茶香炉
香りは気持ちを落ち着ける効果があります。
古いお茶がある。
これは私の父が亡くなった時の、香典返しとして持っていた余剰分の品だ
今の私はあまりお茶は飲まない。
嫌いなわけでは無いが、ヤカンから急須にお湯を注ぐとき、急須から湯呑みにお茶を注ぐときにどうしても火傷しそうになるからだ。
私は右手がちょっと不自由で、左手で物事の動作をほとんどこなす。
急須の蓋が外れないように左手の人差し指で蓋を押さえてお茶を注ぐのだが、それがめっぽう熱いのだ。
それが嫌でお茶から離れていた。
その香典返しのお茶が出てきた。
六年以上前のやつである。
量こそ少ないが、封も開けていない。
ここで貧乏性の私は悩むのである。
腐るものでは無いが六年前の新品………
飲む気が起きず、捨てることも抵抗がある。
一度だけ飲んでみたが、味覚障害のせいなのか年数のせいなのか味がよく分からなかった。
そんなときに目に入ったものがある。
香炉だ。
これは自分が入院がきっかけでタバコを辞めた時に、「タバコが吸いたくなったら香でも焚こう」と思いつきと衝動で買った中古品の香炉だ。
買ってすぐはホワイトセージをよく焚いていたのだが、半分飽きて放置していた。
「確かお茶の香とかあったはずだ」
それでネットでちょこっと調べたが、その過程で中古の香炉は量産品ではあろうが、ズバリ茶香炉だったことが分かった。
それで今は、お茶の香りの中にいる。
無駄にならずに済んだ。
この香りが親父にも届けば良いなとも思う。
ロウソクは100斤で購入。
火の元には注意!