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国境の村①

レミリア達は、村から少し離れたところに着陸した。

着地するや否や、レミリアは地面にへにょへにょと倒れてしまった。


「腰がぬけました」

「意外と軟弱だね君は」

「ごめんなさい……」


少ししたらレミリアも回復したようだ。

まだ村まで少し歩くため、その場でご飯にすることにした。


「任せてください」


アイテムボックスを使いたくて仕方ないレミリアがバッグからいろいろ出し始める。

屋敷ではいろんな物をぽいぽい放り込んでいた。

ピクニックマットを敷いて、コップ、お皿とホノのサンドイッチ、取り皿を並べた。


「サンドイッチは定番ですね!」

「僕達は何をしに来たんだろう。まあ旅を楽しむのも悪くはないのかもね」

「でも、ホノさんのご飯は限りがあるから大事にしないと」

「この先の村とアルミラに一泊ずつするし、アルミラならご飯も買えるだろうから心配いらないよ」


魔法でコップに水を満たす。

上手く魔導を使いこなす姿を見て、アレイスターは感慨深そうだ。


「なかなか様になっているじゃないか」

「ふふふ。いただきます。うわ、ホノさんのサンドイッチ美味しい!」

「僕もいただくね。外で食べるご飯もいいもんだね」


今日は天気もいい。ピクニック日和だった。


国境沿いの村まで歩く間、何度か魔物と遭遇した。

アレイスターは基本見ているだけで、レミリアが全て倒すことになった。

大きな虫や蛇の魔物が多く、レミリア的に使役したくないので死霊魔術の練習は進まない。


アレイスターがホーンラビットが倒した小さな蝙蝠を指差して、使役するように言ってきた。


「これ蝙蝠ですか? まあ小さいから気持ち悪いってほどでも無いからいいですけど」

「僕が出した『シンクロ』の課題を覚えているかい? 最終的にはダイブイーグルで村を探してもらいたいんだけど、この蝙蝠なら村の宿屋でも練習できるからね」


蝙蝠に闇の魔力を流す。

起き上がった蝙蝠はその辺の木の枝にぶら下がった。

やはりこちらを見ている。


「こうもりさんできました!」

「じゃあ行こうか」


レミリア達はペットを収納して、再び歩き始めた。




日が暮れる前には村にたどり着いた。


「フードを被るんだレミリア。来る前に言ったが国境沿いの村だ。誰がいるかわからない」

「わかりました」


アレイスターは見るからに魔導士然という格好なので、普通に歩いていると旅の魔導士と召使いに見えた。

入り口で若い男に声をかけられる。あまり戦闘ができそうにはない素朴な村人だが一応見張りの当番なのだろう。


「旅の方ですか? どちらに向われるのですか」

「うん、教皇庁にお参りに行く最中なんだ。今日はここに泊まりたいんだけど、どこか良い宿は無いかな」


アレイスターが上手く対応し、すぐそこにある宿屋を紹介してもらった。

歩きながら、アレイスターから指示される。


「レミリア、言い忘れていたのだけど、道中は僕のことはアレス様と呼ぶんだ。いいね? 僕は君のことをレミと呼ぶから」

「アレス様ですか?」

「僕は名前が売れているんだよ。そのまま呼ばれると、この先騒ぎになるかもしれない。君は従者という感じで扱うつもりだ。君の名は念のためだね」

「わかりました」


レミリアは王宮魔導士ってそんなに有名なんだと思った。

実際に売れているのはその肩書ではない。


宿屋に着くと、アレイスターが登録を始める。

年配の女性がカウンターに立っていたが、見た目が美しいアレイスターにいきなり話しかけられて、一度目を見張っていた。

レミリアが知っている、魔導のことしか頭に無い残念エルフにはとても見えないようだ。


「一泊、お願いできるだろうか」

「そこの従者はどうするね。部屋は2つ必要かい?」

「いや、2人部屋にしてくれたらいいよ」


レミリアは少し驚いた。女性もレミリアをチラッと見た気がする。


「食事はどうするんだ?」

「夕食も朝食も2人分頼めるかい?」

「金貨1枚と銀貨2枚だ」


アレイスターがお金を支払い、鍵を渡される。


「静かに使っておくれよ」


カウンターの女性に見送られながら、部屋に向かった。

部屋に着くと、早速レミリアが切り出した。


「アレイスターさん、同室とはどういうわけでしょうか」


レミリア的には自分は女だ。


「君を女性として軽んじたわけじゃ無いんだ。護衛するにはこうするしかない。エルフの神に誓って、僕は君を害さないことを誓うから我慢して欲しい」


エルフの神にエルフが誓うのは、決して約束を違えぬという宣誓だ。彼らにとって人族が同じようなことを言うのとは訳が違う。レミリアにはその感性は伝わらないが。


「まあアレイスターさんが言うならいいですけど」


アレイスターは苦笑いするしかない。


「それにしてもアレイスターさん旅慣れてますよね。私、村から出たことなかったし、宿屋に泊まるのなんて初めてだから、1人じゃ絶対無理だと思いました」

「宿屋に入っただけなんだけど、今後も君はいろいろ出歩いた方が良さそうだね」

「世間知らずってことですよね、もう」


レミリアが頬を膨らませる。


「そろそろ食事にしないかい?」

「そうですね、お腹空きました」

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