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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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79話 ぼくと花子さんと濡れ女⑬

 〜前回のあらすじ〜


 デートの最終目的地のかき氷店に着いた一行。恋人同士のような食べさせ合いなどもあったが、口裂け女の一言のせいで少し恥ずかしい流れになったぼくであった。

「お菊ちゃん、少年達が食べてる間、私達はあちこち見て回ろうか」


「はい♪」


 かき氷を食べられない2人は店内を徘徊するらしい。


「これで落ち着いて食べれますね」


「うん」


 ぼくはかき氷を食べるが、さほど広くない店内で人目を気にせず徘徊する2人を目で追う。


(2人共、幽霊だし大丈夫かな)


 ぼくは野放しになった2人が何かをやらかすのではと心配だったが、幽霊である2人が物理的に損害を及ぼす事も考えにくい。幽霊パワーを使えば話は別だが、その2人はそんな迷惑行為をするような悪霊(あくりょう)などではない。悪い事をしない優しい彼女達は善霊(ぜんりょう)優霊(ゆうれい)なのだ。


 なので、ぼくは2人を目で追うのを止めかき氷に集中する事にした。


「お菊ちゃん、あっちの人のかき氷スゴいよ!見に行こ~」


「はい…へみゅっ」


 ガシャーンッ


「大丈夫~?」


「大丈夫ですぅ…わぁ、ホントにスゴいですぅ♪これエビフライですかね?」


「たぶん、そうだね。チョコ味のかき氷なのかな~?あ!下に蕎麦があるよ!」


 2人が興味を持ったかき氷は透明の皿の底に蕎麦があり、その上に茶色いかき氷、そしてエビフライが一匹添えられている。この商品の重要な所は茶色いかき氷である。


 かき氷といえば、甘いデザート的なものを想像する人が多いだろう。それを考えると茶色いかき氷の正体はチョコ味のかき氷だと思ってしまうのも無理もない。だが、蕎麦+エビフライ+チョコ、相性がいいとは思えない。ならば、この商品をどうすれば美味しそうに思えるのか、そもそも蕎麦とエビフライの組み合わせにチョコというのがおかしい。考えてみれば確定してる情報は蕎麦とエビフライだけで、茶色いかき氷はチョコとは限らない。チョコではなく別のものであれば、この商品は一気に昇華させられるはず。その別のものとは蕎麦つゆだ。


 つまり、この商品はかき氷専門店が作る冷やし海老天そばなのだ。


「次、あっち行こ~♪」


「はい…はにゃっ」


 ガシャーンッ


 冷やし海老天そばの凄さを理解しないまま2人は別のテーブルへ移動。なお、お菊の転倒は予定調和。


「あれってかき氷なのかな~?」


「どう見てもチョコのボールですぅ」


 次に2人が興味を持ったのは球体状のチョコだ。これは正真正銘チョコだ。精製方法は不明だがそのチョコの中にかき氷が詰め込まれている。一粒ずつ手軽に食べられるお菓子のような感覚だ。中身のかき氷も味付け次第でいろんなフレーバーを楽しめる。


「次はあっちだ~♪」


「はい…ふにゃっ」


 ガシャーンッ


 移動する度に転ぶお菊。もちろん店に実害はないのだが…


「こんの新入り!初日から食器を割りまくりやがって!てめぇはクビだ!クビ」


「えーーーー!」


 個人レベルで被害が


「バイト初日でクビなんて……私、ついてない」


 女性店員はトボトボと店を出ていった。


「すみませんねぇ、お見苦しい所を」


 店長らしき人物が顔を出し謝罪。だが、何があったかわからない客達は唖然としている。ぼくは一部始終を見る事ができたので苦笑い。


「店長さん、すごい怒ってたね~」


「驚いたですぅ」


 騒動の発端の2人がぼく達の方へ戻ってくる。


「口裂け女さんとお菊さん、あまり動き回らないでください」


「は~い」

「はーい」


 被害者を出さない為に幽霊2人に注意。


「少年、ゆきちゃん美味しそうに食べてるね」


 やる事が無くなった口裂け女は再びゆきおんなの観察を開始。


「そう…ですね」


 表情は全く変わらないが、ペースを落とさず黙々とかき氷を口に運ぶのを見て美味しそうに食べてると判断したぼく。だが、かき氷をペースを落とさず食べると、ある現象が起こる。ゆきおんなにはそれが起きるのか起きないのか……


「あ、ゆきおんなさん手が止まっちゃいましたね」


「ゆきちゃん、いま頭がキーンってなっちゃってるよ」


 そう、かき氷をペースを落とさず食べるとやって来る、かき氷頭痛だ。


「本当ですかぁ?」


 表情がほとんど変わらないゆきおんなの心中をデタラメに代弁しているのではと疑い始めたぼく。


「ホントだよ~、あの顔は苦悶の表情だよ~」


「なにも変わらないように見えますけど…」


 先程から一人でマネキンチャレンジをしてるんじゃないかと思うくらい微動だにしないゆきおんなを見て疑いは更に強くなる。


「どうしたら信じてくれるの~?」


「うーん…ゆきおんなさん本人がそう言うなら信じますけど…」


 ぼくと口裂け女は答えを求め、ゆきおんなを見つめる。


「…………キーンてした」


 なんと、口裂け女の言った事は本当だった。疑惑の中心の本人が言ったのだから間違いない。


「ほら~!私の言った事ホントだったでしょ~」


「疑ってすみません」


「口裂けさん、すごいですぅ。私も全然わからなかった」

 

 お菊もその些細な変化がわからなかったらしく驚いている。その後も口裂け女のゆきおんな解説は続き、ぼくはそれに耳を傾ける。観察対象の本人は食べ終わるまでに何度か動きが止まったりした。


「ふぅ、美味しかったですね!」


「うん」


「それじゃあ、出ましょうか」


 食べ終えていつまでも居座るのは迷惑だと思ったのだろう。ぼくは店を出るよう提案する。


「うん」


「あ、待ってください!」


 ぼくは慌ててゆきおんなを呼び止める。それにはちゃんと理由がある。それは彼女が会計の時に必要な物を忘れてるからだ。いや、恐らく、忘れてるのではなく、それが必要だという事を知らないのだろう。


「はい、これ伝票です。これをレジに持っていって会計するんですよ」


「そ、ありがと」


 素っ気ない返事をし伝票を受け取るとレジへ。


「少年、ナイスエスコート♪ゆきちゃんルンルン気分だよ~」


「今のエスコートって言うんですか?まぁ、ゆきおんなさんが喜んでるならいいですけど」


 口裂け女の根拠がどこにあるかわからない解説を受け入れ、ぼくはゆきおんなの後に続く。


「これ」


 ゆきおんなはレジで伝票を差し出す。


「はい、まいど!会計は二千三百円になります」


 店長が自らレジに立っている。女性店員をクビにした事でワンオペ状態になったのだろう。


「はい」


「二千五百円、お預かりします。少々、待っててくださいね…はい、お釣りとこれは騒がしくしたお詫びです」


 店員はお釣りの他に紙のような物を手渡した。


「これなに?」


「割引券です。有効期限はないのでお好きな時にお使いください」


「ありがと」


「またのお越しをお待ちしております!」


 ゆきおんなは会計を済ませ店長に背を向け店を出る。ぼくはいろいろと申し訳ないと思ったのかお辞儀をしてゆきおんなに続く。


「これホントに貰ってよかったんでしょうか?」


 ぼくはゆきおんなに追いつくと自問自答とも思える疑問をつぶやく。騒動の真実を知ってる身としては誰かに肯定して欲しいという気持ちがあるのだろう。


「いいんじゃない」


「そうですね!ちょっと割引券見せてもらっていいですか?」


 ゆきおんなの言葉で吹っ切れたぼくは割引券に興味を持った。


「いいよ」


「3割引ですか…あれ?」


 割引券を受け取ったぼくはある事に気づく。


「あれ?4枚ありますね」


 同じ割引券が4枚。ぼくとゆきおんなで2枚ずつという事なのだろうか


「私、きみ、口裂け女、菊」


 ゆきおんなは自分の考えを伝える。たしかにそれだと4枚渡された事も頷ける。だが、問題なのはぼくとゆきおんなはともかく、幽霊の2人は見えない状態だったはず。実際、店内を歩き回る2人を気に留める客は1人もいなかった。ただし、お菊が起こした事に反応した人がぼく達以外に1人いた。それは今、議題に上がっている4枚の割引券を渡した張本人の店長だ。


 では、店長はお菊の何に反応してたかだが、そもそも店長はぼく達が滞在中ホールに顔を出していない。よって、お菊が何をしていたのかも知るはずがない。店長がホールでの出来事を知る手段……それは音だ。店長はお菊が転倒する度に皿が割れる音が聞こえていたのだ。


 そこから導かれる答えは…


「もしかして、あの店長さんは口裂け女さんとお菊さんが見えてる?」


 その予想が正しければ割引券を4枚渡された事も頷ける。他にも店長が見えてる…つまり、ぼくと同じ霊感持ちである事を証明できる根拠がある。それはやはり皿が割れた音だ。幽霊は消えてる状態だと普通の人に声も聞こえないという特性がある。それが、声だけではなかったとしたら……店内で何度も皿が割れる音が響いたのに客は反応すらしなかった。これが根拠だ。


「じゃあ、これは私とお菊ちゃんの分の割引券ってこと?やった~♪」


「ホントですか?わーい♪」


 この先、使う機会があるとは思えない幽霊2人は大喜び。口裂け女はこういう人だと見慣れたが、そろそろお菊に歳を聞きたくなってくるほどだ。


「ゆきちゃん、私の分預かっといて~」


「あ、私もお願いしますぅ、ゆきさん」


「じゃあ、ぼくのもお願いします。またこの4人で行きましょう」


「うん…また行こ」


 ゆきおんなは割引券を小さく折り畳み財布に入れた。


「あの…この後どうします?」


 本日のデート代を負担してもらったぼくは予定を全て消化した今、自分から解散を提案するのは心苦しいのか判断をゆきおんなに委ねる。


「帰る」


 健全な判断だ。


「じゃあ、あまり人が居ない所に移動しましょうか」


 ぼくはゆきおんなと手を繋ぎ移動する。ぼくがゆきおんなと手を繋ぐのは男としてのエスコートなどではない。それは普通の行為で自然な事で当たり前なのだ。


「ここでいいですかね」


 人目の少ない路地裏で立ち止まる。


「………帰らないの?」


 何も行動を起こさないぼくを見てゆきおんなが疑問を投げかける。


「見送りさせてください!今日はたくさんゆきおんなさんにお世話になったので」


 ぼくなりのお礼らしい。デート代を渡すなどお礼の方法は他にあるだろうが、今はこれがベストだろう。そもそもデート代を負担してもらったのにお礼にお金を出すなど無粋極まりない。


「わかった、先に行くね」


 ゆきおんなはデート開始直前にコックリさんから渡された[帰]と書かれた御札を取り出し念じる。すると目の前に空間に穴が…ゆきおんなはぼく達に背を向け穴の方へ。


「ゆきおんなさん!」


「なに?」


 ぼくに呼び止められたゆきおんなは振り返る。


「今日はすごく楽しかったです!」


 これはデート最後の言葉として最上級のお礼の言葉だろう。


「私も」


 言葉足らずのゆきおんな…だが、今回はそれが気にならない程の微笑みをぼくに向け、異空間の穴へと姿を消した。


「少年!いまの見た?」


「はい!今のはぼくにもわかります!笑顔でした!」


「可愛かったですぅ」


 あの微笑みを見たぼくの心は彼女を楽しませる事が出来たという達成感に満たされたに違いない。それはお礼を言われた彼女も同じはずだ。


「それじゃあ、ぼくも帰ろうかな」


 ぼくは[帰]と書かれた御札を取り出す。


「お菊ちゃん、私達はどうしよ~?花ちゃんの学校までの道わかる?」


「うーん、あっち?」


 異空間を通ってショートカットでここまで来た事もあり土地勘のない幽霊2人は悩む。


「あの、2人も一緒に行きますか?たぶん、ぼくの家の近くに繋がると思うんですが」


「いいの?少年!あ、でもコックリちゃんは自分で帰りなさいって言ってたし…」


 たしかに[帰]の御札を渡す時に口裂け女は自分の分が無い事に疑問を持ち尋ねたが大人だからという理由で貰えなかった。


「たぶんですけど、ぼくと一緒に帰ってくるのを想定してると思いますよ。ぼくの家まで来たら学校まで徒歩圏内ですし、わざわざ口裂け女さんの分の御札を作る手間も省けますし」


「たしかに~♪それにコックリちゃんは賢い!今度、私の愛をたくさん伝えてあげなきゃ」


 コックリさんの預かり知らぬ所で絶体絶命の予兆が…


「ほどほどにしてあげてくださいね」


 ぼくはコックリさんの身を案じつつも強く止める事はしなかった。


「あのぅ、私もいいんですか?」


「はい」


「じゃあ、私もコックリさんにたくさん愛を伝えますぅ」


 またまたコックリさんの預かり知らぬ所で絶体絶命の予兆が…


「お菊さんもほどほどに」


 コックリさんの天敵2人の襲撃計画をぼくは止める事はしなかった。


「じゃあ、行きましょう」


 ぼくが御札を手に念じると空間に穴が開く。そして、3人はその穴へと入った。


「お菊ちゃん、手を繋ごう」


「はい」


 早速、幽霊2人は手を繋ぐ。それを見て、ぼくはある事を思いつく。


「あの、口裂け女さん。もしかしてですけど、ここ異空間だから、ぼくも手を繋げるんじゃないですか?」


 移動の際は常にゆきおんなと手を繋いでいたぼく。なにかしら寂しさを感じ、寂しさを解消する為に知恵を絞った結果出た言葉なのかもしれない。


「あ、そっか♪」


 口裂け女はぼくの右手を握る。ぼくの予想は的中。幽霊の口裂け女と手を繋ぐ事に成功。


「いいなー、私も少年と手を繋ぎたいですぅ」


「えっと…いいですよ……転ばないでくださいね」


 ぼくは空いてる左手を差し出し、お菊に転ばないよう注意。3人手を繋いだ状態で転ばれると間違いなく巻き添えを食らうからだ。


「はい♪」


 お菊は嬉しそうにぼくと手を繋ぐ。これでデート序盤で成立出来なかった両手に華が完全に出来上がった。


「ふにゃっ」

「わっ」

「きゃっ」


 ガシャーンッ


 予定通りお菊は転倒するのであった。


【おまけ】


「ねぇ、なんか飛んでくるよ!」


 いつも通り旧校舎を目指す2人。早速、取り巻きは異変を察知。


「んあ?なんだ?」


 ガキ大将は目を細め飛んでくる物の正体を見定めようとする。それは平たい板状の物体で回転しながら2人の方へ飛んでくる。


「やべぇ!こっちに来るぞ」


「うわぁぁ」


 体が強張り2人はその場から動けず身を守るように身構える。


「………あれ?」


 一直線に飛んできた物体は突如として軌道を変え直撃を免れた。


「なんなんだ、これ?」


 ガキ大将は地面に落ちた物体を覗き込む。それは過去にも見た事のある物だった。


「モナリザか?」


「モナリザだよね。前にも見たような…」


「ひどい目に遭いましたわ」


 絵画のはずのモナリザが喋った。そして…


 ガシャンガシャンガシャン  シャカシャカシャカ


 絵画の額縁から無数のアームが出てきて物凄い速さで旧校舎へと走り去っていった。


「なぁ?あれはオカルトか?科学か?」


「ボクに聞かれても」


「あづーい、どいてー」


 呆気に取られてる2人の背後から声がした。2人は咄嗟に道を開ける。そして、2人の目の前を全身びしょ濡れの少女が通り過ぎ旧校舎へ向かっていった。


「なんだ?あれ」


「びしょ濡れだったね」


「よし!濡れ女で拡散しようぜ!」


 このガキ大将の行為で濡れ女という都市伝説が誕生した。


【おまけ②】


(ん……ここは)


 ある人物がある場所で目覚めた。


「うっわ!懐かしい!」


「このゲームまだ存在してたんだ」


 目覚めた人物の近くで話し声が聞こえる。


「やってみようぜ」


「どうせ勝てないよ。金のムダ」


「たった10円だしいいよ」


 学生らしき青年2人が目覚めたばかりの人物を覗き込む。


『じゃんけん…』


(わっ!なに?私の中から声が!?)


 青年が目覚めたばかりの人物に何かしたのか、目覚めたばかりの人物の中から声が発せられた。


「負けねぇぞぉ」


 青年は肩をぐるぐる回し気合が入っている様子。


『ぽん、ずこー』


(ま、また声が!?)


「くっそー負けたー」


 内から発せられる謎の声…その声を聞いた青年は悔しがる。


「このじゃんけんマシーン強すぎなんだよ。ほら、もう行こうぜ」


「おう」


 2人の青年は目覚めたばかりの人物…改めじゃんけんマシーンの前から立ち去っていった。


(私、じゃんけんマシーンって言うのか…)


 じゃんけんマシーンは目覚めて以降、頻度は少ないものの挑んでくる少年少女、時には男性女性を打ち負かし続けた。だが、挑戦者が来る頻度も確実に減っていき今では多くても1日に1人程度である。


 そんなある日のこと。


「どのゲームします?」


「これ」


 少年と少女が近くにやって来た。少女はじゃんけんマシーンを指差している。


(あれ?もしかして私を指差してる?私と遊んでくれるの?)


 少年が少女にゲームのレクチャーをしている。どうやら、じゃんけんマシーンに挑むつもりだ。


「やってみる」


 少女がお金を入れるとゲームスタート。


『じゃんけん…』


 この内なる声はゲームが始まると勝手に出てしまう。本人は他の言葉を出したいらしいが、こればかりはコントロールが出来ない。だが、1つだけ出来る事がある。それは…


(超反応!)


『ぽん、ずこー』


 じゃんけんで何を出すかだ。しかも超反応というスキルまである。このスキルのおかげでほぼ負けはない。ある意味、最強の後出しだ。


『じゃんけん…ぽん、あいこで…』


 すると少女は再挑戦。サービスで初手はあいこにしてあげたじゃんけんマシーン。だが、サービスはここで終了。


『しょ、ずこー』


「ふふふ」


(この子、笑ってる?)


『じゃんけん、ぽん、あいこで、しょ、ずこー』


 少女はまた挑戦するが、じゃんけんマシーンは勝たせない。


「ふふふふふ」


(楽しんでる!よし、トコトン付き合うよ!)


『じゃんけん、ぽん、ずこー』


「………」


 何が悪かったのか少女の笑いは収まってしまった。


(飽きちゃった?どうしよう)


 久しぶりの対戦相手、しかも連戦してくれる相手なんてここ数年いなかった。その相手の機嫌を損ねたと思い不安になるが…


「じゃんけん、ぽん、あいこで、しょ、ずこー」


「ふふふふ」


 再び挑戦し、再び笑ってくれた。


(よかったぁ)

 

 その後、何度も挑戦する少女。じゃんけんマシーンは飽きられないように時々、あいこにしたりしなかったりしていると、2回連続あいこの後に勝利。そして…


『じゃんけん、ぽん、あいこで、しょ、ずこー』


 3連続あいこの後に勝利。すると少女は


「ふふふ……あはははは」


 口を開けて笑出した。


(すごい笑ってる♪)


 久しぶりの対戦相手が負け続けてるのに笑顔を見せてくれた事に喜ぶじゃんけんマシーン。そして、少年少女は満足したのか、その場から立ち去る。


『ありがとう』


 遊んでくれた事、楽しんでくれた事、じゃんけんマシーンは一言だけ少女に感謝の言葉を告げた。


 ≪次回予告≫


 離れ離れは寂しいね 離れ離れは楽でいいよ 一緒にいると楽しいね 一緒にいるとケンカをするよ あの人は今なにしてるのかしら…… あいつは俺を探してるのかな…… 逢いたいよ…… どんな顔して逢えばいいんだろう…… 一対、ニコイチ、パートナー、番………夫婦

 かき氷店でもいろいろありましたね(*´艸`*) 作中で登場したかき氷を商品化したいという野望があったりなかったり。 そして、私は絵心が無いのでゆきおんなちゃんの微笑みの頭で想像してもらうしかないのが悔しい! なにはともあれ【ぼくと花子さんと濡れ女】はこれで終わりです!次の話も楽しみに待っててもらえると嬉しいです! それでは

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