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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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76話 ぼくと花子さんと濡れ女⑩

 〜前回のあらすじ〜


 自分の体質を治したいと言い出したゆきおんな。だが、それを聞いたぼくは想いやりが込められた説教。そして、ゆきおんなに良い変化が起きたのだった。

「見~つけた♪」


「見つけましたぁ♪」


 別行動をしていた口裂け女&お菊ペアがぼくとゆきおんなの所へやって来た。別行動といっても服に夢中な2人を放置してゆきおんなの方を優先しただけなのだ。


(早めに戻るつもりだったのに…口裂け女さん、怒ってないかな?)


 ぼくは別行動したのを咎められるかと不安になるが、心配はないだろう。ぼく達を見つけた時のあの声にはそのような雰囲気は微塵も感じられないからだ。


「あ、ゆきちゃん、すごく嬉しそうだね~♪」


「うん」


 先程、ぼくに微笑みを見せたのも一時の出来事、今はいつも通りの表情で答える。驚くべきなのは機嫌の良さを察知した口裂け女だ。女の勘なのか付き合いの長さなのか…謎だ。


「口裂け女」


「わっ!ゆきちゃん、どうしたの?甘えん坊さんなの?それになんか、あったか~い♪」


 ゆきおんなは突然、口裂け女に抱きついた。


「菊」


 口裂け女から離れるとお菊に向かって両手を広げた。


「え、私も?……はぁい♪あったかいですぅ♪」


 ガシャーンッ


 お菊は今日が初対面のゆきおんなの行動に戸惑いつつも快く抱きしめる。尚、手に持っていたお皿を全て手放し割れた。


(温かく感じたのはぼくの気のせいじゃなかったんだ)


 ぼくだけに起きた特別な出来事だと思っていた事が他の2人にも起きている。ゆきおんなに外見ではわからない変化が起きていた。


「ゆきちゃん、ホントにどうしたの?」


「好き、伝える」


 ぼくがゆきおんなの体質…能力を好きを伝える素敵な能力と言ったせいだろう。先程の行為は好きを体全部で伝える為の行為だったのだ。


「これは少年の影響なのかな~?」


「ど、どうなんでしょう?」


 口裂け女はイタズラっぽい表情でぼくに尋ねるがぼくは照れくささから顔を逸らす。


「あ、口裂け女さん達は服どうでした?」


 話題を逸らす為に口裂け女の好きそうな話題を出す。


「すっごく楽しかったよ~♪ね?お菊ちゃん」


「はい、楽しかったですぅ。それにいろいろ新しい事も出来るようになりました♪」


 そう言うとお菊は宙に浮く。


「えい!」


 続いてゆきおんなの髪が風も無いのに不自然に動く。


「そして…ほぉら♪」


 目の前でお菊は白のワンピースに早着替え。


「八さんもワンピース似合いますけど、お菊さんも似合いますね」


 ぼくは浮遊能力、ポルターガイストのような触れずに物を動かす能力、早着替え、それらの能力には興味を示さず服の感想を述べる。


「ありがとうございますぅ」


 本人もそこは気にならなかったのか、感想への礼を言う。


「お菊ちゃんが友達になってくれてよかったよ~♪」


「くすぐったいですぅ♪」


 口裂け女のスキンシップを嫌がる事なく受け入れる。


「かき氷、行く?」


 2人の仲の良い光景に空気を読まずにゆきおんなは口を開く。映画、ショッピング…その次の予定はかき氷。


「そだね~」


 口裂け女は満足したらしくゆきおんなの言葉に賛同。


「きみは見たいのある?」


「ないですよ。ぼくもかき氷で賛成です」


 ぼくはすでに映画を見た事で満足していた。あとはゆきおんなをどれだけ楽しませる事が出来るかがぼくの仕事だ。

 

「あのぅ…私もいいですか?」


「うん」


 1人メンバーが増え、いざ、かき氷専門店へ……という流れなのだが、お札を使い移動するのだ。人目があるこの場所で今すぐにという訳にはいかない。


「ここは人目が多いですから、移動しましょうか」


「うん」


「おっけ~」


「はい♪」


 ぼくの提案に3人は賛成。


「どこに行く?」


「んー、駐車場に行きましょう」


 このデパートに来た時に人の目が少ない事は確認済みの駐車場を目指すため、まずはエレベーターへ。


 エレベーターの前でエレベーター待ち。それまでの道中、お菊は奇跡的に転倒する事はなかった。


 チンッ


 エレベーターが到着。ぼくとゆきおんなが最初に乗り込む。続いて口裂け女、遅れてお菊が乗ろうとするが…


「はみゅっ」


 ガシャーンッ


 エレベーター手前で転倒。上半身だけはエレベーター内に入っている。するとエレベーターのドアが動き出した。エレベーターのドアは一定時間操作しないと自動で閉まる。もちろん事故防止のためのセンサーもある。なのでドアに挟まれる心配はないのだが、いまエレベーター内に上半身、その外に下半身、その2つの空間に跨がるお菊の体は見事にドアに挟まれた。


「きゃああああああぁぁ」


 それを見た口裂け女は絶叫。ぼくは冷静に駐車場のある⑤のボタンを押しエレベーターは動き出す。ぼくが冷静なのはドアに挟まれた人物が幽霊のお菊だからだ。見た目的にはヤバイが、物をすり抜ける幽霊にはダメージはない。だが、お菊本人はなぜか倒れたまま微動だにしない。そして、エレベーターは動き出す。不幸中の幸いなのは階層を移動するエレベーターと一緒にお菊の上半身も移動してる事だ。


 チンッ


 5階に到着。ドアが開くとちゃんとお菊の下半身も5階に到着してる事が確認出来た。


「お菊ちゃ~ん!」


「私…生きてますぅ?」


 口裂け女に抱き起こされたお菊は自分が生きてるかを確認する。ドアに挟まれている時、微動だにしなかったのは自分が死んだと思っていたからのようだ。


「うん、生きてるよ~」


 口裂け女はお菊を強く抱きしめる。


「そこに居たらまた挟まれますよ」


 ぼくは開くボタンを押しながら2人に言うと、2人は慌ててその場から離れる。そして、ぼくとゆきおんなもエレベーターから降りた。

 ゆきおんなの好きを伝える方法、可愛いですね(*´∀`*) そして、このデートも終盤に入りました! それでは

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