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アレン達の乗る馬が、パカラッパカラッと軽快な足音を立てながら舗装された道を進む。
「ねぇ、王都での用事って何?」
「それは...あー、教会で旅の祈り、魔法道具屋でアレンの道具...杖?を買って、世界地図が探して見つかれば手に入れようって感じだな」
「教会なら街にもあったじゃない...何でわざわざ王都の教会でお祈りするの?」
「お前も八歳のお祝いをしただろ?」
「えぇ、街の教会でね」
「その時俺達は、王都の教会に行ったんだ」
「だから旅路を祈るのはそこでしたい、そこが良いんだ」
「ふーん...そうなのね」
「あぁ」
数回、休みを挟みながら進み、王都イルムへ到着した。
「やっと着いた、早速教会に向かうよ」
馬を返却し、身体検査を受けて王都内へ入る。
教会まで寄り道せず、歩いて向かう。
「綺麗な街並みね」
ミナは初めて来た王都に感動し、周りを見回す。
自分も記憶にある王都の姿より美しく見え、感動する。
都市開発が進んだこと、以前より成長、背が伸びたことで街並みを良く観ることができているのだろう。
それでも、懐かしく思う。
ここに来なければ、村の外、遠く離れた場所へ行こうなんて考えなかったかもしれない。
そんなことを考え、教会の前へ着く。
少しドキドキする。
このドキドキはある個人的な期待のせいだ。
それは、聖女様に一目会えるかもというものだ。
できれば一言話をしたいが難しいだろう。
しかし、聖女様の日程は知らない、知るわけがない、なので居るかどうかは運頼み、居てくれれば良いんだけど。
皆で教会に入る。
中にいたのは、ほとんどが参拝者、聖女様の姿は見えなかった。
まぁ、残念だけど仕方ない。
参拝者の列に並び、聖母ダリア像の前で祈りを捧げる。
「お祈りしたし、僕は魔法道具屋に行くから二人は地図の方お願い」
「集合はどうする?」
「道の途中にレストランでどうかな?」
「レストランね、了解」
「あぁ、わかった」
待ち合わせ場所を決め、教会を出て魔法道具屋へ行こうとする。
教会を出てすぐ目の前に一台の馬車が停まっているのが見えた。
見たところ普通の送迎馬車ではない、身分のある者が乗るような馬車だ。装飾が豪華な仕様になっている。
貴族が教会に祈りを捧げにでも来たのだろう、それより魔法道具屋へ行こうと思い、その場を去ろうとしたが、見覚えのある女性が馬車から降りてきた。
「ありがとうございます」
「いえ、それでは」
「えぇ、またお願いしますね」
馬車から降りてきた女性が御者に礼を言うと去っていった。
女性は教会へ向かってくる。
「っ!こんにちは」
「「「こんにちは」」」
彼女は僕達に挨拶をくれた。
近くで彼女を見て思う。
彼女、聖女様は以前と変わらず、いや、聖女様も以前より綺麗に見える。
「皆さん、もうお祈りはお済みですか?」
「はい、先ほどしました」
「そうですか...ところで皆さんは旅の方ですか?」
「はい、旅の途中です」
「ふふっやっぱり、荷物が多いと思いました」
「旅ですか...良いですね、旅、楽しんで下さいね」
「それでは、さようなら」
聖女様が行ってしまう。
「あ、あの、聖女様」
「はい?」
気がはやり、止めてしまう。
「その、覚えていないかもしれませんが...十年前、貴方に言葉を貰ったお陰で僕は、自分の力を知り、夢を見つける事ができました」
「だから...その...ありがとうございました!」
聖女様に伝えたかった感謝を勢い任せに伝えてしまった。
「そうだったんですか...」
聖女様は少し考えている。
「夢、頑張って下さいね、では」
そう言い、中へ入っていった。
「ちょっとアレン、急に何?びっくりしたじゃない...」
「あぁ、俺も驚いた...どうしたんだ?」
「ごめん...感謝を伝えたくて」
二人は、ふーん...そう、というような顔になった。
「ごめんね」
「それより、店に行こう」
「そうだったな、じゃ、また後でな」
「じゃーね」
「えぇ、レストランでね」
二手に別れ教会を離れた。
扉を開けて店に入る。
カランカランと来店を知らせる鈴がなる。
「いらっしゃいませ」
カウンターから店員が声を出す。
中にいた他の客、身なりの良い女性とその従者らしき人とすれ違う。
彼女は、僕のことをチラリと、一瞬見て去っていった。
「本日はどのような商品をお探しで?」
店員が声をかけてくる。
「杖を探している」
「杖ですか...でしたらこちらにいくつか種類があります」
「手に取っていただいてもよろしいですよ」
店員に案内された所には木製の杖、金属の杖などがあった。
地面から膝までの短いものから肩まであるものまで長さも様々だ。
一つ手に取ってみる。
短い木の杖だ。
手に取ってみたが、なんの変哲もない木の枝のようだった。
試しに魔力を込めてみる。
そうすると、驚いたことに杖は自分の体の一部のように感じられた。
今まで、魔法道具ではないものに魔力を込めると、割れたり変形したりしてしまうことがあった。
だが、これなら壊れる心配がないと安心できる。
他の杖も確かめてみる。
どれも使いやすそうだ。
「どうです...気に入ったものはありますか?」
「えぇ、どれも良さそうです」
「どれも変わらず?」
「はい」
「おや...そうですか」
店員は少し含みのある言いぐさだった。
それにしても迷う。
肩まである杖にしたいが、荷物としては邪魔になりやすい。
それを考えると短い杖の方が良いが、うーん。
ちょっと考えを持ちやすさに変え、一つずつ持ってみる。
いや、やっぱり長い方が良いな。
と、持った中で軽かった木の枝を選んだ。
「これをください」
「かしこまりました」
杖は購入できた、地図の方はどうかな。
地図を探してくれている二人を思い、待ち合わせ場所へ向かった。
「ミナ、そっちの店にはあったか?」
「ううん、無かった」
「なかなか見つからないな」
探し始めて数店回ったが、まだ見つからなかった。
「あと数店見たら、レストラン行くぞ」
「見つからなくても?」
「あぁ、暗くなるからな」
「わかった」
残り数店と決め、店に入る。
地図を取り扱っている棚に寄り、探す。
いくつか手に取って開く。
大陸全土が描かれたものを見つけた。
「これだ」
早速購入し、ミナに伝えに行く。
「ミナ、見てくれ」
「見つかったのね、よかった」
「あぁ、アレンと合流して旅の道筋の確認するぞ」
「はーい」
アレンの待つレストランへ向かっていった。
レストランのテーブル席に座り、地図を広げる。
「おぉ...これが...」
自分の持つ地図と見比べる。
地名などは無いが、広い範囲の地形や国の規模が詳細に描かれている。
知らない場所が増え、どんな所かワクワクする。
「じゃあ、確認するけど...ここが僕達のいるイルバート王国の王都イルム」
「で、僕達が次に行くのは西のこのゼナティス帝国、温泉街はここね」
旅の道筋を指を差しながら示していく。
「帝国から南の共和国、その南西の獣人が住む地域、上にいってドワーフの住む地域、そこから右にエルフの住む地域」
「うん、本に書いてあった通りだね」
「そうみたいだな」
「でね、ミナにはまだ言ってなかったと思うけど、さっき示した場所を順番に回っていく予定だから」
「滞在期間とかは決めてるの?」
「いや、決めてないよ」
「そこでやりたいことができたり、行きたい所が増えたり、変わったりするから細かくは考えてないんだ」
「ミナも何か行きたい場所とかあったら言ってね」
「えぇ、わかった」
「それで明日は、帝国の街まで馬車が出てるからそれに乗っていくよ」
後は、雑談をしながらご飯を食べ、宿で泊った。
一夜明け、帝国への馬車を出す御者を探しに王都の西門の外に来ていた。
意外に静かだったが、馬車の側で馬を撫でている人を見つけた。
「すみません、帝国へ乗せていってもらえませんか?」
「なに?帝国へ?」
「あんたら帝国の噂を知らないのかい?」
帝国の噂?何だ?
「どういうことですか?」
「知らないのか...いや、まだ情報が届いていないのか」
「まぁ、俺も知り合いから聞いた話だから正しいかわからないが...帝国は紛争間近、若しくは紛争中なんだよ」
「「「えっ!」」」




