83話 ぼくと花子さんと赤紙青紙④
〜前回のあらすじ〜
赤紙青紙(夫)を探しにデパートに入ったぼくと赤紙青紙(妻)。すると偶然にもバンパイア達と遭遇。そして、彼らの協力を得ることに成功したのだった。
「ところでそなたの夫の名は何と言うのだ?」
赤紙青紙(妻)の夫探しに協力する事になったバンパイアは探し人の名を尋ねる。ここでちょっとした問題が発生する。
「赤紙青紙よ」
「むむ?」
バンパイアは顎に手を当て首を傾げる。それもそうだ。探す相手が赤紙青紙で探してる相手も赤紙青紙なのだから。文字では赤紙青紙(妻)、赤紙青紙(夫)と区別できても言葉だけでは補足無しではすぐに理解するのは難しい。
「あのですね、赤紙青紙さんの旦那さんも同じ赤紙青紙って名前なんです」
「ふむ、そういう事であったか」
ぼくの補足でバンパイアは納得した様子。
「それじゃあ、二手に別れて探しましょう。マミーさん、連絡の為にスマホの番号教えてください」
「うん、いいよ」
「ふむ、これで少年はマミーといつでも話が出来るようになったのだな」
二人の番号交換を珍しいものを見るように見つめるバンパイア。
「はい。それじゃあ、バンパイアさん達、赤紙青紙さんの旦那さんが見つかったら連絡してください」
「待って!」
ぼく&赤紙青紙(妻)、バンパイア一行に別れて捜索開始かと思いきや、マミーが制止。
「私、赤紙青紙さんと一緒に行きたいです。話したい事もありますし」
「わかりました。それじゃあ、ぼくとマミーさんは入れ替えですね」
「ちょっと待って!」
またしても捜索開始は制止された。次に制止を求めた人物は赤紙青紙(妻)だった。
「どうしました?赤紙青紙さん」
「あの女と二人っきりはイヤよ!」
ぼくが理由を尋ねると警戒心を隠す事なく答えた。
「なんでですか?」
「聞いたでしょ?私と話したい事があるって言ったのよ!そんな女と二人っきりになったら恋人を取られまいと何して来るかわかったもんじゃないわ!」
ドラマなどで見る女性同士の嫌がらせは陰湿なものが多い。恋愛絡みとなると、その度合が増していく。どういう意図であれマミーはバンパイアの恋人である事を主張したのだ。それが宣戦布告と受け取られてしまっているのだろう。
「じゃあ、ぼくは一人で探しますね」
「待って!」
またもや制止を求める声。次はマミーだった。彼女は二度も待ったをかけた。こんなに主張する彼女は珍しい。
(あの、できればバンパイアとは別々で探したいの)
マミーはぼくに耳打ちで要望を伝える。赤紙青紙(妻)はマミーと二人っきりは嫌、マミーは赤紙青紙(妻)と話したい事があり、恐らくバンパイアには聞かれたくない、ぼくが決断する組分けは………
「………それじゃあ、ぼくと赤紙青紙さんとマミーさんの組み合わせにしましょうか。バンパイアさん、一人で大丈夫ですか?」
「うむ、我は問題ないぞ!」
これでなんとか組分けが決まった。
「バンパイアさんとの連絡手段が必要なのでマミーさんのスマホをバンパイアさんに貸してもらえますか?」
「え?あの……私のスマホは………ちょっと」
キッパリ断りはしないが、明らかに自分のスマホを貸す事に抵抗があるようだ。
「あ、そっか。マミーさんのスマホに仕事の連絡とかあるかもしれないですから、ぼくのスマホをバンパイアさんに貸します」
「う、うん。お願い」
スマホには所有者の趣味趣向がギッシリ詰っている。皆さんも自分に置き換えれば、ぼくの提案に心底ホッとしたマミーの気持ちを理解してもらえるだろう。尚、ぼくは年齢的なせいかスマホに赤面モノの情報はないので、なんの抵抗も無く貸す事が出来るようだ。
「マミーさん、ぼくに電話してみてください」
「うん」
〜〜〜♪
ぼくのスマホに着信。
「バンパイアさん、電話が掛かるとこの画面になります」
「うむ」
バンパイアにスマホの画面を見せレクチャー。
「そして、このマークを指で触って上にスワイプするんです」
「スワイプとはなんだ?」
「ええと、上に移動させるんです。やってみてください」
習うより慣れろという事だろう。ぼくはバンパイアにスマホを渡す。
「これを指で触れたまま………こうであるか?」
「そうです」
電話の応答に成功し、現代機器を一つ学んだバンパイア。
「これで連絡できますね。じゃあ、二手に別れてさがしましょう」
「うん」
「あなた、その女が私に何かしないように守ってよね!」
これでぼく&赤紙青紙(妻)&マミーとバンパイアの二手に別れ捜索スタート。
「我等も行くぞ!フランケン」
「ウガー!」
おっと失礼。ぼく&赤紙青紙(妻)&マミーとバンパイア&フランケンの二手に別れ捜索スタート。
さて、二手に分かれて捜索する事になりましたが、マミーちゃんの話したい事とは何でしょうね。それとマミーちゃんがスマホを貸すのを躊躇っていた理由も機会があれば書きますね! それでは