57話 ぼくと花子さんと透明人間③
「おいでませぇ♪」
ポンッ
花子さんの呼び出しにコックリさん登場。
「なによ?」
花子さんの呼び出された時は大抵、このように不機嫌だ。
「新しい知り合いが出来たから紹介でもしようと思ったのよ」
「俺ちゃんは透明人間!そこのケモミミ幼女ちゃんは?」
透明人間はコックリさんの前に飛び込んで来た。
「こいつ、なに?チャラそうで生理的に受け付けないわ」
「花子ちゃんと同じ粗塩対応……傷つくぜ」
「なんなのよ!こんなヤツ紹介するために呼んだわけ?」
ご立腹のコックリさん。
「他にも居るわよ」
花子さんはコックリさんの背後を指差す。そっちの方が本命だ。
「ん?なによ、こいつらー!?」
予想通りの反応。そして尻餅をつき追い詰められる。
「だ、だべないでぇ」
これも予想通り。だが、お菊の時は法則が崩れたが、今回は…
「ワォーン」
オオカミ男は遠吠え。
「ぱぱぱぱぱぱぱ」
半魚人は『ぱ』を連呼。
「ぎゅあああああぁ」
コックリさんは怯える。
「ワォーン」
再びオオカミ男は遠吠え。
「ぱぱぱぱぱぱぱ」
半魚人はひたすら『ぱ』を連呼。
「ぎゅあああああぁ」
こちらも変わらず絶叫。
「ワォーン」
またまた遠吠え。
「ぱぱぱぱぱぱぱ」
ひたすら続く『ぱ』の連呼。
「ぽぽぽぽぽぽぽぽ」
なにか共鳴するものがあったのか八も参加。
「ぎゅあああああぁ」
コックリさんは3人に囲まれ恐怖が倍増。今回は救いはなく、ただただ怯える事になったコックリさんでした。
「なぁ?あの幼女ちゃん、助けなくていいのかい?」
「いいのよ!私の楽しみでもあるんだから」
離れた場所で眺める2人。
「花子さんはそういう人なんですよ」
笑い混じりでぼくは言う。
「俺ちゃんも気をつけないとな…あ!そうだ!カッパちゃんはまだ来ないのかい?」
「あんた、カッパと知り合いなの?」
「いやいや、今朝、少年ちゃんの事を見てたのよ。半魚人が滅多に居ない同族に会えたから、どうしても仲良くなりたいらしくてな。仕方なく俺ちゃんも同行してるのよ。夕方にここに来いって言ってたんだけどなぁ」
今朝、あの場に透明人間も居て事の経緯を見ていたらしい。
「勝手に待ち合わせ場所にしないでほしいわね」
不満そうに言う。
「俺ちゃんが指定したわけじゃないしなぁ」
「おぅ!すでに来客が来てるじゅあないかぃ」
噂をすればなんとやら…カッパ登場。
「あんた!ここを待ち合わせ場所にするんじゃないわよ!命の恩人はともかく、変態まで来てるのよ!」
「おいおい、俺ちゃんは紳士のつもりだぜ」
「うっさい!私の石鹸に土下座しなさいよ!」
透明人間を睨みつける。
「状況がわからねぇが、許してくれぃ」
「ぱぱぱ」
カッパに気づいた半魚人は戯れを中断し会話に入ってきた。尚、残りの2人はコックリさんとの戯れを継続。
「待たせてすまなかったぃ、えーと…」
「半魚人さんです」
ぼくは喋れない本人の代わりに紹介。
「半魚人って言うのかぃ。じゃあ、礼をするから付いてきてくれぃ。たくさん、きゅうりを用意してあるぜぃ」
「ぱ!」
頷く。
「来るかぃ?透明の人?あと犬っころ」
「ワン!」
オオカミ男も行くようだ。
「ふぅ、気乗りしないが俺ちゃんも行くぜ」
「無理に付き合わなくてもいいんだぜぃ?」
気遣う。
「いんや、こいつら放っておけないからな」
「優しいんですね」
「褒めてくれて嬉しいぜ。覚えときな少年ちゃん、[常識人は苦労人]ってな」
「誰の言葉ですか?」
「俺ちゃん自身が学んだ俺ちゃんの言葉だ」
ぼくの問いに親指を立て答えた…ように見えた。
「騒がしくしてすまなかったぃ、いつか礼をさせてもらうぜぃ」
カッパは後ろ手に手を振り出ていった。
「どうせ、きゅうりでしょ。いらないわよ」
すでに姿が見えなくなったカッパに言う。
「じゃあな♪少年ちゃん」
「ぱぱ」
「ワン!」
3人は順番に挨拶をし出ていった。
「待ちなさい!透明」
「なんだい?花子ちゃん」
呼び止められた透明人間はトイレの出入り口から、ひょっこり顔を覗かせてる…ようだ。
「あんたの努力だけど…ちゃんと報われてるわよ」
「そっかぁ、よかった♪よかった♪」
透明人間は笑みをこぼした………かもしれない。
「いいこと聞けたし、今度こそ、じゃあな!お二人ちゃん♪」
「はい!また今度」
「はいはい、さっさと行きなさい」
別れを告げた透明人間は立ち去っていった。
「なんか、また変な知り合いが増えたわね」
「いいじゃないですか!楽しそうな人達でしたし……それより、あれどうします?」
2人の視線の先には
「ぽぽぽぽぽぽぽぽ」
夢中で戯れる八。
「ぎゅあああああぁ」
怯え続けるコックリさん。正直、なにが怖いのかわからないが、そういうシステムだと思えばよいのかもしれない。
【おまけ】
「ねぇ、今日はみんなとサッカーしに行こうよー」
旧校舎前に居る取り巻きは訴える。
「うるせぇ!いいから行くぞ!」
「いーやーだーよー」
抵抗する取り巻きを引っ張るガキ大将。すると
「やめろ!……ワン」
「っ!」
ガキ大将は少し驚いた。いつもならここで得たいの知れない者が現れるパターンだからだ。だが、そこに居たのはただのイケメンだった。
「無理強いはよくない…ワン」
訂正しよう…語尾が少し変だ。更に見た目もやや特徴的だ。髪は腰辺りまで伸びた茶髪で上半身は服を着ていない。下半身は短パンのように見えるが元々はジーパンかなにかだったのだろう、裾はビリビリに破けている。そして、いちばん目が行くのが首だ。趣味なのかオシャレなのか首輪を着けている。首輪からは鎖が伸びている。なんというか…ワイルドである。
「な、なんだよ?おじさんには関係ないだろ」
「子供はもっと有意義に時間を使うべきだワン。放課後の時間が勿体ないワン。遊べる時間も有限なのだか…ら……ううぅ…」
イケメンは旧校舎中央上部にある時計を見る。すると突然、胸を押さえ苦しみ出した。
「大丈夫ですか?」
「私から……離れる…ワン。丸い物を…見てしまって……もう…止められないワン…」
「丸い物?」
取り巻きはイケメンが先程まで見ていた時計を見る。時計は円形だった。そもそも時計は円形の物が多い…イケメンにとっては胸を押さえてしまうほど一大事なのだろうか。
「ううぅ…う…グル……グルルゥ」
呻き声は獣のような唸り声に変わり、体にも異変が起き始めた。全身の体毛が濃くなり、口は前に突き出し骨格そのものが変形していった。状態が安定したのか唸り声が止む。
「やばいよ、なんかやばいよ!」
「うるせぇ!わかってる!」
2人の前に居たイケメンはほぼ別人の姿に変わっていた。それは
一言で言うなら獣…そして獣は獣らしく
「ワォーン」
雄叫びを上げた。
「ぎゃああああ」
「ぎゃぁぁぁ」
≪次回予告≫
彼女は気高く孤高で美しい 彼女に勝てる妖怪など数少ない だが、彼女は敗北を知り行く当てもなく町を彷徨う 数々の悪行を重ねた彼女には当然の報いかもしれない 彼女は人に憎まれ、彼女も人を憎む そんな彼女が人の子に恋をする そう……恋物語である。
透明人間一行ですが、キャラクターの方向性としては透明人間はチャラくてエロいキャラです。きっと飛頭蛮やサキュバスとも気が合うでしょう。 半魚人は……難しいです。どんなキャラになってくかきまってません。 そして、オオカミ男は本編で人間状態で活躍する機会は少ないと思ってください!イケメンだけど残念です(*´艸`*) それでは