外伝2 エルドレッド襲撃
外伝1の続きです。
軽い旅行をし始めた主人公たちの知らないとこでしっちゃかめっちゃかに。
私の慕う先輩はこういっていた。
高校生なんて蝉や蜉蝣の一生と同じだって、だからその短き期間をどう有効活用して中身のある物に昇華できるのが重要だと。
しかし、その先輩は2年生の秋頃に自殺してなくなった。
聞いた話によれば電車に轢かれたらしい。
だが、不可解なことに近くの監視カメラの映像では回送列車が通過する間、人は誰一人として写っていないという。
では、先輩はどのように亡くなったのか。
私はそれが気になってその駅へ毎日のように通っている。
先輩の御家族からはいつもいつも御参りに行ってもらってありがとう。と言われている。
ありがとうと言われるべき人間は私のようなタイプではないだろう。
もっと貢献している人間にこそ言うべきことだ。
なんて、悲観的に考えるのもやめろと先輩に言われてたっけ。
毎日、駅に通いだして少し経った頃、私は…私…。
彼女は向かってきた回送列車のライトに照らされ意識を失った。
「所長!2回目の転移に成功致しました。今回は傷1つ入ってません。」
「処置室へ急ぎ連れて行け、意識が戻っては困るからな。」
「これより、結合を開始する。大事な大事な一点物なのだ。今回は上手くいってくれよ。」
「施術は無事終了した。あとは被検体の覚醒を待つ。」
彼女が次に目を覚ました時、彼女は自分の存在を認識出来なかった。
青色の液が入ったカプセルに入れられ、身動きできない。
「こ、ここはどこ?」
「今は眠れ。」
男の声を聞いた途端、視界は暗転し何も考えれなくなる。
彼女は再び沈黙した。
そして彼女が次に目を覚ました時、そこは上空であった。
回転しながら降下していき、装備も何もつけていない。
眼下には大きく円状に広がる街並みが何層も連なっている。
自分がどうしてこうなってるかすらわからず、彼女は混乱した。
そして、どうすることも出来ないまま地面へ激突した。
衝撃が街を襲う。
周囲の建物は吹き飛び、落下点には隕石でも落ちたように凹んだ。
落下により生じた土煙の向こう側から声が聞こえる。
彼女はその音のする方へ近寄って行く。
人だ。そこには人間が倒れていた。
人間は彼女を見るやすぐに発狂し這いずって逃げる。
その後も何人かの人間に会っては挨拶をしようと試みるが全て失敗した。逆に罵倒されてしまうこともあった。
彼女はその理由を求めてどこかの家に入って外見を確かめることにした。倒壊した家にあった割れた鏡を拾い写った自分を見て、先程見た逃げる人間のようにびっくりしてしまう。
彼女は人間ではなかった。
全身が宝石のような石で覆われ、胸の位置には緑に輝く球体が心臓のように脈動している。
まるでゲームに出てくる石のゴーレムとスライムを足したような姿。
彼女は家から飛び出し病院を探した。
手遅れなのは分かっていたがまずは診断してもらうのが先だと考えたのだ。
瓦礫を超えて走っていると同じように石になって倒れている人間を複数見つける。
彼女は少し安堵した。同じ症状の人間が他にいたと。
だが、進めば進むほど石になった人間の数は増えていく。
自分もこの人たちのように動けなくなってしまうのだろうか。
不安になった彼女はまた走り出し病院をさがす。
石化した人間を見る数も移動距離に比例して増えていく。
「それ以上動くな!」
彼女は後方から声をかけられ振り返る。
そこには全身に防護服を着た複数の人間が銃を構えていた。
「4班。生物兵器を確認。本部の連絡を待つ。」
生物兵器?私はそれにやられたというの?
なんだかよく分からないけど、あの人達なら。
「おいっ!それ以上近づくな。撃つぞ。」
彼らは彼女の頭をしっかりと狙っている。
「班長、足を止めませんよ!」
「くそっ、牽制射をしつつ後退しろ!」
彼らが放った弾丸は順番に彼女の頭に当たるが傷1つつけれなかった。
痛い、なんで攻撃するの?
助けてよっ。助けてよ!
彼女は射撃音に怯みながら着実に彼らへ近づいていく。
「班長!本部からの連絡は!」
「まだだ。くそっ、どこかの部隊長が兵を乱用したからこんな事に。」
「目標!頭部に変化あり!」
「全員散開!逃げろぉ!」
彼女は痛みで泣き出した。
自身の存在も目的も忘れ挙句の果てに生物兵器の被害を受けてなお、銃で撃たれる。
もう耐えられない。
彼女の頭部から宝石の花が咲き内部の球体が光り出す。
そして、瞬時に光線が射出され前方の瓦礫を吹き飛ばしながらどこまでも直進する。
散開していた兵士はその光を避けきれず、石化していく。
そこで彼女はやっと理解した。
自分は被害者でないことに。
〖定時連絡。こちらトロール・ワン…人喰いはそのまま直進を続行し中心部へ向かえ。作戦は順調である。次の連絡は15分後だ。〗
急に声が聞こえてくる。
彼女の体は意思に関係なく進み始める。
まるで操られているように。
私は操られている?
そうなら、まだ被害者だよね。
彼女は視界に入る全ての映像を自分のせいではなく、操っている声の主のせいだと考えた。
転移したであろう先輩、どこへ行ったんでしょうね。




