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#○○してみた 〜天上人 番外編〜  作者: 鬼木 有葉
ラジオ番組をやってみた
3/30

てんじょうびとラジオ③ しっかり者(?)たちの反省会

4人) てんじょうびとラジオ!


アキレア(以下:アキ)) みなさん、こんにちは。てんじょうびとラジオのお時間です。第3回の司会進行を務めます、火の天上人アキレアです。


アイリス(以下:アイ)) 木の天上人アイリスです。


ランジア(以下:ラン)) 水の天上人ランジアです。


ライオネル(以下:ライ)) 木の天上人ライオネルです。今回はこの4人が担当します。よろしくお願いします。それでは早速、最初のコーナーに参りましょう。最初は……


ラン) ねぇ、ひとついいかしら。


ライ) どうしたんだい、ランジア。


ラン) このまま進めるとアキレアの怒りが収まらないわよ。


アキ) ちょっと! 勝手に人の未来を視ないでよ!


アイ) でも、何か思うところがあるのならスッキリさせてしまうのが一番良いと思うわ。


アキ) ハァ……それもそうね。


ライ) 一体、何に怒っているんだい?


アキ) 前回までの更新(ほうそう)よ。どう思った?


ラン) 初回は酷かったわね。番組の進行もグダグタだし、隊長は拗ねるし。


アイ) ちょっとランジア。言い過ぎよ。折角、企画してくれたサギリに申し訳ないわ。


ラン) フン……どうせ今回も同じような感じになるわよ。


アイ) その点、第2回目の更新はたくさんの情報を発信できたんじゃないかしら。


アキ) ダメよ、あれも。『○○50選!』のコーナーも、いきなりランキング1位から始めて、さらに脱線したし。致命的なのは、4人とも最後にひと言ずつメッセージを言うのを忘れてたってことかしら。


アイ) あら……結構怒ってる?


アキ) 当たり前よ。情報は何にも勝る宝だわ。特にこのような企画の場合、どの情報をどれだけ詳しく伝えるかを綿密に吟味しなきゃ。その場の行き当たりばったりの情報を発信するだけじゃ、かえって混乱を生むだけだもの。


ライ) 流石、アキレア。情報に関しては手厳しいね。それじゃ、どうする?


アキ) まず、コンセプトを決めましょ。今回の失態の原因の1つは、各回の軸になるようなテーマが不明確だったせいでもあるわ。


アイ) なるほどね。そもそも、グループ分けもあまり考えずに決めてしまったわね。初回は今回の企画の発案者であるサギリ、隊長のグロリオ、副隊長のハイドで決めて、第2回以降は普段からよく一緒に過ごしているグループで分かれて……


ライ) 確かにトークの盛り上がりを均等にするのなら、サギリやグロリオは分けた方が良いし、暴走しやすいフォセはアキレアや俺と一緒のグループの方が良いだろう。


ラン) アキレアは分かるけど、ライがフォセを止められるとは思えないわ。


アイ) ふふ……流されそうね。


ライ) それもそうかな。そう怖い顔をしないでくれよ、アキレア。コンセプトを考えるんだろう?


アイ) 何が良いかしら?


ライ) 女性が多いから、「女子会」とか?


ラン) ライ、やっぱり今回のグループ分けで、自分だけこっちに回されたの、恨んでるでしょ。


ライ) そんなことはないよ。


アキ) なにかあったの?


ラン) この人、今回の番組に自分の試薬を持ち込もうとしたのよ。


ライ) 主な効用は疲労回復とストレスの解消。この番組は初めての試みだからね、コミュニケーションも円滑になった方が良いかと思ったんだ。でも、未来を視たランジアに止められた。


アイ) あら、何故?


ラン) 誰かさんが一口で酔い潰れるからよ。


アイ) 私は平気だけど……あ。


アキ) え、何?


アイ) 何でもないわ。ライも居るんだし、とりあえず「女子会」以外のコンセプトを考えた方が良いと思うわ……後で試薬(それ)もらえないかしら。


ライ) 良いよ。


アキ:はいはい、そういうことは後で話してちょうだい。コンセプト決めにそれほど時間もかけられないから、サッサと決めましょ。


アイ) そうね。まだコーナーも始められていないし……何か私たちの共通点があれば良いのだけれど。


ライ) 「姉」かな。


3人) は?!


ラン) 何よ、急に。気持ち悪いんだけど。


ライ) いや、アキレアはフォセやグロリオの面倒をよく見てるし、アイリスは新しく入った2人のこと、よく気にかけてるだろう? それで、ランジアは俺の従姉弟(いとこ)だし。みんな、姉さんみたいだなと思って。


アキ) 確かに……私たち、「姉」と言うのかは分からないけれど、他の隊員の面倒は見てるし、隊の中で数少ない常識人じゃない?


アイ) 言われてみればそうね。戦力タイプ的にも、一歩引いて前を行くみんなのサポートを任されることが多いわ。


ライ) 今回はしっかり者の姉さんたちから見た俺たちの活動の紹介、という形で進めていこう。それじゃ早速……姉さん、隊長の良いところを教えてくれないかな?


アイ) あら、ライって結構甘え上手なのね。これはアキレアから言われるのがグロリオも嬉しいんじゃないかしら。アキレア、改めて聞くけど、どうしてグロリオと付き合ってるの?


アキ) ……っ!


アイ) 番外編だからってかしこまらなくて良いわよ。いつものラブラブな感じを出して? ね?


アキ) ……


ラン) やめましょ。どうせ散々悩んだ挙句、「彼の全てが良い〜」とか言うに決まってるじゃない。


ライ) あははは。じゃあ、それにしよう……グロリオ、お前の良いところは()()()()だよ⭐︎


ラン) 何であなたが言うわけ? それに、無駄にイケボだし。


ライ) あははは。まぁ、良いじゃないか。


アイ) コホン、話を進めるわね。まずは質問コーナー。番組に寄せられた質問をお答えしていくわ。ええと……「本編で語られていない任務での裏話はありますか?あったら教えてください」だそうよ。


ライ) 裏話か……どの話が良いかな?


アイ) 折角だし、私たちがスラウとラナンを助けた任務の話はどうかしら? これは第1章「天上人」に掲載されている時の話になるわ。連載を始めたばかりの頃だから、また見返してみると少し違って見えるかもしれないわね。


ラン) 結構、メタ発言を入れてくるのね。


ライ) まぁ、良いじゃないか。あの時、俺たちはフィルメイ山で2人を待つように指示されていた。そこに入ってきたのが、2人が正体不明の部隊に襲われているという情報だった。


アキ) ええ。その部隊を率いていたのが、光の領域を壊滅させたゾルダークだったのだけれど、私たちは最初からそれを知っていたわけではなかったの。そこで、私が連絡塔に詳細を確認している間に気配に敏感なチニと攻撃力の高いフォセがスラウたちを探しに行ったのよね。


ライ) それと、ランジアが未来を視て橋が破壊されることに気づき、2人を追いかけた。そうだったよな?


ラン) フン……詰めが甘いのよ。


ライ) あははは。素直じゃないな、ランジアは。


ラン) 黙って。


アイ) その後はグロリオ、ハイド、そしてライがスラウを無事に保護して任務はおしまい。だから、そのスラウとラナンが私たちの隊に配属されると決まった時には本当に驚いたわ。


ラン) ……私は認めたわけじゃないわ、あの子のこと。


ライ) ふぅ……


アキ) アイリス、次の質問にいきましょ。


アイ) ええと、「4人は城での訓練を終えていると思うのですが、任務のない時の過ごし方について教えてください」だそうよ。どうかしら、ランジア?


ラン) 特に話すようなことは何もないわ。城での業務がない時は図書館にいるから。


アイ) 私も似たようなものかしら。あ、城での業務というのは、城での訓練を積んだ上級生に与えられる仕事で、事務的な作業が多いの。スラウやラナンのような新入生が任されるようになるのはもう少し先になるわね。私の場合は時間が合えば歴史学の講義に顔を出しているわ。


ライ) 訓練を終えたと言っても、学び舎に戻ることは良いことだね。


アイ) ええ。それに、年下の子たちと話すことが好きなの。私も……学ぶことが多いから。


ライ) そうだな。俺も、時間があれば薬草学をみんなと学びたいと思うよ。


ラン) あなたが学ぶことはもうないんじゃない? 木の長タイトン様もあなたに教えるべきことはもうないと仰っていたわよ。


ライ) そんなことはないさ。俺にもまだ学びたいことはたくさんある。だから、時間のある時は新薬の開発に専念しているかな。アキレアはどうかな?


アキ) そうね……私は連絡塔にいることが多いかしら。あそこは世界のあらゆる情報が集まってくるの。1日いたって飽きはしないわ。


アイ) 集声使になりたいのよね。


アキ) そうね。最も重要な情報を扱う仕事だから、小さい頃から興味があったわ。


ライ) 因みに、集声使というのは、俺たちの任務に欠かせない存在だ。集声使によって集められた人間の願い、すなわち「声」を基に契約書は作成されるから。


アイ) アキレアにピッタリの仕事だと思うわ。


アキ) ふふ。ありがと。次のコーナーにいきましょうか。


ライ) 次は『○○50選!』だ。50話の連載を記念して50の数に因んだコーナーにするはずだったんだな。


ラン) 今のところ、全然出来ていないけどね。


ライ) まぁ、そう言うなよ、ランジア。俺たちはどうしようか?


アイ) そうね。折角だし、任務の装備をちゃんと紹介するのはどうかしら?


ラン) でも、50個もないわよ。


アキ) この際、数字にこだわるのはやめましょ。サギリにも無茶な企画はしないようにキツく言っておくわ。


ライ) とりあえずやってみようか。字数(しゃく)的にもまだ余裕はありそうだしね。まずは、俺たちの服装から説明するよ。基本は、黒が焦げ茶色の長ズボンを履いて、規定のボタンシャツを着る。シャツの上には自分の能力を象徴する色のローブかベストを着用することになっている。


ラン) 火の能力はえんじ色、水は紺色、木は緑色、風は水色か黄色、特殊能力は紫色か灰色、光は白色ね。


アイ) ズボン、シャツ、ローブの3点は城での訓練が始まるときに支給されるけれど、自分で貯めたお金で買えばワンピースを着ることもできるわよ。私やランジア、フォセがワンピースを着ているわね。


ラン) 私たちは武器を使わないからこの格好だけれど、弓矢を使うアキレアは動きやすさを重視してショートパンツを履いているのよね。


アキ) ええ。自分の属性や攻撃スタイルを考慮して服を選んだ方が良いわ。それと、規則で決められているのは服装だけではないの。


ライ) 俺たちの力を引き出すパワーストーンは勿論のこと、通信機や地図などを携帯する義務がある。


アイ) 私たちの使う機器はどれも高度な技術が用いられているわ。通信機は隊員同士の連絡手段だけではなくて、緊急時に連絡塔と通信をすることもできるし、地図は任務の時空に合わせた地形を紙面に表現することができるの。


ラン) 同じく携帯の義務付けられているものとして、懐中時計と現地で使える通貨、常備薬があるわね。現地の時刻と契約が果たされるべき時間を指す針を持つ点が普通の時計とは違うかしら。


ライ) そうだな。常備薬は消毒薬や火傷薬といった簡易なもので、それ以外は隊医である俺が状況に合わせて薬を調合しているよ。


アキ) ライには本当に助けられているわ。以上が隊員に携帯を義務付けられている装備よ。あとは、剣や弓矢の武器を使う人はそれも持っていく必要があるし、隊長と副隊長は契約に関する書類も必要よ。


ライ) それと、地上界へ行くにはドラゴンが必要だよ。彼らなしでは、俺たちが時空を超えることはできない。


アイ) そうね。そう考えると、時空を繋げてくれる連絡塔の人たちや、契約書を作るために地上界に降りる集声使……私たちの任務は本当に色々な人たちや道具に支えられているんだと実感するわ。


ラン) ねぇ。私たち、前の人たちと同じくらいの字数(しゃく)使っているけど、締めなくて良いのかしら。


アキ) 嘘?! もうそんな時間?!


ラン) だから言ったでしょ。「どうせ今回も同じような感じになる」って。


ライ) あははは。本当だ。それじゃ、最後に俺から次の章の宣伝をさせてもらうよ。読者の皆様、いつもご愛読ありがとうございます。今回の番組はお楽しみいただけましたか? 3人とも隊員の面倒をよく見てくれるので、そういうところも伝わっていたら幸いです。第6章は俺に焦点を当てた話になっています。


アイ) スラウの初任務(第2章「昇格試験」)に絡んだお話でもあるので、また読み直していただけると、よりお楽しみいただけると思います。


4人) これからも本編をお楽しみください! それでは、またお会いしましょう!

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