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「試すだけは試してみようと思ってるの。今、この荷の所在を知っているのはあなた方とわたし、ここにいる兵士だけよ。隠し場所を突き止めた、とイリアに伝えるわ。その後のイリアの行動で彼の意図が推測できるかもしれないでしょ。アーヘルに伝わるならもちろん、中身はこのままという訳にはいかないけれど」
イルヴァは唇を曳いただけの笑みを見せた。
イリアがアーヘルに情報を伝えなかった場合考えられることは、クアルニィグのためか、自分がアーヘルに取って代わるため、か。しかし、後者だとするならわざわざ密輸品の存在を明かしてその後の仕事に自ら制約を課すとは考えにくい。アーヘルの信用を充分に得てから後で裏切るなら裏切った方がやりやすいだろう。
そして、アーヘルに情報を伝えた場合だ。単純にアーヘルの味方であるなら、彼らが密輸品を手にすれば、荷受するはずの密輸品がサリエルの元に存在しなくなるのだから追求するべき咎もなくなる。イリアがサリエルにガセネタを提供したことがサリエルから証言されることとなるだろう。サムリーをも巻き込むことになり、いずれにしても、今回一度限りというような綱渡りの計画にしかならない。地盤を広げようとしている者がやることには思えない。
イリアがこちら側だとするなら、イルヴァが言ったように現場を押さえさせる狙いを汲んでくれるだろう。イリアの証言も得られると思う。
「で、俺たちは何をすればいい?」
大地が訊ねた。
「アーヘル側の動きがあったら合図をするから、解毒剤を投与して欲しいの。国軍を復活させて、アーヘルがここへ来るのを待ち伏せしてもらうわ」
「解毒剤? さっき渡したやつか?」
ランスが異星人から巻き上げた解毒剤はすでにイルヴァの元にある。
「いえ、こちらで用意したものを渡すわ。念には念を入れ、よ。そして──」
それから、三人は他の者には聞かれないようにと洞窟を出た。
そろそろ日暮れも近い。見張りの兵士たちを呼び戻し、幾つかの指示を与えてからイルヴァは宝の箱を開けた。
「これを預かって欲しいの」
そう言ってイルヴァは例の何の表示もないやばそうなカプセルをランスに手渡した。
「いいだろう」
ランスが迷うことなく了承した。
中身が何だろうと、他の荷と同様の扱いで梱包されていたのだ。強い衝撃を与えるとか、カプセルを開けさえしなければ、当面所持していてもただの荷物のままであると読んだはずだ。
それから、三人は気持ち急ぎつつ馬車の待つ場所へと戻った。




