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《臨時ニュースをお知らせします》

 宙航管制局からの通信が入った。


 エスネムが、シヴァン・アルレットの大型モタルドクを起動させた。ワープ航路に乗ってから、宇宙標準時計を地球時間に換算した時計で二日後だ。


《手配者リストが更新されました。手配者ナンバーZTI0206182が逮捕されました。容疑が確定するまで……》

「手配者リスト?」

 大地が、ランス、エスネムどちらにともなく訊ねた。


<こちらです>

 モタルドクに一覧が表示された。当該のナンバーの部分がポップアップされている。


 ──どこの世界も同じなんだな。

 大地は納得して、頷いた。


《被疑者は、ラメイクの監視対象であるセルクク星において……》

「セルクク星だって?」

「ほう、やっぱりね」

 ニュースが伝える内容は大地の注意をひき、ランスは予想どおりという反応を見せた。


《押収されたレベル10の危険物質は……》

「イルヴァから預かったあれだな。ふうん、レベル10か」

 ランスの言葉に、大地はイルヴァが託した金属のようなカプセルを思い浮かべた。中身を確かめることもなく保管に務めたランスは、そのことを予見したからなのだろうか。


「レベル10とは?」

「精神に作用する物質で、覇王になりたいものが使いたがる」

<もちろん売買も所有も禁止されています>

 エスネムが補足した。


《ツェイン・マルギアナの国王を傀儡とし……》

 異星に根を下ろし、そこで支配者となることを熱望する者がいるのだ、ということ自体大地にとっては初めての認識だった。


《潜入捜査官によって、二国間の争いは回避され……》

「つまり、原星民を精神的に征服するってことか? なんの価値がある? それにどうやって持ち込む?」

「それをこれから吐かせるんじゃないか? さしずめ、イルヴァの持たせた鳥笛が、連合への報告書ってとこだろうな」

 ランスの想像には大地も納得できた。


 ニュースの断片をつなぎ合わせるとおそらく、こうだ。


 手配者リストの何某が、連合の手から逃れてセルクク星に降り、某国の王を手のひらの上で転がし、他国の内紛をお膳立てし、大国間の戦争に発展させ、元星民の精神を乗っ取り、戦争を繰り返し領土を拡大し、やがてはセルクク星の支配者となる。


「なるほどね。ってことは、俺たち?」

 単なる二国間の争いというだけではなく、もっと大きな野望に対して、知らず、関与していたことになる。


 特別な事件に発展しなかった、何ごとも起きたように見えなかったたくさんの出来事の中には、こうした案件がどれだけ含まれているのだろう、と大地は思った。本人が気づかないだけで、実際は重要なファクターであったとか、何も知らされず利用されたとか、そういったことが本当は身の回りには珍しくない頻度で起こっているのかもしれない。


 なんなら、地球の歴史の中にいた英雄たちの中にも……、と大地は想像を膨らませる。


「聴取が進めば、もっと色々分かるだろう。イリアのことなんかもな」

 ランスはこのニュースに関しての通知をオンにした。


<連合から通知です>

 エスネムが、嬉しそうに言った。


《シヴァン・アルレットには、航行規制に関して1ランクの優遇措置を付与する》

「ご褒美だ」

 ランスが言った。



ーFINー



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