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無属性の特訓

レミリアとベオウルフがお互いの気持ちを一応確かめ合った次の日、座天使(ソロネ)に成長させられたため服が無いレミリアに旅装を用意しなくてはならず、レミリア一行は旅立つ前にリーベルの南区画に来ていた。


服を買いに行くにあたって、レミリアは使用人の服を借りていた。気楽に着れて動きやすいのでレミリアが希望したためだ。この1着はアレックスがくれたのでレミリアのものだ。


道案内も兼ねてアレックスとカロリーナの夫婦もついて来たし、カロリーナと馬が合ったのかクリスも首飾りを出てカロリーナと話をしているため、6人でゾロゾロと動いていた。


レミリアは、朝からベオウルフを意識しまくって、ベオウルフの視界から逃げ続けていたところを、ベオウルフに首根っこ引っ掴まれ、普通にしろと怒られてしまった。それから人混みではぐれないよう不満そうにベオウルフの袖を掴んで歩いていた。


「横暴ですー。早くもDVですー」

「やかましい。24にもなって思春期の子供みたいな真似してどうするんだ」

「モラハラです!」


そんな様子を見てカロリーナとクリスは話に花を咲かせる。


「あの2人早くもイチャついてますわ」

「素直じゃなかった分言い出したらあっという間でしたね。微笑ましいですよね」


レミリアは抗議だけはしておいた。


「聞こえるのわかって言ってますよねそれ」


周囲に服飾の店舗が目立つようになった場所で、アレックスが先にある店を指さした。


「旅装の専門店ならあそこですね。魔導具屋はもう少し歩かないといけません」


アレイスターがレミリアに確認した。


「ちょっと見てみようか。良いものが無ければ魔導具屋にした方がいいかもしれないね」

「わかりました」

「混み合うとやりにくいから、レミリア以外は何処かで時間を潰してくれたらいいよ」


アレイスターとレミリアだけ店に入り、他の4人はお茶でも飲んでいることになった。


綺麗にハンガーにかけられて陳列された旅装を物色する。レミリアは正直どれを買えばいいのかわからない。


「流石にどれも魔法耐性は厳しそうだなあ。ローブとマントを魔導具屋で買おうか」


アレイスターの眼鏡に叶う商品はなかったらしく、とりあえず革のブーツだけ買って店を出た。




ベオウルフ達は紅茶を飲みながら時間を潰していた。カロリーナとクリスが仲良さげに話しているのを、ベオウルフとアレックスが眺めていた。


「しかしリーベルは賑わっているよな。バリアントももう少しなんとかしたいもんだ」

「街を賑わせたいなら、人口を増やす手段を講じないと」


ベオウルフはその辺のやりくりはノイマンに任せているからさっぱりなのだ。

アレックスはカロリーナに領地経営についてベオウルフに教えてやってほしいと言われていたのを思い出した。

一朝一夕で身につくものではないのに、無茶言わないで欲しい。


「一番手堅いのは開拓かな。農地を開拓していけば仕事も収穫も増えるし。あとは商人に来てもらうために名産品を売り出すとか。永住者を増やすなら税制をやりなおすのもいいね」

「帰ったらノイマンに聞いてみるか」


あまり乗り気でないベオウルフにも向いている財テクがあるにはある。


「義兄さんなら、レミリアさんと組んで魔獣狩りで稼いだらどうかな。肉や素材を売って客を呼びつつ外貨を稼ぐとか」

「それなら面白そうだな。いっそノイマンに任せて旅してまわるか」

「その辺の食肉用の獣じゃなくて、義兄さん達ならワイバーンみたいな高価な素材になる魔獣がいくらでも狩れそうだね。そのくらいなら領地経営に回せるくらいの金になるかも」


そんなノイマンが卒倒しそうな話をしていたら、レミリア達が買い物を終えてきた。


レミリアは木綿のローブにネイビーのフード付きマントを羽織っていた。一丁前に宝石の付いた杖も買ってもらった。

そんな姿をベオウルフが一応褒めた。


「冒険者っぽくなったな。今までは街娘がうろついてるみたいだったが」

「なんか微妙ですねその言い方」


昨日みたいに情熱的に褒めて欲しいが、たいした格好ではないので無理な話だ。


「まあ準備も出来たし、僕らは先を急ごうか」

「さっきダイブイーグルが戻ってきたので、多分リリは屋敷を出ていると思います」


リリも明日には国境沿いの村についているはずだ。


「あら、このまま行くつもりですか? もう少しゆっくりしたらいいのに」


カロリーナは残念そうだが実は急ぐ旅だ。アレックスがカロリーナの手を握った。


「まあまた来るさ。アレックス、カロリーナ。世話になったな」

「お世話になりました」

「レミリアさん、お兄様をお願いしますね」

「はい!」


カロリーナには凄く世話になった。レミリアはまたベオウルフを連れて早めに遊びに来ようと思う。


アレックスとカロリーナに見送られながらレミリア達は飛び立った。




座天使(ソロネ)の加護ですごい速度で進んでいる。このままだとすぐに村に着きそうだったので、途中にあった草原でレミリアは無属性魔法を3つ、アレイスターから伝授してもらった。


「難しく考えなくても多分君なら詠唱したすぐ出るよ。無属性魔法を使用するための障害は全属性を手に入れることと魔力消費だから」


なんてアレイスターが言うのをレミリアは半信半疑ではあったが、素質があったのか無事に『雷撃』『雷陣』『雷の刃』を取得できた。


『雷撃』はレミリアの故郷への襲撃に使われていた攻撃魔法、『雷陣』は無属性や物理攻撃を防げるバリアを身に纏える魔術、『雷の刃』はクレハがクリスに使用した無属性の刃を具現化する魔術である。


容易く習得してレミリアは得意げだ。


「私、天才なのかな」

「調子に乗って撃ちまくったりしないようにね。流石の君でも魔力が枯渇するから。マジックポーションは小まめに作っておきなよ」


レミリアは無属性魔法を習得した。しかし、これは世界の禁忌に繋がることだったが、この時はそれを見ていたヘラすらもそこまでは思い至らなかった。

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