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僕達が向かっているはソブラという街。
村で採れた野菜や毛皮などの素材を売るときにいつも来ている。
王都から近く、商いで発展してきたため多くの店や住宅などがあり、ここら辺の村人達は皆憧れている。
街へ向かう道中、野生動物に出会うことはなかったが大荷物を持ち歩く人や旅商人などを見かけた。
野生動物を見かけなかったのは残念だ。
歩き続けたせいで、二人とも小腹が空いていたから狩って腹を満たそうと思ったが、それができない。
そのまま歩き続けていると街が見えてきた。
「やっと着いたな」
「ふー...あぁ、ちょっと歩き疲れたから腹を満たすためにも、どこか店に寄ってこうぜ」
ジェイルの提案に同意し、休憩してから当初の目的地に向かった。
僕達が向かったのはギルドと呼ばれる施設。
このギルドというのは、冒険者協会が各地に建てた施設で周辺の住民から依頼を集め会員へ仕事を提供している。
依頼は短期のものが多いため、道中の路銭を稼ぐのにうってつけだ。
そのため会員登録をしようと向かっている。
ギルドはシンボルマークに鳥が描かれている。
施設にそのマークを取り付けているので見つけやすい。
シンボルマークを見つけ、ジェイルに示す。
「ここがギルドか」
「そうみたいだね、早速入ろう」
ギルドの中は思っいたより人がいた。
酒場と併設しているようで、そちらが賑わっていた。
そんなことは置いておき、ギルドの受付カウンターへ向かう。
「こんにちは、すみません会員登録しにきたんですけど..」
「はい、こんにちは会員登録ですね後ろの方も一緒ですか?」
「はい、一緒です」
「では、少々お待ち下さい」
そう言って、受付の奥へ向かった。
しばらくして、紙を持って帰ってきた。
「こちらに、名前、年齢など記入して下さい」
すぐに書き終え渡す。
「アレンさんと、ジェイルさんですね...」
「確認しました」
「では、こちらを読んで待っていて下さい」
ギルドの案内が書かれた紙を渡された。
近くの席に座り読みながら待つ。
案内には依頼の注意事項や施設の利用方法などが簡単に書かれていた。
しばらくすると、
「アレンさーん、ジェイルさーん」
受付から声が聞こえた。
「こちら登録が完了したので、ギルドカードのお渡しとなります」
カードを受け取り見てみる。
カードは金属で出来ており、名前と番号が刻まれている。
「ギルドでの諸々の受付はそちらを提示下さい」
「これで、登録は終わりです」
「ありがとうございました」
受付に礼をして離れる。
「登録も終わったことだし、王都へ行くか、アレン」
「いや、まだだよ」
「ここでも旅に必要な物が買えるから、それを揃えてからだね」
「そっか、まず何から買う?」
「そうだな...」
と、次の予定を話ながらギルドを出ようとすると女性が声をかけてきた。
「ねぇ、そこの二人ちょっといい?」
「何かよう?」
返事をして振り返る。
後ろにいたのは見知らぬ女性、見たところ同い年のようだ。
「用ってのはその...」
「私をあなた達の仲間に入れてほしいの」
「いや、断る」
「仲間は求めてない」
僕はキッパリと断った。
「そこをなんとかぁ...」
だが彼女は食い下がってきた。
別に、僕達でなくても良いと思うんだけど。
私だってすぐに了承されるだなんて思ってない。
はいと言われるまで頼み続けるつもり。
というか、仲間に入れてもらえないとかなり困る。
特に金銭的に!
ズルズルとたのみ続けていると私に呆れたのか、もうやめてくれと言い、彼はもう片方の彼と出て行こうとした。
「もう付き合いきれない」
「行くよ、ジェイル、日が暮れる」
あぁ、行ってしまう。
私が頼れそうなのは彼らぐらいしかいないのに...。
「待て、アレン」
「話ぐらい聞いても良いんじゃないか?」
意外にもジェイルと呼ばれる彼が止めてくれた。
「はぁ?何言ってるんだよ」
「話を聞いたところで、仲間が要らないことにはかわりない」
「期待させるだけ無駄だよ」
それでもアレンと呼ばれる彼の意見は変わらないようだ。
さすがに諦めるしかないか...。
「なに、話を聞くだけだ」
「それに、俺達は急いでる訳じゃないだろ?」
「いいじゃないか、それぐらい」
「それはそうだけど...」
「はぁ、わかった、わかったよ」
「話を聞いてあげる、それで良い?」
説得をしてくれたお陰で、折れてくれた。
これはチャンスだ。
チャンスは逃す訳にはいかない!
もちろん、はい!と答え、話を聞いてもらうことになった。
ギルドから場所を移し、近くの飲食店、そのテーブル席で話すことになった。
「それで、話を聞くんだけど...まずは自己紹介だね」
「僕はアレン、こっちはジェイル、よろしくね」
「君の名前は?」
「私はミナ、よろしく...お願いします」
何か面接みたいに緊張する。
「じゃあミナ、聞くんだけど」
「何で仲間が欲しいの?」
「それはその...お金が稼ぎやすいから...」
いや、これダメなやつじゃない?
お金が理由だと仲間に入れてもらえないんじゃない?
「お金?それなら無駄遣いしなければいいじゃないか」
「何に使ってるんだ?」
「えーと、家賃とか衣類とか食事代くらい...」
必要な物以外買ってないから無駄遣いはしてない。
「ん?それでお金が無いんなら、ギルドで依頼をこなすより、普通に店で働いた方が良いだろ」
「なぜ、そうしないんだ?」
「いや、働いてはいたんだけど...ミスが多くて...」
いくつか店を転々としたが、どこも損害を出し続けられなかった。
「なら、自分の村、故郷に戻ればいいんじゃないか?」
ジェイルが割り込む。
「私、孤児院で育ったから...いく宛が無くて...」
故郷と言ってもこの街、街の孤児院で育ったし、街以外に知り合いはいない。
「そうか...」
「ならさ、僕達の村に来れば?」
「家なら部屋の空きがあるし」
「えっ、良いの?」
「うん、皆なら迎え入れてくれるよ」
この誘いはとても有り難い。
喜んで受けたい、でもちょっと怖い。
「うーん、お願いしたいけど、知らないからなぁ」
「正直、街と比べて不便だけど」
「街での暮らしが厳しいなら村に移住した方が良いと思うけどね」
「そうだよね...んー...」
すぐに決められない。
できれば街を離れずにいたいんだけどなぁ。
というところで話の本筋を思い出した。
「てか、私はあなた達と仲間になりたいって言ってたんだけど?」
「そっちの方が早いし、簡単じゃない?」
「何でダメなの?」
話を戻して、ついでに理由を聞く。
「僕達は世界中を旅しようとしているんだ」
「この街にも長く留まらない」
「だから、仲間を組むつもりはない」
そういうこと...なら、時間をかけても無理ね。
そう思い、落ち込む。
「だったら、狩りとかどっちでも役立つことを知ってた方が良くないか?」
「ミナは弓とか使えるのか?」
ジェイルがまた割り込む。
「ううん、使えない」
「街へ残るにしても、村へ行くにしても弓の使い方を教えた方が良いな」
「ギルドの依頼ついでに教えるよ」
「良いか?ミナ」
できることが増えるのは嬉しい。
できることが多ければ稼ぎやすいだろう。
「私は良いよ」
「ジェイル...」
アレンは難色を示す。
「ギルドでの活動の仕方を覚えるついでだよ」
「どんな感じか早めに知ってた方が良いだろ?」
「一理ある、ジェイルが手伝いたいって言い続けるなら」
「もうわかった、構わない組むよ」
アレンが折れ、短期間だろうけど仲間に入れてくれた。
「よし、じゃあ早速...」
「待って、この時間からじゃ狩りは危険度が増す」
「明日にしよう」
「あぁ、そうだな、わかった」
「ミナ、そういうことで良い?」
「うん」
「じゃあ明日、ギルドで」
そう言って私達は飲食店を出た。
ミナと別れ、宿屋を探しながら話す。
「ジェイル、君、優し過ぎるよ」
「優しいのは良いことだけど」
「今後その優しさが、旅に災いを呼び寄せないことを祈るよ」
「あぁ、悪い」
そんなことを言いながら宿を見つけ、眠った。




