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三人で活動してから七日経った。
ミナは弓の扱いに慣れたようで、初日に比べ手際が良くなっていた。
「よし、今日は三匹ね」
今回は鹿の討伐依頼を受けた。
森に入り、探し始めてからすぐに鹿を見つけ、射止める。
首尾よく三匹仕留めることができたので、早く終わらせることができた。
「血抜き、するよ」
「うぅ、血抜きぃ...まだ慣れないのよね」
慣れないと言いつつ、その手際は良く、ミナは顔色を悪くすることがなくなっていた。
ギルドへの帰り道、そろそろこの街を発つという話になった。
「ミナ、もう慣れたでしょ」
「そろそろ答えを出しても良いと思うけど?」
「そうだよね...」
「何?まだ迷ってるの?」
「その、ちょっと...考えてることがあって...」
考え?こちらはできれば早めに決断してほしいんだけど。
「考えって?」
「それはその...」
ミナは口ごもる。
「その...私も付いてって良い?」
「「えっ」」
思いもよらぬ発言に二人で驚く。
「俺達に付いてくるってお前、街でそのまま暮らすか、村に移り住むかっていう話じゃなかったか?」
「何で、旅に出ようと思ったんだよ?」
「そうだよ、付いてくる理由も無いよね」
そう、この街で仲間を作るか村に行くか選べば良い話。
何で付いてくるんだ?
「私...気付いたの...」
二人で次に続く言葉に集中する。
「あなた達と一緒ならたくさん稼げるって」
「「は?」」
二人で彼女の言葉に唖然とした。
私はこの街の孤児院で育った。
院にいたのは私を含め年の離れた数人、私は友達を作ることができなかった。
孤児院を出て、働いてからも長く続けられなかったから作れないでいた。
ギルドへ登録してからもそれは変わらなかった。
他の会員は年上が多くて女性も少ないし、怖じ気づいていた。
一人でも依頼はこなせるし、仲間を募らなくても平気だと自分に言い聞かせ続けていた。
登録してから一ヶ月後、転機が訪れた。
同い年くらいの二人がギルドへ来たのだ。
その日、私は勇気を出して彼らに声をかけた。
私だって街に愛着がある、できれば離れたくはなかった。
でも、彼らと離れても今までと同じように暮らせるとは限らない。
それなら、他の人と組めば良いという話だけど乗り気にはなれなかった。
それに彼らに付いていく理由はお金だけじゃない。
一緒にいる時に彼らがなぜ、旅をするのかを詳しく聞いた。
未知の景色を見たい、ここで得られない経験を得たい、そんな二人の話に興味を持った。
その興味も理由のひとつだ。
それ以上に彼らと離れたくないと思ったのが、一番の理由だ。
彼らに狩りを教えてもらった、だから街でも村でも問題なく暮らせるだろう。
だが、どちらにも彼らはいない。
それはとても寂しい。
彼らは初めてできた友達で、短い日々だったが毎日を楽しく過ごせた、離れるのは辛い。
けど、こんな理由を伝えるのは恥ずかしいから黙っておく。
「あぁ...そう...」
「ミナがそうしたいなら断る理由がないから良いけど」
「あっはっは!良いよ俺も、賛成」
「歓迎する」
断られるかもなんて思ったが、アレンは若干呆れながら、ジェイルは大きく笑いながら私の同行を了承してくれた。
「でも、色々な所を巡るつもりだから何が起きるのか、僕達にもわからない」
「それでも良いっていうなら、付いてきて」
「えぇ、わかってる、だから一緒に行かせて」
「うん..まぁ、行くなら準備をしなくちゃね」
「準備?何を揃えるの?」
「例えば、携帯食糧とか野宿用のテントとか、諸々の旅の支度」
「えっ、野宿するの?」
「いや、一応の準備だよ、積極的に野宿する訳じゃない...最低限の荷物でも数が多くて、重くなるけどね」
「今すぐにでも行ける?」
「行ける」
「じゃあ、買いに行こうか」
ミナの旅の荷物を揃えるため、街の店を回った。
足りない荷物はリュックやテントなどですぐに済んだ。
一通りの荷物を買い終えた後、ミナが旅の予定を聞いてきた。
「ねぇ、どこに向かうの?」
「まず王都へ行く、そこで用事を済ませて帝国の温泉街に向かうよ」
「王都かぁ...行ったことないんだよね」
「どうやって行くの?歩き?」
「馬を借りて行く...よね」
アレンはジェイルに確認をする。
「あぁ、荷物があるから歩きで向かうのは大変だからな」
「そういうことで、馬に乗って向かうよ」
「私、馬に乗ったことない」
「それなら、ジェイルと相乗りしてもらおうかな」
「荷物は僕が乗る馬に運んでもらえば良いし、心配しなくて良いよ」
「お願い、ジェイル」
「あぁ、わかった」
「よろしくねジェイル」
「じゃあ、今日はもう遅いから明日の朝に出発にして、解散」
「僕達は宿に戻るよ、じゃあねミナ」
「じゃあな」
「えぇ、お休み」
翌朝、王都へ向かうため街の北へ来ていた。
「二人ともお待たせ、馬借りてきたよ」
「この子に荷物預けてね」
僕が乗る馬に皆の荷物を持たせる。
ジェイルはその際、馬を撫で、よろしくなと声をかけていた。
荷物を持たせ終え、馬に乗る。
「ほら、後ろに...」
「う、うん」
ミナはジェイルの手を借り、後ろへ乗る。
「二人とも、準備は良い?」
「あぁ、出発できる」
「大丈夫」
「よし、じゃあ出発!」
王都へ向け出発した。




