表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の狩人  作者: 林景太郎
4/4

第四話 神の秘宝

「なあ、ヒノア、さん?…」

俺の隣を歩いている美少女ーヒノアに、俺は話しかけた。

俺は今、この異世界の美少女に街まで案内してもらっている。

「もう、ヒノアでいいのに…いや、違う、ヒノアって呼んで」


そう言った彼女ーヒノアの顔は、なんだか少し不機嫌そうだ。やっぱり異世界でさん付けはまずかったか。

「わかったって、ヒノア」

「うん、それでよろしい」

そう言ったヒノアは、嬉しそうに微笑んだ。

…可愛い。


「ヒノアは、どうしてあそこにいたんだ?」

「えっとね、私は魔術師の冒険者なんだけど、」

魔術師、冒険者、とか、テンプレ中のテンプレだな。

「それで、あの森には神の秘宝っていうのがあるらしくて…」

「神の秘宝?」

「うん、どんな病気でも、完璧に治しちゃう効果があるらしいの。結局、無かったんだけどね」

すごいな、それ。地球だと、トレジャーハンターが狙ってそうだ。


「ヒノアは何で、その秘宝が欲しかったんだ?」

「お母さんの為、なの」

そう言ったヒノアの声が、先ほどとは一転して、少しだけ、ほんの少しだけ、沈んだ様に、俺には聞こえた。

「そっか…見つかるといいな」

「うん…ありがと」

それ以上は聞かなかった。



「ここはね、アルマの森っていって、今から行く町の名前は、アルネアって言うの」

しばらくして、今度はヒノアが、俺に話しかけた。

「…アルマの森?」

アルマという単語が、何故か引っかかった。

「着いたよ」

俺がアルマの意味を聞くよりも先に、ヒノアが

声を出した。


視界が開けると、そこには活気に溢れた、猥雑な空間が広がっていた。

道路にはには馬車が走り、家は煉瓦造りだろうか。


「すごいな、これは…」

思わず声が出てしまう。するとヒノアはイタズラっぽい笑みを浮かべて俺に言った。

「ね、すごいでしょ、ここはアルディエ=カノーヴァ王国の玄関町、って呼ばれているのよ」

「アルディエ=カノーヴァ王国…」

そりゃあまた物々しい単語だな。


「そ、150年以上続く長い歴史を持った王国で、

今の国王はマグヌス4世っていうの」

なるほど、詳しい説明、とてもありがたい。

「…って、何で俺がここの国の者じゃない、よそものってわかったんだ?」

「ふふ、わかるよ、だってカナメ、全然見たことない人だし、多分人種も違うし、…他にも違うところたくさんあるでしょ、名前とか、…バレバレだよ」

「そ、そっか」

確かに、ちょっと考えればわかることだ、ヒノアやこの町の人たちは、見るからに地球でいう白人の人たちの様な顔立ちだ。日本人の俺との違いは

一目瞭然、ってわけね。



一人で勝手に納得した俺は、お礼を言うべく、隣でおばさんと話しているヒノアに話しかける。

「町までの案内ありがとう、金はさっき言ったとおりないんだけど、なにかお礼がしたい、俺にできることならなんでもーー」

「な、なんでもいいの!?」

「え?お、おう…」

怖い怖い、こういうなんでも?を強調してくる人って、何要求してくるかわかったもんじゃない。


例えばドラゴン千体倒してこいとか、ゴブリン一万体倒してこいだとか。

終いには、世界を救え、とか言われそうだ。

…これは怖い、俺自身、異世界から来たという境遇もあって冗談じゃ済まない。


俺が『なんでも』な要求の内容を想像して慄いている横では、何故か顔を赤くしたヒノアが、これまた

頭を抱えて悩んでいる様だった。おまけに何かを呟いている。

「な、何でもってつまり…えへへ、でもそういうことはやっぱり…」

な、なんか怖い、色々な危険を感じる。

命以外の危険も感じたのは、何故なんだろう。


慄いて震えていた俺に、ヒノアが話しかけた。

「じゃあ、言うね…」

ゴクリ、リアルでゴクリしたの初めてだよ全く。

「わ、わたわた私と…」

一緒に世界を救って!か?チクショー、救ってやるよ仕方ないなーーー

「一緒にこの宿に泊まってほしいの!」

……え?

俺は、理解が追いつかなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ