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「お出迎えとは嬉しいな」

 ランスだ。いつものランスがそこに立っている。


 ランスはヒトではないのか? それとも状態変化の可能な生物なのか? 大地は不思議に、錯覚かとも夢を見ているのかとも思わなかった。ただあるがまま、見たままを受け入れている自分を感じた。


 シヴァン・アルレットの中で目覚めてから、一度たりともランスがランスでなかったことはなかった。もちろん地球とスビニフェニスとの環境の違いはあっても、似たような環境で大局を突き詰めれば、進化の方向性は必然的に似るのだろうと思っていた。構造的に地球人と大差のない遺伝子を持ったヒトだと思っていたのだ。


 それが、まるで想像もつかなかった変態するさまを目の当たりにして、自分はなぜ驚かないのだろう、と思う。ただ知らなかったことに意表を突かれただけで、すでに受け入れている。自分はかつてこうしたものを見ただろうか。


 記憶の深部で何かもやもやとした感じがした。


「ランス?」

 ──ばかでかい鳥だったのは間違いなく君だね?


「あ、ああ、そうだったな。シヴァン・アルレットで目覚めて以来初めて見るか」

 大したことじゃない、というふうにランスが言った。


 大地を驚かせたつもりも、隠していたつもりも、説明するのを忘れていたというわけでもなく、ごく当たり前のように。


「ああ、多分説明して欲しいかも」

 ふっと息を吐いて大地は言った。


「いいぜ。宇宙へ戻ったらゆっくり説明してやる」

 並んで歩き出し、にやりと笑ってランスは言った。


 そうか、幻を見たのだろうと誰にも取り合われなかったあの男の見たのは、ランスだったのだ、と大地は思った。それなら人間の足なら不可能な距離でも、それこそひとっ飛びで移動できる。


「ああ、頼むよ。それで、伝えて来たのか?」

 これは現実だ。いつまでも()()()とどまってはいられない。


「ばっちり伝えた。イルヴァと連絡がつくまでは秘密の場所を死守しろとな。なんなら陽動作戦も奨めておいた。要は、最終的にその荷が誰の手にも渡ってはいけないってことだ」

 そうだ。アーヘルの手に渡って密輸品が流通してはいけないのだし、策謀の手に落ちて公爵家が冤罪に問われてもいけないのだし、火のない煙に踊らされて私兵と国軍が相対してもいけないのだ。


 王命のもとに、徹底的にルートを根絶させるべきなのだ。


「う~ん、まさにイリアに掛かっている、か」

「ああ。だが、いざとなったら力業で乗り切るさ」

 ランスは笑って言った。


「力業?」

「ああ。神だの悪魔だのの仕業にしちまえばいい」

 本気か冗談か。真意を追求しようにも野営地に着いた。この話はもうここで終わりだ。


 二人はテントに戻った。


「お帰り~」

 心配していたのか、二人一緒の姿を見てシャルジュが嬉しそうに迎えた。

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