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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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81話 ぼくと花子さんと赤紙青紙②

 〜前回のあらすじ〜


 思いもよらぬ再会と思いきや性別違いの赤紙青紙と遭遇したぼく。どうやら、前に会った赤紙青紙は男性で目の前の赤紙青紙は女性、しかもその二人は夫婦。そして、ぼくは行方知れずの赤紙青紙(夫)を探す手伝いを申し出たのであった。

「赤紙青紙さんは普段どんな場所に居るんですか?」


「なに急に?私の私生活を聞いてどうする気?やっぱり、下心で私に声かけたのね!」


 今日が初対面だから、未だ警戒心が拭えないのは仕方ないが、そういう方向にいくのは人妻(?)だからか、彼女自身の性格なのか……


「違いますよ!赤紙あお……旦那さんを探す手掛かりがあるかと思ったんです」


 ぼくは否定しつつ言葉の真意を伝える。


「そういうこと。私達の活動範囲は大体トイレね」


「トイレかぁ……」


 限定的な活動範囲に思えるが、世の中、一つの建物に最低でも一部屋トイレがある。大きい建物になると階ごとに……更に男女別で。


「手伝うって言い出して、もう手詰まり?」


「いえ……えっと、どんなトイレが好きなんですか?」


 まだ短い人生とはいえ、こんな質問をする機会があると思ってもみなかったのだろう。ぼくは少し言葉に詰まりながら尋ねる。


「そうね、あまり使われてないトイレとかかしら。公園のトイレとかによく居たわね」


「公園ですか。じゃあ、行ってみましょうか」


 とりあえず、捜索場所が決まり、二人は手を繋ぎながら公園へ向かう。


「着きましたね。あの、ぼくは男子トイレ見て来るので女子トイルお願い出来ますか?」


「わかったわ」


 二手に分かれ、ぼくは男子トイレへ。


「うーん。居ない」


 個室トイレに入ったぼくは一通り見たが、赤紙青紙(夫)らしい痕跡は見当たらなかった。


「そっちはどうでしたか?」


 女子トイレを見に行った赤紙青紙(妻)に尋ねる。


「居なかったわ」


 女子トイレも収穫は無かったようだ。


「あれ?そういえば、ぼく、初めて赤紙あお……旦那さんを見た時、どこから現れたのかわからなかったんですけど、脅かす時ってどこに隠れてるんですか?」


 ぼくが赤紙青紙(夫)を初めて目撃したのは花子さんのトイレ。その時は個室トイレで声は聞こえたもののその姿は無く花子さんが便器を粉砕して初めて目撃したのだ。


「それは便器の中よ」


 当然のように返答するが、ぼくに新しい疑問が生まれた。


「どうやってですか?妖怪って姿は消せても実体はあるんですよね?便器の中に入れたとしても狭くないですか?」


 いくら腕だけの妖怪でもあの中に身を潜めるのは窮屈としか思えない。昔の汲取式ならわかるが………本人から納得いく説明を期待しよう。


「妖怪と言っても一括りじゃないのよ。皆それぞれ固有の能力があるでしょ?私は……あの人もだけど、霊体になれるのよ。それに浮遊も」


 皆さんは納得しただろうか。妖怪だからと都合が良過ぎとか思った人も居るかもしれないが、この説明を受け入れなくても物語は進む。


「あの時ぼくが気づけなかったのは便器の中に居たからだったんですね。じゃあ、ぼくが見つけられなかっただけでさっき見てきたトイレに居るかもしれないですね」


「それは無いと思うわ。あの人、節操ないから、あなたが入って来た時点でいつもの質問をするはずだから」


 ここで言ういつもの質問とは『赤い紙、青い紙どっちがいい?』という質問の事だ。


「そうなんですか。それじゃあ、次はどこ探しましょうか?」


「そうねぇ、人が大勢居るような大きな建物に行きましょう。あなたと一緒なら人混みはあまり気にしなくてよさそうだし。だから、ほら…………手、繋いで」


「わかりました」


 次の目的地を探しに二人は手を繋ぎ歩き出した。


「そういえば、赤紙青紙さんって手を繋ぐのが好きなんですか?」


「え?まぁ、そうね。でも、二年くらいあの人と手を繋いでないからってのが大きいかもしれないわね」


「二年………じゃあ、ぼくが合った時にはすでに今の状態だったんですね」


 ぼくが赤紙青紙(夫)と遭遇したのは去年の事、その頃からすでに二人は離れ離れらしい。


「あなたが合った時のあの人、何か言ってなかった?」


「んー、あの時はぼくよりも花子さんと会話してましたし、その後は……」


「花子!?誰よ!その女は!」


 ぼくの言葉を遮ったと思ったら繋いでいた手を離し、ものすごい剣幕(?)でぼくの目の前に詰め寄る。


「え?えと、花子さんは幽霊で………」


「幽霊!?私なんかより幽霊なんかに会いに行ってるわけ?その女、どこに居るの?」


 またもやぼくの言葉は遮り、まくし立てるように詰め寄る。


「旧校舎の3階の女子トイレです」


「あの人を見つけたら一緒にその女にも会いに行くわ!決めた、絶対よ!あなた、案内しなさいよ!」


「は、はい」


 ぼくは勢いに飲まれ旧校舎への案内を承諾してしまった。修羅場な展開になるのか、それとも……


「とにかく、あの人を見つけるわよ!花子とかいう女はその後よ!ほら、あなた手を繋ぎなさい!」


「あ、はい」


 興奮していても手を繋ぐ事を求めるのはやはり手を繋ぐのが好きなのだろう。


 それより、ある程度の事情を知っているぼくが誤解を解かないのは何かしら理由があるのだろうか。この誤解を解かなかった事で悲劇が起きてしまうのだが………。

 さて、皆さんはどんなトイレが好きですか? 私は便座の高さはカカトがちゃんと地面に着くくらいの高さですね。足がプラーンって浮いた状態だとなんか嫌です! それとトイレットペーパーの強度です!数cm引っ張っただけで千切れるとイライラします。ホルダーが強いのがペーパーが弱いのか、たまにあります。


 そんな話は置いといて、赤紙青紙は妖怪ながら霊体化できるんです!都合良すぎとか言わないでもらえると助かります。 それでは

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