いてオシャレなワンちゃんだね」


 女の子に続いて大人の女性が来た。


「ママ!ナデナデしてもいい?」


 どうやら女の子と大人の女性は親子らしい。


「じゃあ、あの人に聞いてみようか」


「うん、わかった!」


 女の子は明らかに普通の人間とは思えない緑色の体表の人物の前まで駆け寄る。女の子の母親もそれを止める素振りは見られない。


「ワンちゃん、ナデナデしてもいいですか?」


「ぱぱ」


 緑色の体表の人物は首を縦に振り答えた。この時の受け答えの『ぱぱ』とは父親という意味ではなく緑色の体表の人物が唇の開閉で発するリップ音だ。


「わぁい♪」


「ワン!」


 喜ぶ女の子。そして、状況を理解したのか犬らしき生き物は女の子が撫でやすいように伏せる。


「ナデナデ♪いいこ、いいこ♪」


 女の子はハグするような形で犬らしき生き物を撫でる。


「うふふ♪お利口なワンちゃんだね♪ナデナデしたし、もう行こっか?」


「うん!バイバイ、ワンちゃんとお魚さん!」


 親子は立ち去って行った。去り際の発言は緑色の体表の人物が普通の見た目ではない事を知った上での発言だろう。


「半魚人さんとオオカミさんだ」


「なに?あれもあなたの知り合いなの?」


「はい。たぶん、マミーさんも……」


 ぼくは隣のマミーに目をやると彼女は半魚人とオオカミ男の方へ走り出していた。


「ぼく達も行きましょう」


 ぼくと赤紙青紙(妻)はその後に続く。


「お二人共、日本に来てたんですね!」


「ぱぱぱ!」

「ワン!」


 喜びと驚き交じりのマミーに二人は……一人と一匹は……二匹は……二体は………とにかく、答えるように返した。


「透明人間さんも居るんですか?」


「ぱぱぱっぱぱ、ぱっぱぱぱー」


 マミーの問いに身振り手振りと言葉で返した。


「店の中ですか」


「マミーさん、半魚人さんの言葉わかるんですか?」


「うん。なんとなくだけどね♪」


 旧友との再会の嬉しさを感じさせる声でマミーは答えた。


「あれ?もしかして、君はお二人と顔見知りだったの?」


「はい。でも、ぼくが知り合ったのは最近なんですけどね。あ、透明人間さんの事も知ってますよ」


 少し前にぼくは透明人間一行と知り合っている。その透明人間一行がバンパイアやマミーと顔見知りなのもその時に聞いていたが、今日、バンパイア達と遭遇した時にそれを伝えなかったのはいろいろな出来事があったからだろう。


「教えてくれればよかったのに」


「あはは、忘れてました」


「再会が嬉しいのはわかるけど、早く店に入るわよ!」


 和やかな雰囲気に水を差す赤紙青紙(妻)。


「そうですね。行きましょうか。お二人共、それでは」


「ぱぱぱぱ」

「ワン!」


 マミーの先導で入店。


 入店すると最初に青果コーナーが広がっていた。そこには目もくれず先へ進むと次は精肉コーナーがお目見えだ。因みにその短い道のりでマミーに気づいた人達は手を振りマミーも愛想と一緒に手を振り返していた。


「あなた、人間社会に馴染んでるわね」


「え!?そ、そうですか?」


 警戒の言葉ばかりだった赤紙青紙(妻)だが、今までとは少しニュアンスの違う言葉にマミーは戸惑いながら聞き返す。


「そうよ!さっきのイヌと緑のバケモノも当たり前のように突っ立ってたし。私がバカみたいじゃない!」


 ぼくとマミーにはハッキリと目視できているが、恐らく今も姿を消しているであろう赤紙青紙(妻)は不満そうに握り拳で言った。


「試しに姿を見せてみたらどうですか?私が居るから周りの人達も受け入れてくれると思いますよ」


「…………騒ぎになっても知らないわよ?」


 不安げな赤紙青紙(妻)は目視状態になる。


「あら、マミーちゃん、新入りさん二人入ったのかい?」


 早速、女性が話しかけて来た。女性は『新入りさん二人』と言った事からぼくと赤紙青紙(妻)の事だろう。


「あ、いえ。私のお友達です」


「そうなのかい?最近の技術は凄いねぇ」


 女性は『私のお友達です』という説明だけで納得してくれた。しかも勝手に近代技術の賜物だと解釈し立ち去って行った。


「うふふ♪大丈夫そうですね♪」


 自分の予想が的中して嬉しそうに言うが……


「どこが大丈夫なのよ!勝手に新入りと間違われて、お次は友達にされたのよ!」


「ぼくは友達でいいですけど」


 対照的な言葉を口にする二人。


「ごめんなさい!気をつけます!」


「もういいわ!こんな事にならないように私は姿を消すから」


 謝るマミーだが、その彼女に背を向け……手の甲を向ける赤紙青紙(妻)。


 再び歩き出す三人。


 そして、伏線を張ってた通り、三人の目の前にあの人物が姿を現す?

 今回は思いがけない旧友との再会でした!そして、伏線を張ってた通り次はあの人物が出ると思います! それでは

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