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ぼくと花子さん  作者: 大器晩成の凡人
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63話 ぼくと花子さんと玉藻前⑥

 ファストフード店で食事をする事になった二人。玉藻前の奢りという事だが、お金の知識が皆無な彼女にぼくは諭吉さんと一葉さんと英世さんを紹介したのだった。

「ところで此れはどうやって食べるのかえ?」


 彼女はテーブルの上に置いてある四角い箱を指で突く。


「これはですね、中にギガバーガーが入ってるんです」


 ぼくが箱を開けるとギガバーガーがお目見え。


「おお!」


 彼女は目を輝かせる。このギガバーガーは単純に説明するなら、通常のハンバーガーを二段重ねにしたような商品だ。見た目的なインパクトから特別感を出すためか、そうせざるを得ないのか、このギガバーガーだけ箱型の容器に入れられている。


「これはわかりますか?」


 ぼくはストローを手に取り彼女に問う。


「それは知ってるのじゃ!すとろぉであろう?」


「知ってたんですね、以外です。それじゃあ、使い方もわかりますか?」


「任せるのじゃ!」


 自信たっぷりにコーラの入った紙コップを手に取る。紙コップには半透明の蓋がされていて、その中央に十字の切れ込みがあり、そこを目掛けてストローを突き刺した。


「どうじゃ♪」


「完璧です!」


 ぼくは拍手。


「人の子に馳走になった時に教わったのじゃ」


「じゃあ、食べましょうか……と、その前に小銭さん達を片付けましょう。行儀が悪いですし」


 ぼくはお金の仕組みを教える為にテーブルの上に並べた小銭さん達を片付ける。


「のじゃ、のじゃ」


 彼女も紙幣と小銭さん達を巾着袋に仕舞う。


「それじゃあ、今度こそ…いただきます」


「いただきます。のじゃ」


(ストローの使い方を知ってるなら飲み方も知ってるだろうし、ギガバーガーをどう食べるか観察してみよう)


 『いただきます』と言ったものの彼女の観察の為、最初に口にしたのはコーラだった。


「うぬぬぅ…」


 胸下で腕を組みギガバーガーとにらめっこする彼女。


「こうやって食べるんですよ!」


 にらめっこが終わりそうにないと思ったぼくはギガバーガーを両手で持ちかぶり付いた。


「なんと!ないふやふぉうくを使うのではないのかえ?」


「はい、基本はこうやって食べるんですよ。そして…」


 ぼくは両手持ちから片手に持ち替え、空いた方の手でコーラを持ち


 ズズーッ


 勢いよく飲む。


「ぷはっ、こうです!」


 ジャンクフード+コーラの美味しさを伝えるため一気に飲み干した。


「妾もやってみるのじゃ!はむっ…もぐもぐもぐ…」


 彼女も同じようにギガバーガーを両手で持ちかぶり付く。


「…ごくん、次はこうじゃな」


 両手持ちから片手に持ち替えると空いた方の手でコーラを手に取ると


 ズズーッ


 勢いよく飲む。だが…


「むぐっ!けほっけほっ」


 咳き込んでしまった。


「大丈夫ですか?」


「なんじゃ!この飲み物は!?表現が難しいが刺激的なのじゃ♪」


 驚きで咳き込んでしまったようだが、決して不快な味ではなかったのだと彼女の表情を見ればわかる。


「シュワシュワして美味しいですよね」


「しゅわしゅわ…か、うむ!美味じゃ♪それにぎがばぁがぁもじゃ♪」


 そう言うとギガバーガーにかぶり付き、コーラを飲む。それを交互に繰り返した。ファーストフードの理想的な食べ方を知った彼女を見ながら、ぼくは手持ち無沙汰になった手をギガバーガーへ。


「こぉら、飲むかえ?」


 そんなぼくを気遣ってか彼女は自分のコーラを差し出す。小学6年生の男子にとって間接キスはハードルが高い。相手が同性、異性問わず高いのだ。それに彼女が口を着けたストローの先端には真っ赤な口紅の跡があり、否が応でも間接キスを意識してしまう。


「だ、大丈夫です」


 飲み物は必要ないと言わんばかりにギガバーガーに食らいつく。


「そうかえ?」


 彼女は少し寂しそうに残りのコーラを飲み干した。


「ふぅ、お腹いっぱいです」


「妾も満足なのじゃ」


 食事を終えた2人はまったりしてると


「あのー、ちょっといいですか?」


 女性が話しかけてきた。


「なんですか?」


「あ、君じゃなくて、こちらの方です」


 女性は彼女に視線を向ける。


「妾かえ?」


「はい!もしかしてですけど、バンパイア一座の方ですか?」


 思いもよらぬ場所で思いもよらぬ人物の名前が出てきた。


「誰じゃ、そのばんぱいあとやらは?」


「ごめんなさい!見た目が派手だったので関係者かと…失礼しました!」


 女性は謝罪し足早に立ち去っていった。


(バンパイアさん達のファンかな?ていうか一座って…いつか見てみたいなぁ)


「なんだったのじゃ?」


 訳のわからない質問をされ、その意図もわからず釈然としない様子の彼女。


「あはは」


 苦笑い。


「この後はどうします?食事もゲームもして、完璧とは言いませんがデートとして成立してると思いますし解散します?」


「ちょ、ちょっと待っておくれ!」


 慌てる彼女。


「やっぱり物足りなかったですか?」


「そ、そうではないのじゃ!少し…頼みが……の…」


 急に恥じらう彼女。デートで解散の話題が出た時、女性の言動や行動は非常に重要な意味を持つ。それは逆の立場でも同じだが今回は男性視点で言わせて欲しい。解散の話題が出た時のパターンとしては2パターン、まずはあっさり解散するパターン。これは健全で普通なパターン。差異があるとすれば自宅もしくは最寄り駅まで見送りをするかどうかだろう。次のパターンとしては女性がデートの延長を望むパターン。このパターンは大人な関係の場合に起こりやすい。時間帯次第だが、その後は宿泊施設や男性の自宅に泊まる事になるだろう。そして男性にとって、この後者のパターンに大きな意味を持つ。女性がデートの延長を望む、それはデートの評価、男として評価が高評価でないとありえない。


 さて、解散の話題が出たが、彼女の様子を見ると後者のパターンが当てはまるが……彼女の頼みとは


「花子…さんと和解したいのじゃ!」


「…ぼくに手伝って欲しいんですね。いいですよ」


 和解という言葉が彼女の口から出るとは思ってなかったぼくは一瞬沈黙したが快く引き受けた。


「そうか!頼まれてくれるか!ならば、善は急げじゃ」


 彼女は勢いよく席を立つ。


「その前に食べた物を片付けましょう」


「そうじゃな!」


 2人はテーブルの上のゴミを片付けファーストフード店を後にした。

 さて、今回はバンパイアの事を尋ねて来た謎の女性が登場しましたね。これはバンパイア達が本当に社会に溶け込み活動してるっていう伏線回収だったりします。他にも理由があるのですが……(*´艸`*) 

 そして、お食事デートも終わり、ようやく花子さん出番……かも? それでは

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